どちらも和食によく合うなど共通点もある焼酎と日本酒ですが、つくり方や飲み方には違いがあります。改めてその「違い」に着目し、解説します。

焼酎と日本酒の違い①|焼酎は蒸留酒、日本酒は醸造酒

焼酎と日本酒の違いとして最初に挙げたいのは、お酒としての分類です。焼酎は蒸留酒、日本酒は醸造酒に分けられます。

  醸造酒 蒸留酒
主なお酒の
ジャンル
日本酒
ビール
ワイン
紹興酒
シードル
焼酎
ウイスキー
ウォッカ
ジン
ラム
原料 果実や穀物 醸造酒
特徴 原料を酵母でアルコール発酵させて、そのままあるいは濾したもの。アルコール度数は高くても20%くらいまでと言われる。 醸造して出来上がった発酵液(もろみ)を蒸留機で加熱し、気化したものを冷却して液体にしたもの。蒸留を繰り返すことでアルコール度数は96%まで上げられる。

日本酒は、麹を使って米のデンプンを糖に変え、その糖を酵母の力でアルコールに変化させ、固形物を取り除くことで完成します。

焼酎も、原料の麦や米、芋などのデンプンを麹の力で糖に変え、酵母と合わせてアルコール発酵を行うところまでは似ていますが、このあとに蒸留という工程を行います。蒸留機を使って加熱し、発生したアルコールを含んだ蒸気を冷却し、液体にします。

ちなみに、焼酎の蒸留方法には「単式蒸留」と「連続式蒸留」の2種類がありますが、本格焼酎は原料の持ち味を程よく生かす単式蒸留によって蒸留されます。

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焼酎と日本酒の違い②|原料にも違いがあります

日本酒の主な原料はご存知の通り「米」。山田錦や五百万石といった酒米(さかまい)と言われる酒造好適米(しゅぞうこうてきまい)を使用することが多いようです。

ちなみに”日本酒”とは、清酒のうち原料に日本産米を使い、日本国内で醸造したもののみを指します。

酒米

一方、焼酎(本格焼酎)には麦焼酎、芋焼酎、米焼酎…といろんな種類があることから分かる通り、主な原料は「穀類や芋類」。これ以外にも、「国税庁長官の指定する物品」として、以下の原料を使用することが認められています。

あしたば、あずき、あまちゃづる、アロエ、ウーロン茶、梅の種、えのきたけ、おたねにんじん、かぼちゃ、牛乳、ぎんなん、くず粉、くまざさ、くり、グリーンピース、こならの実、ごま、こんぶ、サフラン、サボテン、しいたけ、しそ、大根、脱脂粉乳、たまねぎ、つのまた、つるつる、とちのきの実、トマト、なつめやしの実、にんじん、ねぎ、のり、ピーマン、ひしの実、ひまわりの種、ふきのとう、べにばな、ホエイパウダー、ほていあおい、またたび、抹茶、まてばしいの実、ゆりね、よもぎ、落花生、緑茶、れんこん、わかめ

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二条大麦
麦焼酎の原料となる二条大麦

焼酎と日本酒の違い③|アルコール度数は?

焼酎と日本酒はアルコール度数にも違いがあります。

一般に流通している焼酎のアルコール度数は25度前後が主流です。つまりアルコール分は25%。ただし水やお湯、炭酸などで割って飲むことも多いのが焼酎の特徴でもあります。25度の焼酎の場合、焼酎と割り材の割合が1:1でアルコール分12.5%、4:6で10%、1:3で6.25%となります。

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かたや、流通している日本酒のアルコール度数は15度(アルコール分15%)前後が多く、醸造酒の中では高めとなっています。

焼酎と日本酒の違い④|カロリーは?

100mlあたりの焼酎と日本酒のカロリーを比べてみましょう。

焼酎の一般的なカロリーは25度の場合は140kcal前後、20度の場合は112kcal前後です。ちなみに、25度の焼酎を1:1の水割りにした場合の100mlあたりのカロリーは、70kcal前後となります。醸造酒と違い、糖質が含まれないため、そのカロリーはほぼアルコール由来のもののみであることも特徴的です。

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日本酒は、文部科学省の食品成分データベースによると、100ml(100g)あたり102~106kcalです。これはアルコール分12.0~12.5%で計算されており、一般的な日本酒のアルコール分が15%ですので、実際はもう少し高い数値になります。

焼酎と日本酒の違い⑤|飲み方は?

次は、焼酎と日本酒の飲み方についてご紹介します。

焼酎はストレートやロックはもちろん、水、お湯、炭酸、お茶など、季節やおつまみに合わせてさまざまな割り材で割って飲むことができるお酒です。

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焼酎の飲み方

日本酒は、割らずに温度を変えて楽しむのが一般的です。冷や(常温/20℃)、ぬる燗(40℃)、熱燗(50℃)などよく耳にするものをはじめ、5℃(雪冷え)~55℃(飛び切り燗)まで5℃ごとに呼び名があります。

燗酒

焼酎と日本酒の違い⑥|どちらも「国酒」

焼酎と日本酒には共通点もあります。それはどちらも国酒だということ。

日本を代表する花=国花は「桜、菊」、国鳥は「キジ」というように、実は国酒(こくしゅ)もあり、「日本酒、本格焼酎、泡盛、本みりん」が選ばれています。

この4つの国酒にはもうひとつ共通点があり、それは国菌(こっきん)である「麹菌」が使われていること。味噌や醤油にも欠かせない麹を使ったお酒は日本独特の文化であり、日本の食文化を代表する存在なのです。

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※記事の情報は2022年2月18日時点のものです。