「お酒の種類にはどんなものがあるの?」そんな疑問をすっきり解決! ビールにワイン、日本酒、焼酎など、身近なお酒の種類と特徴をわかりやすく解説します。それぞれの違いをざっくりと把握できれば、これからのお酒選びにも役立つはず! ぜひ、お気に入りを見つけてみてください。

お酒とは?

そもそも、お酒とはなんなのでしょうか? 日本の酒税法では、アルコール分を1%以上含む飲料を「酒類」と定義しており、これがいわゆるお酒にあたります。

最近注目を集めている、アルコール分が1%未満の「微アルコール飲料」は、酒税法上ではお酒にあたらないため酒税(お酒にかかる税金)は課税されません。ただし、アルコールは含まれているため、20歳未満の方が飲むことは推奨されていません。

また、アルコール分が0.00%のノンアルコール飲料もありますが、こちらも基本的には20歳以上の飲用を想定して開発されているため、20歳未満の方が飲むことは推奨されていません。

なお、2022年4月1日から、成人(成年)年齢が18歳に引き下げられましたが、お酒を飲むことに関する年齢制限はこれまでと変わらず20歳以上のまま。ノンアル・微アルを含め、お酒を楽しむ際はこの点をしっかり押さえておきましょう。

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基本的なお酒の分類と、代表的な種類一覧

世界中のお酒は、その製法によって「醸造酒」「蒸留酒」「混成酒」の3種類に分けられます。それぞれの特徴と、代表的なお酒の種類を一覧でまとめました。

分類 特徴 代表的なお酒
醸造酒
(じょうぞうしゅ)
原料をそのまま、あるいは糖に分解した上で、アルコール発酵させてつくったお酒 ・ビール
・ワイン
・日本酒
蒸留酒
(じょうりゅうしゅ)
醸造酒、醸造酒かす、その他アルコールを含む物質を蒸留してつくったお酒 ・焼酎
・ウイスキー
・ブランデー
・スピリッツ
混成酒
(こんせいしゅ)
醸造酒や蒸留酒に、果実やハーブ、甘味料などを加えてつくるお酒 ・リキュール

発酵とは、微生物が原料を分解し、人にとって役立つ物質に変えること。お酒づくりでは、酵母という微生物が原料の糖を分解してアルコールと二酸化炭素を生み出します。これを「アルコール発酵」と呼び、お酒のもとになる大切なプロセスです。

ではここからは、それぞれのお酒がどんなものなのか、「醸造酒」「蒸留酒」「混成酒」の順に詳しく見ていきましょう。

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醸造酒|ビール

ビール

ビールとは?

ビールは、世界中のあらゆる地域で飲まれている醸造酒。大麦を発芽させた麦芽(モルト)を主な原料として、アルコール発酵させることによってつくられます。その味わいは、使用する大麦の種類や酵母、水質、ホップのバランスによって大きく変化します。ビールの起源は古く、世界最古の文明といわれるメソポタミア文明で誕生したという説もあります。

※ ホップ:ビールに香りや苦みを加える植物。泡立ちをよくし、保存性を高める働きもある

ビールの種類

「エールビール」や「ラガービール」という言葉を聞いたことはないでしょうか? 

「エール」や「ラガー」というのは、使用される酵母の名前。それぞれ発酵の仕方が異なり、味わいや楽しみ方も変わってきます。

種類 エールビール ラガービール
酵母 エール酵母 ラガー酵母
発酵の仕方 上面発酵
15〜20℃前後のやや高めの温度で、酵母は麦汁の上のほうに浮かびながら発酵する
下面発酵
およそ10℃の低温環境で、酵母はタンクの底に沈みながらゆっくりと発酵する
香りや味わい フルーティで甘い香り、個性豊かな味 すっきりした味わいで喉越しがよい

おすすめの
飲み方

冷やしすぎず、ワイングラスのようなグラスでゆっくりと キリッと冷やして爽快感を楽しむ
代表的な
スタイル
・エール
・ペールエール
・ヴァイツェン
・IPA
・ラガー
・ピルスナー
・アメリカン
・ヘレス

※ スタイル:麦芽や酵母、ホップ、アルコール度数などの違いによって分けられる、ビールの味や特徴のタイプ

ちなみに、よく耳にする「生ビール」とは、製造工程において熱処理をしていないビールのこと。できあがったビールには酵母が生きた状態で残っており、その動きを加熱によって止めるのが「熱処理ビール」、ろ過によって取り除いたものが「生ビール」となります。

ビールと発泡酒の違いとは?

ビールとよく似たお酒に「発泡酒」があります。両者の違いは、簡単に言うと「麦芽の使用量」と「副原料の内容や割合」。それぞれの特徴を、下の表で見てみましょう。

種類 ビール 発泡酒
原料 麦芽・水・ホップ+法律で定められた副原料 麦芽または麦+自由な副原料
麦芽の使用量 水、ホップを除いた原料のうち50%以上 原料のうち50%未満
副原料の割合 麦芽の5%以下 制限なし
アルコール度数 20%未満 20%未満

※ 法律で定められた副原料:麦、米、トウモロコシ、こうりゃん、ばれいしょ、でんぷん、糖類、果実、コリアンダー、財務省令で定められた苦み料や香味料など

またその他に、“麦芽や麦を使っておらず、香味や色がビールに似ているもの”を「発泡酒」に分類することもあります。

醸造酒|ワイン

ワイン

ワインとは

ワインは、主にブドウを原料としてつくられるシンプルな醸造酒。ブドウに含まれる糖分を、酵母の働きによって発酵させるのが特徴です。白ワインには黄緑色の「白ブドウ」、赤ワインには赤紫色の「黒ブドウ」が使用され、この見た目の違いがワインの色にもつながっています。ワインの歴史はとても古く、紀元前6000年ごろには、黒海周辺(現在のジョージアあたり)ですでにワインづくりが行われていたとされています。

ワインの種類

ワインはその色によって、「赤ワイン」「白ワイン」「ロゼワイン」の3種類に分けられます。ロゼはフランス語で“バラ”を意味し、赤と白の間のやさしいピンク色が特徴です。

ここでは、色ごとの違いと代表的なブドウ品種を簡単にご紹介します。

種類 製法 味わいの傾向 代表的なブドウ品種
赤ワイン 黒ブドウの果肉に加え、種や果皮まで丸ごと発酵させる 渋みとコクがあり、飲みごたえのある味わい ・カベルネ・ソーヴィニヨン
・ピノ・ノワール
・メルロー
・シラー(シラーズ)
白ワイン 白ブドウの果肉だけを発酵させる さわやかでキリッとしたものから、まろやかで果実味あるタイプまでさまざま ・シャルドネ
・ソーヴィニヨン・ブラン
・セミヨン
・リースリング
ロゼワイン 複数の製法がある。代表的な「セニエ法」の場合、赤ワイン製造と同じくブドウを潰してタンクに入れ、短時間置いたあとに果汁を抜き取り、果汁のみを発酵させる

(セニエ法の場合)フルーティでしっかりとした味わい

(セニエ法の場合)赤ワイン用の黒ブドウが主に使用される

ワインの風味は、使用されるブドウ品種によっても大きく変化します。同じ赤ワインでも、「カベルネ・ソーヴィニヨン」は力強く重厚、「ピノ・ノワール」は華やかで繊細といったように、個性豊かな味わいが生まれるのもワインの面白さです。

製法によるワインの分け方

ワインは色の他に、製法によっても以下の4つに分けられます。

上記の「赤ワイン」「白ワイン」「ロゼワイン」は、製法上は「スティルワイン(非発泡性ワイン)」に分類されます。詳しく見ていきましょう。

種類 特徴 代表的なワイン
スティルワイン
(非発泡性ワイン)
炭酸ガスを含まない、いわゆる普通のワイン ・赤ワイン
・白ワイン
・ロゼワイン
スパークリングワイン
(発泡性ワイン)
炭酸ガスを含んだ、泡のあるワインの総称 ・シャンパン
・カヴァ
・プロセッコ
フォーティファイドワイン
(酒精強化ワイン)
醸造途中で蒸留酒を加え、アルコール度数を15~22度程度まで高めたワイン ・シェリー
・ポートワイン
・マデイラ
フレーバードワイン
(香味付けワイン)
ワインに果実や薬草、甘味料などを加えて香りづけしたワイン ・サングリア
・ベルモット

ちなみに、フォーティファイドワインとフレーバードワインは、ワインに蒸留酒や果実などを加えてつくるため、お酒の分類上は「混成酒」に含まれます。

醸造酒|日本酒

日本酒

日本酒とは

日本酒は、米からつくられる日本特有の醸造酒。蒸した米に麹菌を加えて「米麹(こめこうじ)」をつくり、水と一緒に発酵させてできあがった液体(もろみ)を、最後に濾して完成します。できたての日本酒はアルコール度数が18%ほどありますが、一般的には15%前後になるように水を加えてから出荷されます。最近では和食ブームの影響もあり、「SAKE」として海外でも人気が広がっています。

※ 麹菌:穀物に含まれるでんぷんを糖に変える働きを持つ微生物。酒づくりの麹菌には白麹菌、黒麹菌、黄麹菌の3種類があり、日本酒づくりには主に「黄麹」が使われる

日本酒の種類

日本酒は、製法によって種類が分けられます。

ラベルでよく見かける「純米酒」や「吟醸酒」などといった日本酒は「特定名称酒(とくていめいしょうしゅ)」と呼ばれ、使うお米の削り具合(精米歩合)や、醸造アルコール※1を加えるかどうかといった基準が明確に決められています。

下の表で、それぞれの特徴を見ていきましょう。

種類 原料 精米歩合 つくりや香味等の要件

吟醸酒
(ぎんじょうしゅ)

米、米こうじ、 醸造アルコール

60%以下

吟醸づくり※2、固有の香味、色沢が良好

大吟醸酒
(だいぎんじょうしゅ)

米、米こうじ、 醸造アルコール

50%以下

吟醸づくり、固有の香味、色沢が特に良好

純米酒
(じゅんまいしゅ)

米、米こうじ

香味、色沢が良好

純米吟醸酒
(じゅんまいぎんじょうしゅ)

米、米こうじ

60%以下

吟醸づくり、固有の香味、色沢が良好

純米大吟醸酒
(じゅんまいだいぎんじょうしゅ)

米、米こうじ

50%以下

吟醸づくり、固有の香味、色沢が特に良好

特別純米酒
(とくべつじゅんまいしゅ)

米、米こうじ

60%以下又は特別な製造方法(要説明表示)

香味、色沢が特に良好

本醸造酒
(ほんじょうぞうしゅ)

米、米こうじ、 醸造アルコール

70%以下

香味、色沢が良好

特別本醸造酒
(とくべつほんじょうぞうしゅ)

米、米こうじ、 醸造アルコール

60%以下又は特別な製造方法(要説明表示)

香味、色沢が特に良好

一方、こうした表示がなく、特定名称酒の規定に当てはまらないものは「普通酒」と呼ばれます。

※1 醸造アルコール:でん粉質物や含糖質物から醸造されたアルコール。もろみに適量添加することで、香り高くスッキリした味になるほか、香味を劣化させる乳酸菌(火落菌)の増殖を防ぐ効果もある
※2 吟醸づくり:米を丁寧に削り、低い温度でじっくり発酵させる伝統的な日本酒のつくり方。発酵に時間をかけることで、フルーティで華やかな香り(吟香)が生まれる

ラベルから読み取る味わいのヒント

お店に並ぶ日本酒がどんな味わいなのかを知るには、ラベルの表示がヒントになります。ポイントとなるのは「日本酒度」「酸度」「アミノ酸度」の3つ。それぞれが何を意味するのか、見てみましょう。

日本酒度
日本酒の「甘口」か「辛口」かを示す目安。数値がプラスになるほど辛口、マイナスになるほど甘口とされています。

酸度
日本酒に含まれる「酸の量」のこと。酸が多いほど辛口の傾向が強くなり、少ないほど淡麗で甘口に感じられます。

アミノ酸度
日本酒に含まれる「うまみ成分(アミノ酸)」の量を表しています。多いほどコクのある味に、少ないと軽やかな飲み口になります。

ただし、どの数値も味のおおよその目安にすぎません。実際の味わいは、飲んでみてからのお楽しみ。ラベルを手がかりに、気になる一本をぜひ試してみてくださいね。

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蒸留酒|焼酎

焼酎

焼酎とは

焼酎は、日本を代表する蒸留酒です。伝統的な製法で麹を使ってつくられる「本格焼酎(単式蒸留焼酎)」と、20世紀に入ってから登場した比較的新しい「焼酎甲類(連続式蒸留焼酎)」の2種類に分けられます。本格焼酎は、戦国時代(約500年前)にはすでに九州でつくられていたとされ、日本酒などと並んで日本の國酒にも指定されています。いろいろな飲み方で楽しめるのも魅力で、世界中の蒸留酒の中ではめずらしく、食中酒として親しまれているのも大きな特徴です。

焼酎の種類

「本格焼酎」と「焼酎甲類」には原料や製法、味わいに至るまでさまざまな違いがあります。気分や好みによって幅広い楽しみ方ができるのが、焼酎の面白さです。

種類 本格焼酎(単式蒸留焼酎) 焼酎甲類(連続式蒸留焼酎)

原料

麦・芋・米・黒糖・そば など

糖蜜、トウモロコシ、でんぷんなど

使用する

基本的には使用しない

蒸留方法

単式蒸留機によって1回だけ蒸留

連続式蒸留機によって複数回蒸留

味わい

原料の風味が感じられる個性豊かな味わい

無味無臭でクリア

基本的な楽しみ方

ロック・水割り・お湯割り・炭酸割りなど

チューハイ・梅酒のベースなど

その他

原料の名前が頭につく(例:麦焼酎)

原材料の名前はつかない

※ 糖蜜:サトウキビから砂糖を作る際、砂糖にならなかった部分の液体

本格焼酎はかつて「焼酎乙類」と呼ばれていました。その呼び名の始まりは、明治43年(1910年)。連続式蒸留機の導入によって新たに生まれた焼酎が「新式焼酎」、それ以前からある焼酎が「旧式焼酎」と区別されるようになったことにあります。その後、昭和24年(1949年)の酒税法制定により、新式焼酎は「焼酎甲類」、旧式焼酎は「焼酎乙類」と命名されました。

しかし「甲乙」という言葉には優劣の印象がともなうため、伝統的な製法でつくられる焼酎乙類を「本格焼酎」と呼ぶ動きが広がります。そして昭和46年(1971年)に、ようやく本格焼酎という名称が正式に認められることとなりました。

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泡盛やソジュとの違いは?

焼酎とよく似たお酒に、沖縄の「泡盛」や韓国の「ソジュ」があります。どちらも蒸留酒ですが、それぞれに異なるルーツや製法があり、風味や飲まれ方にも特徴があります。

泡盛
泡盛は、沖縄で古くから親しまれている伝統的な蒸留酒。日本酒、焼酎と同じく、日本の國酒に指定されています。焼酎との大きな違いは原料にあり、タイ米(インディカ米)を使い、「黒麹」と呼ばれるクエン酸を多く生み出す麹で仕込まれます。また、原料すべてを麹にして発酵させる「全麹仕込み」という製法を用いるのも特徴です。長期間熟成させた「古酒(クース)」は、芳醇でコクのある味わいが魅力。ストレートや水割り、ロックなど、さまざまなスタイルで楽しまれています。

ソジュ
韓国で国民酒として親しまれているソジュは、日本の焼酎甲類に近いお酒。連続式蒸留によってつくられる、すっきりとした飲み心地が特徴です。アルコール度数は平均15〜20度と比較的低めで、韓国料理との相性も抜群です。ショットグラス「チャン(ソジュジャン)」でストレートに飲むのが一般的なスタイルです。

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焼酎の楽しみ方

お酒初心者さんの中には、焼酎にあまりなじみがないという方もいるかもしれません。焼酎はストレートでも楽しめますが、水割りやお湯割り、炭酸割りにお茶割りなど、好きな飲み物で割ればさらに飲みやすく、楽しみ方が広がるお酒です。気分や体調に合わせてお酒の濃さを調整できるのも、焼酎ならではの優しさです。

なかでも、さわやかですっきりとした飲み心地が特長の本格麦焼酎「いいちこ」は、初めての焼酎にぴったり。クセがなくやさしい口当たりでどんな料理とも相性がよく、水割りやお湯割りはもちろん、お茶で割った「いい茶こ」や、レモン、梅干しを使ったサワーなどにしても絶品です。

200mlの小さなサイズもあるので、「ちょっと試してみたい」というときにも◎。居酒屋やスーパー、コンビニなど、身近な場所で見かけたら、まずは気軽に楽しんでみてくださいね。

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蒸留酒|ウイスキー

ウイスキー

ウイスキーとは

ウイスキーは欧米で生まれた蒸留酒で、大麦やライ麦、トウモロコシなどの穀物からつくられます。蒸留したてのウイスキーは透明ですが、木の樽でじっくり熟成させることで、琥珀色に輝く美しい液体へと変わります。海外では食前酒や食後酒としてストレートで飲まれることが多い一方、日本では食中酒として割って楽しむスタイルも一般的です。

ウイスキーの種類

ウイスキーは原料やつくり方の違いによって「モルト・ウイスキー」「グレーン・ウイスキー」「ブレンデッド・ウイスキー」の3つに分けられます。

ブレンデッド・ウイスキーとは、モルトとグレーンをバランスよくブレンドしたもの。それぞれ、どんな特徴があるのかを見てみましょう。

種類

原料

蒸留方法

味わい

備考

モルト・ウイスキー

大麦麦芽(モルト)

単式蒸留機

モルトの風味が豊か

一つの蒸留所でつくられたものは「シングルモルト」、複数の蒸留所のモルト・ウイスキーをブレンドしたものは「ヴァッデッド・モルト」と呼ぶ

グレーン・ウイスキー

トウモロコシ、ライ麦、小麦など

連続式蒸留機

軽快でクセのない味わい

主にブレンド用として製造される。単体で瓶詰めされることは珍しいが、評価の高いものもある

ブレンデッド・ウイスキー

モルト+グレーン

調和のとれた穏やかな飲み心地

世界的に流通している主流スタイル。ブレンド職人(マスターズディスティラーズ)によりオリジナリティあふれる味わいが生み出される

五大ウイスキーとは

世界中のさまざまな地域でつくられるウイスキーですが、なかでもスコットランド、アイルランド、アメリカ、カナダ、日本はウイスキーの五大産地として有名です。

それぞれの国が育んできたウイスキーには、原料や製法、味わいにユニークな違いがあります。その個性を比べてみましょう。

種類

産地

特徴

風味

スコッチ・
ウイスキー

スコットランド

ウイスキーの代名詞ともいわれる伝統ある産地。ピートを使った独特の製法が特徴。国内に6つの生産地域があり、それぞれ異なる個性をもつ

ピート由来のスモーキーで芳醇な香り

アイリッシュ・ウイスキー

アイルランド

ピートはほとんど使わず、ポットスチル(単式蒸留器)を使って3回蒸留するのが伝統のスタイル

まろやかで芳醇な香りと、クセの少ない穏やかな味わい

アメリカン・
ウイスキー

アメリカ

ケンタッキー州を中心につくられる、トウモロコシを主な原料とした「バーボン・ウイスキー」のほか、テネシー州でつくられる「テネシー・ウイスキー」も有名

力強い味わい

カナディアン・ウイスキー

カナダ

トウモロコシやライ麦を原料に使用。スコットランドに次ぐ世界第二位の生産量を誇る

軽快でなめらかな味わい

ジャパニーズ・ウイスキー

日本

スコッチ・ウイスキーをお手本に、20世紀に入ってから誕生した。各メーカーが自社で多彩な原酒をつくり分けてブレンドする独自のスタイルが特徴

スモーキーさは控えめ、バランスのとれた味わい

※ ピート:野草や水生植物が炭化した泥炭(でいたん)。これを乾燥させて燃やし、その煙で麦芽を燻すことで、ウイスキーに独特のスモーキーな香りが加わる

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蒸留酒|スピリッツ

スピリッツ

スピリッツとは

スピリッツとは、簡単に言うと蒸留してつくられるお酒のこと。そのため、焼酎やウイスキーも広い意味ではスピリッツの仲間と言えますが、日本の酒税法ではそれぞれ別のものとして区別されています。スピリッツにはいろいろな種類がありますが、なかでも有名なのがジン、ウォッカ、ラム、テキーラの4つ。これらは「世界四大スピリッツ」と呼ばれ、幅広い国と地域で楽しまれています。

スピリッツの種類

「世界四大スピリッツ」とされる4種は、それぞれルーツも風味も異なる、個性豊かなお酒です。その特徴をざっくりと見ていきましょう。

種類

発祥

原料

特徴

ジン

オランダ

穀物+ボタニカル(香草・薬草)

「ジュニパーベリー」と呼ばれる針葉樹から取れる実の独特な香りが特徴。最近、小規模の蒸留所で少量生産されるクラフトジンも注目を集めている

ウォッカ

ロシアまたはポーランド

大麦、小麦、ライ麦、じゃがいも、トウモロコシ、テンサイなど

無味無臭・無色透明。クリアでクセのない味わい。世界で最もアルコール度数が高いお酒(96度)として知られるポーランドの「スピリタス」もウォッカの一種

ラム

カリブ海諸国

サトウキビ(糖蜜※1

甘い香りとコクのある味わいが特徴。現在は、南極以外のすべての大陸でつくられている

テキーラ

メキシコ

ブルーアガベ※2

定義が厳しく定められており、メキシコの5つの州でのみつくることができる。芳醇な香りと力強い味わいが魅力

※1 糖蜜:サトウキビから砂糖を作る際、砂糖にならなかった部分の液体。濃厚な甘みと香りがあり、全世界のラムの8割はこれを原料としてつくられる(トラディショナルラム)
※2 ブルーアガベ:メキシコ中心に自生、栽培されているリュウゼツランという植物の一種

各スピリッツを使った代表的なカクテル

「世界四大スピリッツ」は、カクテルづくりのベースとしてもよく使われます。有名なものが多いので、名前を聞いたことがある人も多いかもしれません。ここでは、それぞれのスピリッツをベースにした代表的なカクテルを紹介します。

スピリッツ

カクテル名

材料

ジン

マティーニ

ジン+ドライ・ベルモット※1+レモンピール

ジン・フィズ

ジン+砂糖+レモンジュース+炭酸水

ジントニック

ジン+トニックウォーター※2

ウォッカ

スクリュードライバー

ウォッカ+オレンジジュース

モスコミュール

ウォッカ+ジンジャーエール+ライム

ソルティドッグ

ウォッカ+グレープフルーツ+塩

ラム

モヒート

ラム+ライム+砂糖+ミント

ダイキリ

ラム+ライム+砂糖

ピニャコラーダ

ラム+パイナップルジュース+ココナッツミルク

テキーラ

テキーラ・サンライズ

テキーラ+オレンジジュース+グレナデン・シロップ※3

マルガリータ

テキーラ+ホワイト・キュラソー※4+ライム+塩

マタドール

テキーラ+パイナップルジュース+ライム

※1 ドライ・ベルモット:ワインにスパイスやハーブを加えた辛口のフレーバードワイン
※2 トニックウォーター:炭酸水に砂糖や柑橘の果皮、香草のエキスを加えた清涼飲料水。香草由来の苦みが特徴
※3 グレナデン・シロップ:ザクロ果汁と砂糖でできた、ノンアルコールの赤いシロップ
※4 ホワイト・キュラソー:オレンジの果皮をスピリッツに漬けてつくる、無色透明のリキュール

蒸留酒|ブランデー

ブランデー

ブランデーとは

ブランデーは、ブドウやリンゴ、サクランボなどの果物を原料にした蒸留酒。ブドウ原料の白ワインを蒸留してつくられる「グレープ・ブランデー」が代表的ですが、各地でその土地の果物を使った個性豊かなブランデーがつくられています。ストレートで楽しむのはもちろん、炭酸で割ったり紅茶に加えたり、お菓子作りに使われることもあり、幅広い楽しみ方ができるお酒です。

ブランデーの種類

ブランデーの中でも特に厳しい規定に守られているのが、フランスでつくられている「コニャック」「アルマニャック」「カルヴァドス」の3種類。これらは「世界三大ブランデー」とも呼ばれています。

種類

原料

産地

特徴

コニャック

白ブドウ

コニャック町(シャトラント県)

ブランデーの代名詞とも言えるお酒。芳醇で高貴な味わいは、ブランデーの中でも最高峰

アルマニャック

白ブドウ

アルマニャック町(ガスコーニュ地方)

小規模生産が中心で希少性が高い。素朴で力強い味わい

カルヴァドス

リンゴ

ノルマンディー地方

リンゴの酸味と甘みがすっきりとした心地よい味わい。洋ナシをブレンドしたものもある

その他のブランデー

ブランデーには、上記の「三大ブランデー」以外にもさまざまな種類があります。

ここでは、ブドウを原料とする「グレープ・ブランデー」と、その他のフルーツを使った「フルーツ・ブランデー」に分けて紹介します。

グレープ・ブランデー

種類

産地

特徴

フレンチ・ブランデー

フランス

コニャック・アルマニャック以外のフランス産ブランデーの総称

マール

フランス

ワインを製造時のブドウの搾りかすを再発酵・蒸留したかす取りブランデー。代表産地はブルゴーニュ、シャンパーニュ、アルザス

グラッパ

イタリア

マールと同様のかす取りブランデー。マールは通常、樽熟成するが、グラッパは樽熟成しないことが多い

オルーホ

スペイン

マール、グラッパと同様のかす取りブランデー

フルーツ・ブランデー

種類

特徴

キルシュ

さくらんぼのブランデー

ミラベル

黄色スモモ(プラム)のブランデー

フレーズ

苺のブランデー

フランボワーズ

木苺のブランデー

ポワール

洋ナシのブランデー

混成酒|リキュール

リキュール

リキュールとは

リキュールとは、蒸留酒にフルーツやハーブ、スパイスなどの香りや味を加えてつくられる混成酒。そのルーツは11〜13世紀ごろ、修道士たちが、ワインを蒸留して濃縮したものに薬草を漬け込んで保存性を高めたのが始まりといわれています。時代とともに素材の幅も広がり、今では果物や花、コーヒー、紅茶など、さまざまな材料が使われています。種類によってはそのまま飲むこともありますが、カクテルの材料として使われることが多く、甘くて飲みやすいのが大きな特徴です。

リキュールの種類

リキュールはその香味成分によって、大きく4つの種類に分けられます。

果物やハーブ、ナッツ、そしてユニークな素材を使ったものまで、どれも個性的な味わいをもちます。ここではその種類別に、それぞれの特徴や代表的な銘柄を紹介します。

種類

原料

特徴

代表的な銘柄

果実系

・カシス
・ピーチ
・オレンジ
・レモン
・メロン
・イチゴ
・ココナッツ
など

フルーツの果汁や果肉を使用したリキュールは甘くて飲みやすく、カクテルの材料としても使い勝手がよく人気がある

・コアントロー
(オレンジ果皮)
・クレーム・ド・カシス
(カシス)
・ピーチツリー(ピーチ)
・レモンチェッロ(レモン)
・マリブ(ココナッツ)

ハーブ系

・ハーブ
・ミント
・エディブルフラワー
など

独特の香りや苦みが特徴。植物の持つ風味を生かした個性的な味わい

・カンパリ
(ビターオレンジ果皮、ハーブ)
・ベネディクティン(ハーブ)
・シャルトリューズ(ハーブ)

ナッツ・種子系

・ヘーゼルナッツ
・クルミ
・カカオ
・コーヒー豆
・アンズの種子
など

まろやかで濃厚な味わいで、牛乳と相性のよいものが多い。お菓子作りにも使われる

・アマレット(アンズの核)
・カルーア(コーヒー豆)
・ゴディバ(チョコレート)

その他

・卵
・紅茶
・はちみつ
・クリーム
・ヨーグルト
など

技術の発達によりバリエーション豊かでユニークなリキュールが誕生。デザート系カクテルにもぴったり

・アドヴォカート(卵黄)
・ティフィン(紅茶)
・ベイリーズ(クリーム)
・ヨーギ(ヨーグルト)

リキュールを使った代表的なカクテル

リキュールを使ったカクテルには「カシスオレンジ」や「カルーアミルク」など、お酒初心者さんにとっても耳なじみのあるものも多いかもしれません。

ここでは、飲食店などでよく見かける人気のカクテルを、リキュール別にまとめました。

リキュール

カクテル名

材料

カシス

カシスオレンジ

カシスリキュール+オレンジジュース

カシスソーダ

カシスリキュール+炭酸水

カシスウーロン

カシスリキュール+ウーロン茶

ピーチ

ファジーネーブル

ピーチリキュール+オレンジジュース

レゲエパンチ(ピーチウーロン)

ピーチリキュール+ウーロン茶

カンパリ

カンパリソーダ

カンパリ+炭酸水

カンパリオレンジ

カンパリ+オレンジジュース

スプモーニ

カンパリ+グレープフルーツジュース+トニックウォーター

ライチ

ディタグレープフルーツ

ライチリキュール(ディタ)+グレープフルーツジュース

チャイナブルー

ライチリキュール(ディタ)+ブルーキュラソー+グレープフルーツ

ココナッツ

マリブミルク

ココナッツリキュール(マリブ)+牛乳

コーヒー

カルーアミルク

コーヒーリキュール(カルーア)+牛乳

※ ブルーキュラソー:オレンジの果皮をスピリッツに漬け、青く着色したリキュール

混成酒・番外編|梅酒

梅酒

梅酒とは

梅酒は日本を代表するお酒のひとつで、酒税法上ではリキュールに分類されます。青梅を焼酎やブランデーなどの蒸留酒に漬け込み、じっくり熟成させてつくられるのが特徴です。毎年6月ごろ、青梅が出回る季節になると、「梅仕事」として自家製の梅酒づくりを楽しむ人も多く、日本の暮らしに深く根付いた存在です。甘酸っぱくまろやかな味わいで、ロック、ソーダ割り、お湯割りなど幅広い飲み方が楽しめるのも魅力です。

自家製の梅酒づくりにチャレンジ!

梅酒は、自宅でも気軽に手づくりできるリキュールです。本格麦焼酎「いいちこ」を使っても、おいしい梅酒をつくることができます。

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ただし、自家製の梅酒をつくる際には酒税法のルールに注意が必要です。まず、漬け込むお酒には必ずアルコール度数20度以上のものを使用すること。そして、ブドウや穀類などと一緒に漬けることや、つくったお酒を他人に販売したり、譲ったりするのも禁止です。

こうした決まりを守りつつ、自分だけの梅酒づくりを楽しんでみてくださいね。

梅酒の他にも! 自宅でつくれる漬け込み酒

梅の他に、季節のフルーツや野菜、スパイスなどを漬けても、自宅でおいしい漬け込み酒をつくることができます。

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自分でつくったお酒は、より一層おいしく感じられるはず。1週間などの短期間でつくれるものもあるので、気になる素材が手に入ったら、ぜひ気軽にお試しを!

適量を守って、お酒の世界を楽しもう!

ここまで見てきたように、お酒にはたくさんの種類があり、それぞれに個性があります。少しずつその違いを知ることで、これからのお酒選びはもっと楽しくなるはず。

お酒と付き合う上で大切なのは、適量を知ること。人それぞれアルコール耐性は違うので、自分に合った量を知ることが大切です。

最近では、簡単に自分のアルコール耐性をチェックできる「Nomity」などの検査キットも登場しています。こうしたツールを使いながら、自分にとっての適量を確認してみるのもおすすめです。

無理をせず、自分のペースを大切にしながら、これからも長くお酒を楽しんでいきましょう。

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〈参考文献・サイト〉
国税庁【総則】Q1 酒類の定義を教えてください。
国税庁 ビール・発泡酒に関するもの
国税庁「清酒の製法品質表示基準」の概要
日本洋酒酒造組合 ブランデー
・大越智華子/著 『匠が教える酒のすべて』三笠書房
・一般社団法人日本ビール文化研究会・一般社団法人日本ビアジャーナリスト協会/監修『新版 ビールの図鑑』マイナビ出版
・森覚/著『日本一のワインソムリエが書いたワイン1年生の本』宝島社
・木村克己/著『日本酒の教科書』新星出版社
・金本亨吉・沢田貴幸/著『焼酎語辞典』誠文堂新光社
・ミカエル・ギド/著『ウイスキーは楽しい! 絵で読むウイスキー教本』PIE International
・土屋守/監修『ウイスキー完全バイブル』ナツメ社
・橋口孝司/著『カクテル&スピリッツの教科書』新星出版社
・Cocktail 15番地 斎藤都斗武・佐藤淳/監修『カクテルの図鑑ミニ』マイナビ出版
・渡辺一也/監修『カクテル完全バイブル』ナツメ社
・マスターイエツネ/著『神カクテル300』KADOKAWA

※記事の情報は2025年6月27日時点のものです。