つくり方を知れば、本格焼酎がもっとおいしくなる! 麦、米、芋などの原料から、どんな工程を経て焼酎が生まれるのでしょうか? 本格麦焼酎「いいちこ」の製造方法をベースに紐解いていきます。
チャートで見る「焼酎のつくり方」
まずは、焼酎が完成するまでの流れを見ていきましょう。下の図は、本格焼酎の一般的な製造工程を簡単に表したものです。
このように本格焼酎づくりには、「原料選び・下準備」から「仕上げ」に至るまで大きく分けて6つの工程があります。
続いて麦焼酎「いいちこ」のつくり方を例に、それぞれの製造工程を詳しく見ていきましょう。
焼酎のつくり方①|焼酎づくりの第一歩「原料選び・下準備」
原料の良し悪しは、焼酎の仕上がりに大きく影響します。本格麦焼酎「いいちこ」の原料は二条大麦です。粒が大きく揃っていて、でんぷんが豊富なものを厳選して使用しています。
選び抜かれた大麦は、次に「精麦(せいばく)」という加工へ。雑味のもとになる成分を含む穀皮などを取り除き、麦を磨きあげることで、すっきりと澄んだ焼酎に仕上がります。
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焼酎のつくり方②|焼酎づくりで最も重要な「麹づくり」
「麹(こうじ)」とは、米、麦などの穀物に麹菌を繁殖させたものです。麹菌は穀物に含まれるでんぷんを糖に変える働きをもち、焼酎もろみはその糖が酵母の力でアルコールに変わることでつくられます。
また、この麹が焼酎に豊かな香味をもたらすため、「麹づくり」は焼酎をつくるうえで最も大切な仕事の一つとされています。
麦焼酎「いいちこ」に使用されているのは大麦麹。前段の焼酎のつくり方①の工程で精麦した二条大麦を使って、次のような流れでつくられます。
■大麦麹ができるまで
1.浸漬(しんせき)
精麦した二条大麦を水に浸け、適度に水分を吸わせる
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2.蒸し
大麦を蒸し、麹菌が繁殖しやすくする
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3.麹菌付け
蒸しあがった大麦に麹菌をまんべんなく散布する
↓
4.製麹(せいきく)
丁寧に温度管理をしながら麹菌を繁殖させることで、発酵に必要なさまざまな酵素やクエン酸をつくる
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5.麹完成
麦粒の表面に付いた麹菌が増えて、毛羽立ったような状態になったら完成
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焼酎のつくり方③|原料を発酵させてもろみをつくる「仕込み」
次に、麹や大麦(原料)を酵母と合わせて発酵させる「仕込み」の工程です。
まずは、焼酎のつくり方②の工程で出来た大麦麹に水と酵母を加え、「一次仕込み」を行ないます。これは次の「二次仕込み」に必要となる麹由来の大量の酵素ともろみが腐らないためのクエン酸を含ませ、活発な酵母を十分に増やすための工程です。一次仕込みの期間は5日間ほど。この工程を通して「酒母」と呼ばれる「一次もろみ」が出来上がります。
「いいちこ」の一次仕込みには、「いいちこ酵母」という独自に育てたオリジナル酵母を使用。いい香りと深い旨みの酒を醸す優れた性質を備えています。
「二次仕込み」は、一次もろみに水、蒸した大麦を加え、1~2週間かけてさらに発酵を進める工程です。二次仕込みを終えたもろみは「二次もろみ」と呼ばれます。
■「全麹仕込み」とは?
麹だけで仕込む贅沢な製法で、本来なら主原料を加える二次仕込みにも麹を使います。「いいちこ」ブランドのラインナップの頂点に立つ「いいちこフラスコボトル」や、麹技術のすべてを注いだ「いいちこ日田全麹」は、二次仕込みにも大麦麹を使った全麹仕込みの麦焼酎です。大麦麹だけでつくることで、大麦の旨みや香りがより引き出され、味わい深く個性的なお酒に仕上がります。
焼酎のつくり方④|もろみから焼酎原酒を取り出す「蒸留」
蒸留とは、焼酎のつくり方③の工程の「仕込み」で出来たもろみを蒸留機に移し、焼酎の原酒を取り出す工程です。二次仕込みを終えた二次もろみを蒸留機に入れて加熱し、発生したアルコールを含んだ蒸気を冷却して原酒を取り出します。
焼酎の蒸留方法には「単式蒸留」と「連続式蒸留」の2種類がありますが、本格焼酎は原料の持ち味を程よく生かす単式蒸留によって蒸留されます。
さらに単式蒸留には、通常の気圧のもとでもろみを蒸留する伝統的な「常圧蒸留法」と、蒸留機内を減圧状態にして沸点を下げる「減圧蒸留法」という2つの方式があります。
■常圧蒸留法
加熱によりもろみの成分にさまざまな変化が起こることで、より複雑で香味豊かな原酒をつくることができる。
■減圧蒸留法
常圧蒸留よりも低い温度で蒸留できるため、加熱による変化が少なく、もろみ本来の特徴を持った華やかでライトな香味の原酒をつくることができる。
「いいちこ」づくりではこの2つの蒸留法を組み合わせることで、旨みや香りのバランスをとっています。
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焼酎のつくり方⑤|原酒の酒質を安定させる「貯蔵・熟成」
蒸留したばかりの焼酎原酒は、香味が荒々しく安定していません。これをやさしく整える工程が貯蔵・熟成です。一定期間貯蔵することで、刺激の強い揮発性の成分が除かれ、よりバランスの良い香味になります。
貯蔵に使われるのはタンクや甕、樽など焼酎によって様々です。「いいちこ」の貯蔵には、ホーローやステンレス製のタンク、ホワイトオーク樽などが使われます。
焼酎のつくり方⑥|酒質やアルコール度数の調整を行う「仕上げ」
いよいよ仕上げの工程です。貯蔵・熟成を終えた焼酎の原酒に、さまざまな焼酎原酒をブレンドしたり割り水を加えたりして、酒質(香りや味わい)やアルコール度数を調整します。
「いいちこ」づくりでは、「味覚パネリスト」と呼ばれるメンバーが五感を使って焼酎の香りや味わいを厳しくチェック。味のバランスを整えながら慎重にブレンドし、最後に清冽な水を加えてアルコール度数の調整を行います。
こうして完成した「いいちこ」は、その後、瓶やパックに詰められて出荷され、お客様のもとに届きます。
※記事の情報は2021年5月21日時点のものです。