麦焼酎の主原料である「大麦」は古くから私たちに欠かせない穀物でありながら、その成り立ちや食べられ方、栄養や分類などは意外と知られていません。今回は大麦の豆知識を中心に、「いいちこ」に使われる「二条大麦」ついてもご紹介します。

※ここでいう「麦焼酎」は、主に三和酒類が製造する麦焼酎を指します。

麦は世界で一番食べられている穀物

麦焼酎の原料として使われる「大麦」は、パンやうどんなどの麺類に使われる「小麦」と同じ「ムギ類」に属する穀物です。他にムギ類に属する穀物として、北欧や東欧で多く栽培される「ライ麦」と、ロシアなどで生産が盛んな「燕麦(えんばく)」があります。

ムギ類は、世界三大穀物であるイネやトウモロコシと同じイネ科の植物ですが、比較的どんな環境でも育てやすいことから、世界で広く栽培され、人間の食を支える最も重要な穀物となりました。

ムギ類に属する穀物と主な用途

ちなみに、米を主食としてきた私たち日本人は、小麦や大麦、ライ麦、燕麦を「麦」という総称で呼びますが、パンや麺類を主食とする欧米の国々には「麦」という言葉はなく、それらを全く別の作物として扱っています。

小麦よりも古い? 大麦と日本人の関係

麦ごはん

大麦は世界最古の穀物の一つといわれ、メソポタミアやエジプトでおこった古代文明の繁栄を支えました。

大麦が日本に伝わったのは小麦よりも早く、1800年ほど前に中国から朝鮮半島を経て伝来。奈良時代には日本各地で広く栽培されるようになりました。

大麦を米と混ぜ「麦ごはん」として食べるようになったのは、平安時代からと言われています。いまでこそ小麦のほうが身近ですが、歴史的に見ると、日本では昭和の初めころまで麦と言えば「大麦」が主流。ビタミンや食物繊維も豊富な大麦は、米が不足していた時代の貴重な栄養源だったのです。

一口に「大麦」と言っても、種類はさまざま

麦ごはんから麦茶、味噌、お酒まで、幅広い食品に使われる大麦には、いくつか種類があります。

大麦には穂の形から、実が2列に並ぶ「二条大麦」と6列に並ぶ「六条大麦」があり、一般的に二条大麦の方が粒が大きく、六条大麦は小粒です。また、実が皮から剥がれやすいものを「はだか麦」、もち性遺伝子型を有する品種を「もち麦」と呼んでいます。

二条大麦
二条大麦
六条大麦
六条大麦

麦焼酎づくりには、ビールやウイスキーづくりと同じ、粒の大きい「二条大麦」が使われます。

■大麦の種類と主な用途
・二条大麦(大粒大麦)・・・麦焼酎、ビール、ウイスキー
・六条大麦(小粒大麦)・・・麦茶、麦ごはん、大麦麺
・はだか麦・・・麦味噌、麦ごはん
・もち麦・・・麦ごはん、大麦麺

大麦を厳選することから「いいちこ」づくりは始まる

麦の選抜の様子

おいしい料理が良い素材から作られるように、おいしい「いいちこ」は良い原料大麦から生まれます。

おいしい麦焼酎をつくるには、まず原料大麦の粒が大きいこと、粒がそろっていること、でんぷんが豊富なことが重要です。さらに「いいちこ」には香りや味わい、度数が異なるさまざまな商品があり、その焼酎適性に合った原料大麦の品種の使い分けやブレンド技術も求められます。

原料を質、量ともに安定的に確保することも大切です。三和酒類では、産地から数百種類もの二条大麦のサンプルを取り寄せ、さまざまなテストや試作を繰り返し、安全性や品質規格をクリアした二条大麦のみを焼酎用原材料として選抜しています。

また、厳選した大麦を産地から仕入れる過程においても厳密な品質検査を実施。現地で繰り返し品質チェックを行い、三和酒類での原料受入れ時にも検査を重ね、品質の確かさと安全性を担保しています。

受け入れ前品質検査

三和酒類では、生産者との信頼関係を築くことにも取り組んでいます。品質の良い、安全・安心な二条大麦を安定的に仕入れるために、生産者とのコミュニケーションは重要な部分です。大麦生産者と定期的なミーティングを行い、生産者の声を聴くこと、また三和酒類の考えも生産者へお伝えし相互理解を深めています。

「おいしい焼酎は良い原料から」という三和酒類の品質に対する想い。原料大麦に関わるすべての方々とのつながり。お客様へ最高の商品をお届けするため、これらを大事にしながら原料大麦を確保するための努力を続けています。

※記事の情報は2021年2月19日時点のものです。

【参考文献】
全国精麦工業協同組合連合会 HPより
・吉田久/編『ムギの大百科 (まるごと探究!世界の作物)』農山漁村文化協会