本格焼酎の蒸留に使われる単式蒸留機。その蒸留方式には、「常圧蒸留」と「減圧蒸留」の2種類があります。今回はこの2つの蒸留の仕組みやそこから生まれる焼酎の香味の違いを解説! 蒸留の違いを知ることは、自分好みの焼酎に出会うヒントになります。

そもそも蒸留とは?

焼酎と日本酒の違いを解説した記事でもご紹介しましたが、お酒の種類には大きく「醸造酒」と「蒸留酒」の2つがあり、「いいちこ」をはじめとした焼酎は「蒸留酒」に分類されます。

「醸造酒」とは果物や穀物といった原料を酵母でアルコール発酵させてできたお酒のことで、日本酒やビール、ワインがこれに分類されます。一方「蒸留酒」は醸造してできた発酵液(もろみ)を文字通り蒸留したお酒を指し、焼酎以外にウイスキーやウォッカも蒸留酒に分類されます。

ところで「蒸留」とは、そもそもどんな行為で、何のために行うのでしょうか? 蒸留とは簡単に言うと、ある「液体」を加熱してその一部を「気体」にし、その気体を冷やすことで再び「液体」にして取り出すこと。物質によって沸点が異なることを利用して、混合物の成分を分離・濃縮するために行います。酒づくりの場合、蒸留を繰り返すことでアルコール度数は96%まで上げられます。

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本格焼酎は「単式蒸留機」でつくられる

焼酎づくりの蒸留工程で使われる蒸留機には、「単式蒸留機」と「連続式蒸留機」の2種類があります。

単式蒸留機
昔ながらの蒸留機で、もろみ投入 ー 蒸留 ー もろみ残さ排出の流れで蒸留を行います。原料のもつ風味や香りを残すことができるのが特徴で、「いいちこ」をはじめとするいわゆる「本格焼酎(焼酎乙類)」は単式蒸留機でつくられます。

単式蒸留機

連続式蒸留機
塔のような高さのある形状の蒸留機で、連続して多段階の蒸留を行うため、不純物が少なく純度の高いアルコールが得られます。原料の風味をほとんど感じさせない「焼酎甲類」は連続式蒸留機でつくられます。

連続式蒸留機
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「常圧蒸留」と「減圧蒸留」の風味の違い

本格焼酎づくりで使う単式蒸留機には「常圧蒸留」と「減圧蒸留」という2つの蒸留方法があり、どちらをとるかで取り出される原酒の風味が変わります。

「常圧蒸留」とは蒸留機内の圧力を外気と変えずに蒸留する伝統的な方法。もろみを沸騰させるには90~100℃まで温度を上げる必要があります。この加熱の過程でさまざまな香気成分が生まれるため、常圧蒸留原酒は原料の風味が活きる濃醇な酒質になります。

「減圧蒸留」とは蒸留機内の空気を抜き、気圧を下げた状態で蒸留すること。沸点が下がるため、もろみは40~50℃くらいでも沸騰します。低温度のやさしい蒸留で加熱による影響が抑えられるので、減圧蒸留原酒は香りのよいすっきりとした酒質になります。

このように常圧蒸留と減圧蒸留を使い分けたり、それぞれの原酒を組み合わせたりすることで、さまざまな味わいの本格焼酎が生まれるのです。

蒸留方法の違いによって多彩に広がる「いいちこ」

常圧蒸留原酒を使用した「いいちこ」

力強く濃厚な味わいが特徴の「常圧蒸留原酒」。その魅力を堪能できる「いいちこ」はこちら。

いいちこ深薫

いいちこ深薫
(※飲食店限定商品)

減圧蒸留原酒を使用した「いいちこ」

華やかな香りとキレの良さが特徴の「減圧蒸留原酒」。その魅力を堪能できる「いいちこ」はこちら。

いいちこ空山独酌 麦

いいちこ空山独酌 麦

常圧蒸留原酒と減圧蒸留原酒をブレンドした「いいちこ」

うまみの「常圧蒸留原酒」と、香りの「減圧蒸留原酒」。これらを複数組み合わせることで相乗効果が生み出され、さまざまなタイプの「いいちこ」が生まれます。


蒸留方法の使い分けによって多彩に広がる「いいちこ」の香りと味わいを、ぜひお楽しみください。

※記事の情報は2022年8月5日時点のものです。