日本の伝統的なお酒「焼酎」。その特徴や種類、他のお酒との違い、飲み方、カロリーや賞味期限といった実用情報まで、やさしく解説します。焼酎の基本を知りたい初心者さんにもぴったりです。
焼酎とは?
焼酎は、日本を代表する蒸留酒※です。銘柄によって味わいや香りはさまざまですが、すっきりとした飲み口のものが多く、昔から食事と一緒に楽しむ「食中酒」として親しまれてきました。
アルコール度数は20〜30度前後のものが多く、水やお湯、炭酸水、ジュースなどで割って飲まれることも多いお酒です。

日本の酒税法では、焼酎を次のように定義しています。
アルコール含有物を蒸留した酒類のうち、
A:連続式蒸留機で蒸留したもので、アルコール分36度未満
B:連続式蒸留機以外で蒸留したもので、アルコール分45度以下
且つ、ウイスキー、ブランデー、ウォッカ、ラム、ジンなどに該当しないもの
※ 蒸留酒とは?
お酒のもととなる醪(もろみ)に熱を加え、アルコール分や香り成分を抽出したお酒のこと。醪を搾ったり、ろ過したりしてつくられる醸造酒に比べ、アルコール度数が高いのが特徴。
本格焼酎と焼酎甲類の違いは?
日本の焼酎は、「本格焼酎」と「焼酎甲類」の2つに分けられます。大きな違いは、焼酎をつくる際の蒸留方法です。
焼酎の蒸留方法には、「単式蒸留」と「連続式蒸留」の2種類があります。
単式蒸留は、原料の風味や香りが表れやすい伝統的な方法で、本格焼酎づくりに用いられます。一方、連続式蒸留は、雑味の少ないアルコールを精製できる近代的な方法で、焼酎甲類づくりに使われます。

「本格焼酎」と「焼酎甲類」には、それ以外にも、原料や味わい、楽しみ方などに、さまざまな違いがあります。それぞれの特徴を見てみましょう。
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種類 |
本格焼酎 |
焼酎甲類 |
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原料 |
麦・芋・米・黒糖・そば など |
糖蜜※、トウモロコシ、でんぷんなど |
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麹 |
使用する |
基本的には使用しない |
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蒸留方法 |
単式蒸留機によって1回だけ蒸留 |
連続式蒸留機によって複数回蒸留 |
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味わい |
原料の風味が感じられる個性豊かな味わい |
無味無臭でクリア |
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基本的な |
ロック・水割り・お湯割り・炭酸割りなど |
チューハイ・梅酒のベースなど |
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その他 |
原料の名前が頭につく(例:麦焼酎) |
原材料の名前はつかない |
※ 糖蜜とは?
サトウキビから砂糖を作る際、砂糖にならなかった部分の液体。
本格焼酎はどうやってつくられる?
続いて、本格焼酎がどのようにつくられるのかを、本格麦焼酎「いいちこ」を例に、おおまかに見てみましょう。

① 原料選び・下準備
麦・米・芋などの原料を選び、下処理をします。「いいちこ」には、厳選された二条大麦を使用します。
② 麹づくり
麦や米などの穀物に麹菌を繁殖させ、発酵に欠かせない「麹」をつくります。「いいちこ」づくりでは、大麦麹をつくります。

③ 仕込み
麹・原料・水・酵母を合わせて醪(もろみ)をつくり、発酵させます。
④ 蒸留
醪を単式蒸留機で蒸留し、原料の風味を生かした焼酎の原酒を取り出します。
⑤ 貯蔵・熟成
原酒を一定期間貯蔵し、香味を落ち着かせてバランスを整えます。
⑥ 仕上げ
「いいちこ」づくりでは、数種類の原酒をブレンドしたうえで、清冽な水を加えてアルコール度数を調節。仕上げに、「官能評価パネリスト」が五感を使って香りや味わいを確認します。

| ▼あわせて読みたい ・焼酎のつくり方~「いいちこ」ができるまで~ ・麦焼酎の原料①身近なのに意外と知らない「大麦」のはなし ・麦焼酎の原料②焼酎に豊かな香味をもたらす「麹(こうじ)」のはなし ・最後に頼るのは人の五感! 「いいちこ」のおいしさを守り続けるための取り組みとは? |
本格焼酎を含む、麹菌を用いた日本「伝統的酒造り」は、2024年12月5日にユネスコ無形文化遺産に登録されました。
その原型は約500年以上前に確立したとされ、日本各地の気候や風土に合わせて進化し、本格焼酎や日本酒、泡盛、みりんなど、さまざまな日本のお酒づくりに受け継がれています。
本格焼酎の種類
本格焼酎は、原料によって味わいや香りの表情が変わる、個性豊かなお酒です。ここでは、初心者の方にもなじみやすい、代表的な原料ごとの焼酎の特徴を紹介します。
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種類 |
主原料 |
味・香りの傾向 |
主な産地 |
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麦焼酎 |
大麦 |
すっきり軽快なものから、麦由来の香ばしさやコクのあるものまで幅広い |
大分県、長崎県(壱岐)など |
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芋焼酎 |
さつまいも |
さつまいもの甘い香りとほのかな甘み |
鹿児島県、宮崎県南部 |
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米焼酎 |
米 |
穏やかでやさしい味わいから、香味豊かなものまで多彩 |
熊本県(球磨)など |
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そば焼酎 |
そば |
そば特有の香ばしい風味 |
宮崎県(高千穂)、長野県、北海道など |
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黒糖焼酎 |
黒糖 |
黒糖由来の甘い風味 |
鹿児島県(奄美諸島) |
本格焼酎に使える原料はこれだけではありません。一般的に知られているもの以外にも、国税庁長官の指定する物品として、さまざまな原料が認められています。
| 国税庁長官の指定する物品 あしたば、あずき、あまちゃづる、アロエ、ウーロン茶、梅の種、えのきたけ、おたねにんじん、かぼちゃ、牛乳、ぎんなん、くず粉、くまざさ、くり、グリーンピース、こならの実、ごま、こんぶ、サフラン、サボテン、しいたけ、しそ、大根、脱脂粉乳、たまねぎ、つのまた、つるつる、とちのきの実、トマト、なつめやしの実、にんじん、ねぎ、のり、ピーマン、ひしの実、ひまわりの種、ふきのとう、べにばな、ホエイパウダー、ほていあおい、またたび、抹茶、まてばしいの実、ゆりね、よもぎ、落花生、緑茶、れんこん、わかめ |
各地の名産品が使われている本格焼酎も多いので、旅先などで探してみると面白いかもしれません。
| ▼あわせて読みたい ・麦焼酎ってどんなお酒? 飲み方や気になるカロリーも! |
焼酎と他のお酒との違いは?
焼酎初心者さんにとっては、焼酎と他のお酒との違いが分かりにくいこともあるかもしれません。
ここでは、「日本酒」「泡盛」「ウイスキー」と本格焼酎との違いを、ポイントを絞って解説します。
本格焼酎と日本酒の違い
本格焼酎と日本酒は、どちらも麹菌を使う日本の國酒です。大きな違いは、本格焼酎は蒸留酒、日本酒は醸造酒であることです。
日本酒は米を原料につくられ、そのまま楽しむのが一般的。それに対して本格焼酎は麦・芋・米など原料の幅が広く、ロックや水割り、お湯割りなど自由な飲み方ができます。
| ▼あわせて読みたい ・焼酎と日本酒の違いは? つくり方や飲み方の違いを5つのポイントから徹底解説! |
本格焼酎と泡盛の違い
泡盛は、沖縄県でつくられる伝統的な蒸留酒です。本格焼酎と同じく単式蒸留が用いられますが、黒麹※1とタイ米を使い、どんぶり仕込み※2でつくられる点が特徴です。
泡盛には黒麹由来のコクのある味わいがあり、長期熟成したものは「古酒(クース)」と呼ばれます。
※1 黒麹とは?
麹の種類には大きく「黄麹」「黒麹」「白麹」と3種類あり、黒麹には、雑菌の繁殖を抑えるクエン酸を多く生成する特徴があります。ちなみに、「いいちこ」づくりには主に白麹が使われています。
※2 どんぶり仕込みとは?
原料のすべてを一度に加えて発酵させる仕込みの方法。一方、本格焼酎づくりでは、麹と水、酵母から仕込んだ一次もろみに、麦や芋、米などの主原料を加える「二次仕込み」という方法をとるのが一般的です。
| ▼あわせて読みたい ・焼酎と泡盛の違いとは? 原料やつくり方など、さまざまなポイントから解説! |
本格焼酎とウイスキーの違い
本格焼酎とウイスキーは、ともに蒸留酒です。なかでも本格麦焼酎とモルトウイスキーは、どちらも主原料が大麦と、共通点の多いお酒です。
違いは、原料に含まれるでんぷんを糖分に変えるときに「麹」を使うか、「麦芽」を使うか、そして蒸留回数や熟成方法にあります。
本格焼酎は麹を使い、蒸留回数は基本的に1回のみ。タンクや甕、樽などさまざまな方法で貯蔵されます。一方、ウイスキーは麦芽を使い、蒸留は通常2~3回。木樽での熟成が一般的です。
| ▼あわせて読みたい ・焼酎とウイスキーの違いは? 麦焼酎とモルトウイスキーは意外と似ている? |
焼酎の飲み方
焼酎は、飲み方次第でいろいろなおいしさを楽しめるのが魅力です。ここでは、焼酎の人気の飲み方についてご紹介します。
ロック

氷を入れたグラスに焼酎を注ぐ、シンプルな飲み方。氷によって冷たく引き締められた焼酎のキリッとしたおいしさと、鼻に抜ける香りが楽しめます。
水割り

焼酎に水を加えた、やさしい飲み口の水割り。口当たりがまろやかになり、食事と一緒に味わうのにもぴったりです。本格麦焼酎「いいちこ25度」の場合は、焼酎6:水4~焼酎5:水5の割合がおすすめです。
お湯割り

肌寒い日に飲みたくなるお湯割り。お湯の温かさで焼酎の香りが立ち、ほっと気分がやわらぎます。本格麦焼酎「いいちこ25度」の場合は、焼酎6:水4~焼酎4:水6の割合がおすすめです。
炭酸割り

焼酎を炭酸水で割った爽快感のある飲み方。すっきりした飲み心地で、揚げ物など油の多い料理とも好相性です。本格麦焼酎「いいちこ25度」の場合、焼酎1:炭酸水3の割合がおすすめです。
お茶割り

焼酎を緑茶で割った人気のお茶割り。なかでも本格麦焼酎「いいちこ」を使って作る「いい茶こ」は、まろやかでやさしい飲み心地で、食事との相性も抜群です。「いいちこ25度」と緑茶を、1:3の割合でつくるのがおすすめです。
焼酎のカロリー・糖質・賞味期限
ここからは、焼酎を飲むときに知っておくと役立つ知識をご紹介します。
焼酎のカロリー
焼酎のカロリーは、アルコールそのものに由来します。
そもそも、アルコールは化学的にいうとエタノールという成分です。このエタノールには1gあたり約7kcalのカロリーがあるため、焼酎に含まれるエタノール(純アルコール)の重量(g)は、以下の概算式で算出できます。
アルコール度数(%)×容量(ml)×0.8(アルコール比重)÷100
この計算をもとに、焼酎100mlあたりのカロリーの目安を見ると、以下のとおりです。
・アルコール25度の焼酎:約140kcal
・アルコール20度の焼酎:約112kcal
商品や製法によって多少前後するため、25度は約140kcal、20度は約110kcal前後と考えておくとよいでしょう。
焼酎の糖質
本格焼酎には、糖質は含まれていません。
焼酎は、原料を発酵させたあとに蒸留してつくられます。蒸留の過程で、アルコールと香りの成分だけが取り出されるため、糖質は残らないのです。
| ▼あわせて読みたい ・焼酎100mlのカロリー、糖質はどのくらい? 飲み方別のカロリーも算出! |
焼酎の賞味期限
焼酎に賞味期限はありません。
焼酎はアルコール度数が高く、雑菌が繁殖しにくいため、腐敗することがありません。また、蒸留によって糖や酸などの成分がほぼ取り除かれているため、保存状態に問題がなければ味や香りも変化しにくいお酒です。
家庭では、冷暗所で、容器を立てて保管しましょう。
| ▼あわせて読みたい ・「焼酎の賞味期限」を解説! 保存に適さない場所や環境は? |
おまけ|焼酎の雑学
最後に、知っていると誰かに話したくなる焼酎の雑学をご紹介します。
焼酎の歴史
焼酎のルーツは、中国や東南アジアから伝わった蒸留酒だといわれています。
日本で単式蒸留焼酎がつくられ始めたのは、15世紀頃の沖縄。東南アジアと交易のあった琉球王国に、シャム国(現在のタイ国)から「南蛮酒」と呼ばれる蒸留酒が伝わり、それが泡盛の起源になったという説が一般的に知られています。
日本の歴史に「焼酎」の文字が初めて登場するのは室町時代です。鹿児島県伊佐市の郡山八幡神社に残る古い木片には、1559年に本殿改築に携わった大工が書いたとされる「施主がケチで一度も焼酎を飲ませてくれない」といった落書きがあります。
| ▼あわせて読みたい ・【焼酎の起源と歴史】知ればもっと焼酎がおいしくなる! |
焼酎を英語で言うと?
最近では、海外のバーやレストランでも注目されつつある焼酎。アメリカでは、ウォッカやジンなどのスピリッツと同様、カクテルベースとしても使われています。
そんな焼酎は、英語でも「Shochu(ショウチュウ)」と呼びます。
麦焼酎や芋焼酎など、種類を表したいときは、それぞれ原料名を頭につけて、
麦焼酎「Barley Shochu(バーリィ ショウチュウ)」
芋焼酎「Sweet potato Shochu(スウィート ポテト ショウチュウ)」
米焼酎「Rice Shochu (ライス ショウチュウ)」
と表現すればOKです。
焼酎について、少し身近に感じられたでしょうか?
知れば知るほど奥が深い焼酎。すっきりとしてクセのない「いいちこ」は、焼酎初心者さんにもおすすめです。いつもの食事やくつろぎの時間に、ぜひ試してみてくださいね。
〈参考文献・サイト〉
・国税庁|焼酎に関するもの
・国税庁|ユネスコ無形文化遺産「伝統的酒造り」について
・金本亨吉・沢田貴幸/著『焼酎語辞典』誠文堂新光社
※記事の情報は2026年1月16日時点のものです。
