お取り寄せしてでも食べたい大分グルメを、大分県出身のフードアドバイザー・神谷禎恵(かみやよしえ)さんがレコメンド! 今回は漁師町で生まれた万能調味料「ごまだし」をご紹介。これさえあれば、うどんや汁物は出汁いらず。おつまみの味もビシッと決まります!

「ごまだし」と「漁村女性グループめばる」

大分県南部に位置し、宮崎県に隣接する佐伯(さいき)市。市町村としての面積の広さは九州一で、太平洋に面した自然豊かなリアス式海岸では漁業・養殖業が盛んに行われ、多彩な魚介類が多様な漁法で水揚げされています。その生産量は大分県内の6割以上を占めます。

そんな漁業で頑張る漁師を支える女性たちのパワーも月並みではありません。魚が水揚げされると、その後の加工を引き受けるのは彼女たち。魚は鮮度が命、だから朝な夕なによく働きます。

今回ご紹介するのは、漁師町に生きる女性たちが立ち上げた「漁村女性グループめばる」が作る「ごまだし」です。新鮮な魚がすぐ手に入る環境を生かし、魚介類の加工を行うグループで、ごまだしをはじめこの地で長く愛されてきた伝統の味を作り続けています。

ごまだしと佐伯の海
「漁村女性グループめばる」では、ごまだしをはじめとした魚介類の加工食品を数多く作っている

魚の旨みとごまの風味が押し寄せる伝統の味

ごまだしの中身

「ごまだし」は、焼いてほぐした魚をごまと一緒にすり鉢であたり、醤油や砂糖などで味を調えたものです。

最近では全国でも知られるようになったごまだしですが、魚が豊富なこの地域では昔から日常的に食べられていました。なかでも大分県佐伯市の佐伯湾では昔からエソという魚が多く水揚げされ、そのエソが大漁の時にごまだしにして、保存食としたのが発祥ではないかといわれています。エソは、かまぼこの材料などにも使われるほど味は良いのですが、硬い小骨が多いのですり身に向いているのです。

「めばる」さんでは、エソだけでなく、鯛やアジなども使って作っています。丁寧に焼いてほぐした魚にごまを合わせ、地元のお醤油などで味つけ。ひとくち食べると、魚の旨みとごまの風味が一気に広がります。

手作業で焼いた魚の身を丁寧にほぐしていく
手作業で焼いた魚の身を丁寧にほぐしていく

「ごまだしうどん」は忙しい漁師の暮らしを支える郷土料理

ごまだしうどん

地元で定番の食べ方は、茹でたうどんにごまだしをのせてあつあつのお湯をかける「ごまだしうどん」が有名です。出汁つゆを用意しなくてもごまだしを溶かせば、いつでも簡単に手早くおいしいうどんが食べられます。忙しい漁師の食を支える、いわば健康的なインスタント食品です。

ごまだしは、ごはんにのせて食べてもおいしいんです。最近では、万能調味料として野菜につけて食べたり、料理に加えたりと活用の幅がさらに広がっています。

「ごまだし」に魚のおいしさと栄養がまるごと!

十数年前までは地元・佐伯でしか知られていなかった「ごまだし」ですが、「めばる」さんが2010年頃から東京都内の老舗デパートで実演販売したりして、地元外にも少しずつファンを増やしていきます。同時に味のさらなる磨き上げも続け、2012年の「調味料選手権(日本野菜ソムリエ協会主催)」では万能調味料部門で最優秀賞を、2014年にもご飯の友部門で最優秀賞を受賞。また、2013年の「NHKきょうの料理クッキングコンテスト」で「ごまだしコロッケ」がグランプリを獲得。味の魅力とともに認知度は一気に広がって、新しいレシピが提案されたり、都内の有名スーパーなどにも並んだりして、ますます進化していきました。

ごまだし人気の理由は、面倒なイメージの魚を簡単に食べることを可能にした、ということも大きいでしょう。手軽に魚の旨みや栄養をとれるごまだしは、この時代に可能性を広げてより多くの人に重宝されています。

ごまだしが今日のように全国的に有名になった背景には、このような「めばる」の皆さんのたゆまない努力や商品の魅力を知ってほしいという熱意があるのです。

「ごまだし」で旨みアップ! 「特撰いいちこ日田全麹」と至福の晩酌時間を

ごまだしを使ったおつまみ

魚やごまの濃厚なコクと香りを凝縮した「ごまだし」を加えて、いつものおつまみをアレンジしてみてはいかがでしょうか?

冷奴にのせても、納豆に混ぜてもおいしいです。ポテトサラダに加えたり、茹でたほうれん草に和えたりするだけでも魚の旨みのおかげで味が決まり、お酒がすすむ一品になります。

ごまだしを使ったおつまみには、ぜひ「特撰いいちこ日田全麹」のロックをどうぞ。全量大麦麹仕込みによる濃厚でまろやかな味わいが、ごまだしの旨みと溶け合い、思わず唸りたくなるおいしさです。

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【お取り寄せ情報】

パッケージ画像

・漁村女性グループめばるの佐伯ごまだし【アジ・鯛・エソ】各1個セット 3,480円(税込・送料込)

製造:漁村女性グループめばる
販売:安心堂
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大分グルメ案内人

大分グルメ案内人の神谷禎恵さん

神谷 禎恵(かみや よしえ)さん
大分県宇佐市出身。母が設立した「生活工房とうがらし」を、2015年に株式会社生活工房とうがらしとして継承し、食を軸として様々な活動を展開。趣味はおにぎりを握ること。食のブランディングや地域の食を伝える活動を行っている。Facebookページの『ごはん大好き』は世界に6万人のフォロワーを持つ。

※記事の情報は2022年3月18日時点のものです。