マンボミュージシャンにして、「会員制高級紳士餃子レストラン 蔓餃苑(まんぎょえん)」のオーナーシェフ。さらに、アジア初のグリーンランド国際サンタクロース協会公認サンタクロース、ANAミリオンマイラー、マン盆栽家元、入浴ソムリエなど、独自の〝好き〟を極める粋人・パラダイス山元さんに、「餃子とお酒」についてお話をうかがいました。

無限の可能性がある餃子づくりを生涯楽しみたい

―多彩な顔をお持ちの山元さんですが、今ご自身の中で、「餃子」が占める割合はどれくらいですか?

大学卒業後、富士重工業(現・SUBARU)に入社、カーデザイナーをしていたんです。その後、全く関係のない、趣味で続けていた音楽の世界に入り込み、その他にも公認サンタクロースとか、あれこれと支離滅裂と思われるようなことをやってきているんですけど(笑)、今、自分の中で一番しっくりきているのが餃子づくりですね。割合で言えば9割。クリスマスが近づくと極端に減りますが(笑)。

元々コツコツ続けるのとかは得意ではないんですけど、2001年にオープンした「会員制高級紳士餃子レストラン 荻窪餃子 蔓餃苑(まんぎょえん)」が、もう20年を超えましたしね。こうなると「継続は力なり」です。

興味の対象はいろんな方向に向いてるんですけど、自分の生き様というか、頭の中で考えていることに直結してカタチになっているのが餃子なんです。

人に食べさせたいというよりも自分が本当に食べたい餃子、新しい餃子のアイデアがどんどんあふれてくるんです。本当に奥が深くて、まだまだ時間が足りないですね。このまま死ぬまで餃子づくりを極めて楽しんでいけたら、と思っています。

―「蔓餃苑」の餃子は、大きなエビやタコが飛び出していたり、フルーツなどが入ったデザート餃子があったりと非常にアーティスティックです。山元さんが思われる“餃子の定義”とは?

皮で包んだら何でも餃子です(笑)。挽肉や野菜が入ってなきゃダメという訳でもないと思いますし、ゆでても焼いても揚げても蒸しても餃子ですし。日本での主流は焼き餃子ですけど、中国では水餃子。本当に多種多様ですね。

あと、餃子は庶民的な食べ物というイメージがありますが、そのカテゴリーに甘んじるべき食べ物ではないと思っているんです。だから、私は高級食材を入れたり乗せたりしています。

餃子にはまだまだ可能性、伸びしろがあると思っています。自分でつくっていても無限の可能性を感じますし、他の方の餃子店に行ってもそう思います。市販品の冷凍技術の進歩もすごいですしね。

―皮もご自身でつくられるのですか?

もちろん皮も自分でつくりますし、「この配合で」と製麺所にお願いしています。餡(あん)によっても変えますし、焼き、揚げ、ゆで、蒸しなど調理法による皮のバリエーションもありますね。 餃子に目覚めてくると、餡もさることながら、皮にも強いこだわりが出てくるんですよ(笑)。北海道の全粒粉でいこう、とか、九州産と北海道産とオーストラリア産の小麦粉をブレンドしてみよう、とか。同じ餡でも皮の粉の配合比率や加水比率を変えることもあります。たまたま道の駅で買った地粉で作ってみたら、すごい弾力が出て「なんだこれは!」となることもありますし。本当に奥が深いですし、無限ですね。

パラダイス山元さんインタビュー

Profile
1962年北海道札幌市生まれ。日本大学藝術学部美術学科インダストリアルデザイン専攻卒業後、1987年、富士重工業(現:SUBARU)に入社。初代レガシィツーリングワゴン、SVXのほか、わたらせ渓谷鐡道のデザインに携わる。1991年、東京パノラママンボボーイスでメジャーデビュー。マンボミュージシャンの傍ら、東京・荻窪で、会員制高級紳士餃子レストラン「蔓餃苑」を営む。他に「マン盆栽」の家元、グリーンランド国際サンタクロース協会の公認サンタクロース、入浴剤ソムリエとして「蔓潤湯」開発監修者、ANAミリオンマイラー「プロ搭乗客」と、活動は混迷を極める。趣味は献血。愛車はメルセデスベンツ ウニモグ U1450。著書に「餃子の創り方」「GYOZA」「うまい餃子」「パラダイス山元の飛行機の乗り方」「なぜデキる男とモテる女は飛行機に乗るのか?」「マン盆栽の超情景」などがある。

餃子には焼酎のロックがベストマッチ!

―お聞きすればするほど強い餃子愛を感じるのですが、いわゆるシンプルな焼き餃子に合うお酒は何だと思われますか?

餃子にはビールかレモンチューハイ、みたいな風潮は確かにありますし、認識していますが、果たしてその組み合わせで良いのかな、と。特にビールの場合だと、中ジョッキ2杯とか飲んじゃうとそれでお腹いっぱいになっちゃうんですよね。せっかくつくった何種類もの餃子を最後まで残さずしっかり味わってもらうためにも、なんとかこの風潮を変えられないかと思っていたんです。

「蔓餃苑」にいらっしゃるお客様の中には、ヴィンテージワインや高級シャンパンを持ち込まれる方もいらっしゃって。そうこうしているうちに「餃子とシャンパン」が合うことに気づきました。世界で初めての餃子とのマリアージュでしたね。

海外からのお客様は、餃子にはジンやウイスキーのロックをお薦めしていました。お肉の餃子のときはこれ、海鮮餃子のときはこれ、とペアリングしてお出ししていました。

そういうお客様を見てきて、逆輸入的な発想で「餃子と焼酎のロック」を推しています。焼酎のロックだとゆっくり味わいながら飲むので、餃子の味もお酒の味も楽しめるんですよ。

私がつくる餃子はオマールエビとかサザエ、フグなどの海鮮系も多いんですけど、焼酎は米か麦、なかでも「いいちこ」が断然合いますね。料理を引き立てる、ご飯をおいしくする底上げのパワーがあるのは、「いいちこ」をはじめとする麦焼酎だということにたどりつきました。

―餃子と「いいちこ」のロックが最高の組み合わせなんですね! 

はい、その通りです。「餃子と焼酎のロックが合うよ」と言ったところで、なかなか、餃子とビールから抜け出せない人が多いと思うので、蔓餃苑では冷蔵庫からビールを完全に撤去して、あらかじめセッティングしてお出しすることも。するとそこから「餃子と焼酎ロック」に目覚める方も多いですね。

実は今回の取材場所である「羽田エクセルホテル東急」で7月から、私自身がひとつひとつ丁寧に包んだ「蔓餃苑」の餃子(焼く、揚げる調理はホテルのシェフ)が食べられる宿泊プランが始まったんですけど、先行して、常連の方に泊まっていただきました。結果、お酒のオーダーは圧倒的に焼酎、シャンパンが多くて、焼酎とシャンパンの割合は半々くらいでした。焼酎は「いいちこスペシャル」と「いいちこフラスコボトル」をセレクトしています。

パラダイス山元さんインタビュー
ANAの現行国際線ビジネスクラス「スタッガードシート」を2席組み合わせた特別室の窓からは、飛行機の離発着、搭乗、貨物の積み込みを見下ろせるプレミアムな空間。ここで蔓餃苑の餃子といいちこのマリアージュをじっくり楽しめるというのは最高の贅沢。他にファーストクラスの座席を設置した特別室と、2部屋限定のルームサービスでいいちこが提供されている

―「日本一予約が取れない」ことで名高い「蔓餃苑」の餃子が食べられる宿泊プランがあるとは驚きです。

そうなんですよ、「蔓餃苑」の餃子会員は現在きっちり1000名でこれ以上増やす予定はありません。開店当日にSNSで告知するスタイルなんですけど、不定期開店、1日1組限定なので、約6割の方がいまだお店にたどり着けていない状態なんです。しかもコロナ禍以来、ずっと閉めているので。となると、餃子会員以外は今のところ、この部屋に宿泊するしか、「蔓餃苑」の餃子を食べる方法はありません。

15時にチェックインして、ルームサービスで餃子とお酒を運んでもらって、目の前の飛行機の離発着風景を眺め、「いいちこ」を飲みながら朝を迎える。これがこの部屋の正しい過ごし方です(笑)。「飛行機と餃子と焼酎」。パラダイス山元的にこの組み合わせは、完璧です!

パラダイス山元さんインタビュー 餃子といいちこ
左はフランス産三元豚にスパイスを加えたクリスピーフライドポークとカーリーフライ。ライムかオリジナルブレンドの「蔓餃塩」で。ライムは焼酎にぎゅっと絞ってもよし。中央は羽田空港の翼つき餃子®︎。ポークとフライドオニオンが入った餃子を焼き上げた後にカマンベールとパルミジャーノレッジャーノとチェダーの3種のチーズを投入。ピザカッターで切ると翼を広げた紙飛行機状になる。右上はホテル特製の滑走路から離陸する飛行機をイメージしたシュークリーム、右はパラダイス山元レシピによる海鮮アヒージョ。北海道・紋別のホタテなど贅沢な海鮮がたっぷり

「世界サンタクロース会議」夜の部でふるまった「いいちこ」が世界中のサンタに大好評!

―山元さんは、日常的に「いいちこ」を飲まれているんですか?

「いいちこシルエット」のミニボトルは旅のお供的な存在ですね。旅行中チビチビ飲んでます。私、グリーンランド国際サンタクロース協会公認サンタクロース日本代表を25年ほど続けているのですが、海外の公認サンタクロースが日本を訪問した際、「いいちこ」をお土産に持たせたんですよ。大好評でしたね。

こんなこともありました。毎年7月に、世界中の公認サンタクロースが一堂に会する「世界サンタクロース会議」がデンマークで開かれるんですけど、それぞれが各国のお土産を持ち寄るんです。当時、日本の焼酎が品評会で話題になっていたらしく、ロンドン在住の公認サンタクロースが「iichiko」を飲みたいって言うんですよ。「アイチコ」と発音していたので、最初何を言っているのか分からなかったんですけど、写真が送られてきたら「『いいちこ』じゃん!」って。

それで、成田空港で売っている「いいちこ」を持っていってプレゼントしたら、すごく喜ばれました。北欧にはアクアビットっていうアルコール度数が40度くらいあるジャガイモの蒸留酒があるんですけど、けっこうクセがあるんですよね。「いいちこ」は飲みやすくてすごくおいしいと言われました。

麦焼酎は海外の方の口に合うんですね。一応、サンタクロースの衣裳を着ているときと、子どもに会う前日はお酒を飲まないことになっているのですが(笑)、サンタの服を脱いだら…お酒好きの方が多くて。「世界サンタクロース会議」夜の部は「いいちこ」で乾杯した、という話です。

ー最後に、山元さんにとってお酒はどういう存在ですか?

料理を引き立たせる魔法の液体。そして仲間との潤滑酒。最近、家でひとりでチビチビはやめました。際限がなくなっちゃって。それとコロナ禍で、人と集まって飲む機会が減ったじゃないですか。最近ようやく解禁になったので、先日、マイラー仲間でこの部屋に泊まったんです。レストランから帰ってきて部屋飲みで、ここでも「いいちこ」を酌み交わしました。やっぱり仲間と飲むお酒は最高ですね。

ー「いいちこ」ラバーの山元さんが思う「いいちこ」の魅力とはなんでしょう。

料理と寄り添って邪魔をしないところ。それから、器も中身もデザインされていて、料理を引き立ててくれます。「いいちこスペシャル」なんて、このボトルのフォルムと琥珀感のあるお酒の色がすごく合ってますよね。デザイナー目線で見て、納得できるお酒ってなかなかないので、そこも魅力です。

ーありがとうございました!

パラダイス山元さんインタビュー 餃子といいちこ

【おまけ】パラダイス山元さん直伝、家で餃子を美味しく焼くコツ

餃子は焼き加減が命! カリッとフワっともっちりと焼き上げるコツを特別に教えていただきました!

1.フッ素樹脂加工の薄くてペラペラの特売で売っている激安フライパンを使うべし!

ガチで一番安っぽいフライパンで(笑)。餃子専用に使うと、一年以上は絶対に焦げ付きません

2.中火から強火のガス火で焼くべし!

IHしかない家はカセットコンロを一台買ってください

3.油の量をコントロールすべし!

100均で売ってるような口先の細い油差しで、シャーっと少なめに油を入れてください

4.焼いている間はフライパンを揺らし続けるべし!

焦げ目を均等にするために、ぐるぐる回したり上下に揺らしたり、餃子を少しずつ動かし続けてください

5.注ぐのは必ず熱湯にすべし!

生でも冷凍でも注ぐのは水じゃなくて熱湯。そうするとパリっと焼けます

※記事の情報は2022年7月29日時点のものです。