本格麦焼酎「いいちこ」を含む焼酎は、蒸留酒の仲間です。一口に「蒸留酒」と言っても、その楽しみ方や種類は実にさまざま。この記事では、蒸留酒の飲み方や特徴、製法などについて詳しく解説していきます!
蒸留酒、どうやって楽しむ?
焼酎やウイスキー、ブランデーなどは「蒸留酒」というジャンルのお酒です。
総じてアルコール度数が高めなので、お酒初心者さんの中には「どうやって楽しめばいいの?」と戸惑われている方もいるかもしれません。
ストレートで飲んでももちろんおいしいのですが、飲み方によって好みの味わいやアルコール度数に調整することができるのが、蒸留酒の大きな魅力です。
たとえば「いいちこ」を含む焼酎であれば、オンザロックや水割り、お湯割り、ハイボールのほか、お茶割り、コーヒー割り、ジュース割りなど、身近にあるさまざまな飲み物で割って、その時々の食事や気分に合った飲み方を選ぶことができます。
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また、梅やレモンなどの果実やコーヒー豆を漬け込めば※、おいしい漬け込み酒が完成します。
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そのほかにも、ウォッカやジン、テキーラなどは、カクテルのベースとしても世界中で愛されていたり、ラムやブランデーは甘い香りを活かしてお菓子づくりにも活用されていたりと、蒸留酒は私たちの身近なところでさまざまな方法で楽しまれています。
そんな自由な魅力いっぱいの蒸留酒について知れば、これからのお酒選びがもっと楽しく、お酒の世界がグッと広がりますよ!
※自家製漬け込み酒をつくる場合、酒税法の規定で、アルコール20度以上の酒類で漬けなければならず、ぶどうや穀類等と一緒に漬けることは禁止されています。自家製漬け込み酒は、他者への提供や販売、譲渡はできません。
そもそも、「蒸留酒」とはどんなお酒?
「蒸留」とは、アルコールの沸点が水より低いことを利用して、一度熱して気体化させたアルコールの蒸気を冷却し、再び液体に戻すことです。
つまり「蒸留酒」とは、アルコールを含む液体(もろみ)を蒸留したお酒の総称です。
英語では、精神や魂を意味する言葉である「Spirits(スピリッツ)」※とも呼ばれ、古くから世界各地で愛されてきました。
お酒の分類は蒸留酒のほかに、醸造酒と混成酒があります。蒸留酒について理解を深めるには、この3つの違いについても知っておくとスムーズです。
※ 日本の酒税法上では、焼酎、ウイスキー、ブランデー、原料用アルコールを除いたものをスピリッツと呼びます
分類名 | 特徴 | 代表的なお酒 |
醸造酒 | すべてのお酒の原点とも言えるお酒。米や麦、ぶどうなどの原料に含まれる糖分、またはでんぷんを糖化※したものを酵母のはたらきによってアルコール発酵させ、できた液体(もろみ)を搾ったりろ過したりしてつくられる。 |
・日本酒 ・ビール ・ワイン |
蒸留酒 | 醸造酒、またはもろみを蒸留し、加水、貯蔵、またはろ過などを行ったお酒。 |
・焼酎 ・泡盛 ・ウイスキー ・ブランデー ・ジン ・ウォッカ ・テキーラ ・ラム |
混成酒 | 醸造酒や蒸留酒に、糖類や果物のエキスを加えたお酒。 |
・梅酒 ・みりん ・リキュール |
※糖化…でんぷんが麹や麦芽などに含まれる酵素のはたらきによって糖類に変化すること
蒸留酒にはどんな特徴がある?
では次に、蒸留酒の特徴を3つご紹介します。
蒸留酒の特徴①|アルコール度数が高い
先述の通り、蒸留によってアルコール分が濃縮されている蒸留酒は、全体的にアルコール度数が高めです。焼酎であれば20~25%が主流ですが、蒸留酒全体で見ると、中には70%を超えるものもあります。
こうしたことから、蒸留酒はもともと嗜好品としてではなく薬として重宝されていました。14世紀頃のヨーロッパ諸国では、蒸留したワインは「アックア・ヴィータ(命の水)」とも呼ばれ、病に伏した国王にも投与されていたと言われています。
現代のように楽しむための飲み物に変化したのは、蒸留の知識が普及した後の15世紀以降から。特に醸造酒が手に入りにくい寒冷地の人々や、狭い船内になるべく多くのお酒を積み込みたい大航海時代の探検家たちの間で人気を博していきました。
蒸留酒の特徴②|糖質がほぼゼロ
お酒のもととなるもろみの中には、気化しやすいアルコール分とは対照的に、ほとんど気化しない成分も含まれます。その中には糖質やアミノ酸、クエン酸、繊維分、着色成分などがあり、これらは蒸留によって切り離されます。
つまり、蒸留酒には糖質がほとんど含まれていないのです。これは、糖質制限を心がけている方にとっては特にうれしい情報かもしれませんね。
蒸留酒の糖質量(100g)あたり
品目 | 糖質量(g) |
焼酎(本格焼酎) | 0 |
焼酎(甲類) | 0 |
泡盛 | 0 |
ウイスキー | 0 |
ブランデー | 0 |
ジン | 0.1 |
ラム | 0.1 |
ウォッカ | Tr |
出典:「日本食品標準成分表(八訂)増補2023年」
「Tr」は、成分表における各成分の最小記載量の1/10以上含まれているが、5/10未満であることを示します。
ただし、糖質がほぼゼロだからと言って、いくら飲んでも太らないというわけではありません。過度なアルコール摂取は中性脂肪を増加させ、「隠れ肥満」にもなりかねません。飲みすぎにはくれぐれも注意しましょう。
蒸留酒の特徴③|長期の品質維持が可能
アルコール度数の高い蒸留酒の中では、雑菌が繁殖できないため、基本的に傷んだり腐ったりする心配がありません。また、蒸留する過程で糖や酸といったエキス分もなくなるので、保存状況に問題がなければ味や香りの変化も起こりにくくなります。
そのため、開栓したからといって「すぐに飲み切らないと」と焦る必要はなく、ゆっくりと楽しむことができます。
ただし、一度開栓してしまうと、未開栓の時と比べて味わいの変化は起きやすくなるので、開栓後は早めにお飲みいただくことをおすすめします。
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2つの主な蒸留方法とは?
お酒の蒸留方法には「単式蒸留」と「連続式蒸留」の2つがあり、それぞれで使用する蒸留機も異なります。
・単式蒸留
一度のもろみ投入につき一度のみ蒸留を行う、昔ながらの蒸留方法。原料の持つ風味や香りを残すことができるのが特徴です。
【単式蒸留の仕組み】
① 蒸留機の中にもろみを入れて蒸気で加熱し、沸騰させる
② アルコールとそのほかの揮発成分は蒸気となり、管を通って冷却槽に導かれる
③ 蒸気は冷却槽の中で冷却・凝縮され、再び液体に戻る
・連続式蒸留
19世紀初頭に発明された比較的新しい蒸留方法。塔のような形状の蒸留機の中にいくつもの棚があり、連続的にもろみと蒸気を加えることで、繰り返し蒸留が行われます。原料の風味はほとんど残らず、クリアな味わいに仕上がるのが特徴。
【連続式蒸留の仕組み】
① もろみを蒸留塔の中間あたりの棚に連続して注入する
② もろみは棚からあふれ出て、下の棚へ流れ落ちる
③ 棚は加熱され、アルコールを含む蒸気は上の棚へ上がる
④ 各棚で沸騰・凝縮を繰り返し、棚の上段に上がるほどアルコールは濃縮される
⑤ 塔の上部まで上がりきった蒸気は冷却槽で冷却され、再び液体に戻る
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蒸留酒にはどんな種類がある?
最後に、世界中の代表的な蒸留酒について表にまとめました。
名称 | 主な生産地 | 主な原料 | 特徴 |
焼酎 | 日本 | 穀物・いも類 | 単式蒸留焼酎は麦・芋・米などの原料由来の豊かな味と香り |
ウイスキー | 各国 | 発芽させた穀物 | 長期間の樽貯蔵による複雑な香味 |
ウォッカ | ロシア他 | 穀物 | レギュラー・タイプは無色・無味・無臭でクセがない |
ジン | 各国 | 穀物 | ボタニカル(植物成分)の爽やかな香り |
ブランデー | フランス他 | ブドウ | 果実由来の豊かな香り |
ラム | 各国 | サトウキビ | 香りづけとして使われるほどの香り高さ |
テキーラ | メキシコ | アガベ | 熟成度でクラスが分かれる |
白酒 | 中国 | コウリャン、米など | 高いアルコール度数と強い香り |
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【焼酎】
【ウイスキー】
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【そのほかの蒸留酒】
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ここまで、蒸留酒の楽しみ方や特徴についてご紹介してきました。
世界中のさまざまな国や地域で愛されている蒸留酒。自分好みの飲み方を見つけ、それぞれの蒸留酒の個性豊かな味わいを、ぜひ楽しんでみてくださいね。
※記事の情報は2024年4月26日時点のものです。
〈参考文献〉
邸景一/著『本格焼酎を楽しむ事典』西東社
大越智華子/著『匠が教える酒のすべて』三笠書房
地球の歩き方編集室/著『世界のお酒図鑑』Gakken
鮫島吉廣・高峯和則/著『焼酎の科学』講談社
金本亨吉・沢田貴幸/著『焼酎語辞典』誠文堂新光社
トム・スタンテージ/著 新井崇嗣/訳『歴史を変えた6つの飲物』楽工社
葉石かおり/監修『本格焼酎マニアックBOOK』シンコーミュージック