近頃人気上昇中の「いいちこ20度」のおいしさの秘密とは? 「いいちこ」づくりのベテラン、三和酒類の丸尾さんが「いいちこ20度」の味わいや飲み方、合うおつまみまで解説します!

「いいちこ20度」は黄色のキャップ!

“下町のナポレオン”とラベルに書かれた「いいちこ」には2種類あるのをご存じですか? 黄色いキャップの「いいちこ20度」は、そのまろやかな味わいで年々人気が高まっています。「いいちこ」をつくる三和酒類社員にもファンが多いとか。

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今回はそんな「いいちこ20度」の魅力を深堀りします! と、その前に、まずは「いいちこ」がどんな風につくられているのかをご紹介したいと思います。

  工程 内容
1 原料選び・下準備 本格麦焼酎「いいちこ」の原料は選び抜かれた二条大麦。麦を磨きあげることで、すっきりと澄んだ焼酎に仕上がります。
2 麹づくり 二条大麦に水分を吸わせる浸漬、蒸し、麹菌付け、細やかに温度管理をしながら麹菌を繁殖される製麹という工程を経て大麦麹が完成します。麹は穀物のでんぷんを糖に変える働きをし、焼酎に豊かな香味をもたらします。
3 仕込み 大麦麹に水と酵母を加え、もろみ(酒母)をつくる一次仕込みに約5日間、さらに蒸した大麦を加え発酵を進める二次仕込みに1~2週間かかります。二次仕込みにも大麦麹を使用する贅沢な製法もあり「全麹仕込み」と言います。
4 蒸留 二次仕込みで発酵を終えた二次もろみを蒸留機に入れて加熱し、発生したアルコールを含んだ蒸気を冷却して原酒を取り出します。蒸留方法には、複雑で香味豊かな原酒をつくることができる伝統的な常圧蒸留法と、華やかでライトな香味の原酒をつくることができる減圧蒸留法があり、「いいちこ」づくりではこの2つの蒸留法を組み合わせることで、旨みや香りのバランスをとっています。
5 貯蔵・熟成 蒸留した焼酎原酒をやさしく整える工程です。「いいちこ」の貯蔵には、ホーローやステンレス製のタンク、ホワイトオーク樽などが使われます。
6 仕上げ 味のバランスを整えながら慎重に原酒をブレンドし、最後に清冽な水を加えてアルコール度数の調整を行います。

ご紹介したのは主要な工程だけですが、「いいちこ」が手間暇かけてつくられていることがお分かりいただけるのではないでしょうか?

一次仕込みの櫂入れ作業

もちろん「いいちこ20度」もこういった工程を経て、全国の店頭へ、そして皆さんの食卓にのぼっています。そんな「いいちこ20度」の魅力を、「いいちこ」づくりのベテランである三和酒類・丸尾さんに解説していただきます。

「いいちこ20度」の魅力①|まろやかで深い味わい

―まずは「いいちこ20度」の味わいや香りの特徴を教えていただけますか?

白い花のような香りと、まろやかな果実の風味ですね。

―まろやかとは?

口に含んで序盤に感じる刺激のない心地よさを「なめらか」、中盤に感じるのを「まろやか」と表現するんですが、「いいちこ20度」は中盤以降も長く、その「まろやか」な心地よさを感じられるのが特徴的ですね。飲んだ後もその余韻が長く続きます。

―「いいちこ」の原酒には大きく分けて、味わい深い「うまみ原酒」と香り高い「香り原酒」という2つのタイプがあり、「いいちこ20度」は「うまみ原酒」の比率が多いと聞きました。

その通りです。「いいちこ25度」と比べるとアルコール度数が低い分、アルコール由来の飲みごたえは少なくなってしまうんです。そこをカバーするために、しっかりとうまみを感じる設計になっています。うまみとまろやかさが長く続き、それでいて軽やかさがあるのが「いいちこ20度」のいいところだと思います。

―丸尾さんが普段飲むお酒も「いいちこ20度」だとか? 

三和酒類のある大分県では焼酎は20度が主流なんですが、それを抜きにしても好きですね。うまみが多い分、お得な気がして(笑)。実際、うまみ原酒はつくるのにちょっと手間がかかるんです。その分、愛着が湧くのかもしれません。

三和酒類 丸尾さんインタビュー

「いいちこ20度」の魅力②|やさしい酔い

―巷では若者の低アルコール志向が話題になったりもしており、焼酎にしては低めのアルコールでしかも味わいはしっかりしている、という「いいちこ20度」の特性は時代の空気ともマッチしている気がします。

そうかもしれませんね。お酒を飲んだときの大らかな気持ちは味わいたい、気持ちよく酔いたいけれども、次の日に残したくない…というようなニーズは確かにあると思います。

三和酒類では1993年から広告を通じて、心地良く楽しくお酒を味わうために、自分に合った程よい飲酒をしていただきたいというメッセージを「やさしい酔い」という言葉で表現してきました。そういった「やさしい酔い」を実現するために、「いいちこ20度」はなかなかよい相棒になってくれるのではないでしょうか。

ときたま、「いいちこ25度」と比べて「いいちこ20度」は味が薄いのでは?という疑問を持つ方がいらっしゃいますが、度数が低くても味わいはしっかりしている、それが「いいちこ20度」なんです。

「いいちこ20度」の魅力③|専用ブレンド・原酒の力

―ところで、「いいちこ20度」の人気が高まるきっかけは何だったと思われますか?

「いいちこ20度」は「いいちこ25度」と同じく1979年に生まれましたが、2005年にブレンド比率の見直しをしています。これがひとつのきっかけになったかなと考えています。現在は、華やかな香りとクセがなく澄み切った味わいの「いいちこ25度」、そしてうまみ重視の原酒の比率が多く味わい深い「いいちこ20度」とブレンドのコンセプトをはっきり分けています。「いいちこ20度」は味わいの濃い麦焼酎がお好きな方に認知が拡がったのではないでしょうか。

ー原酒というのはいろんな種類があるのでしょうか?

「いいちこ」はいくつかの原酒をブレンドしてつくられています。青リンゴの香りがするもの、バナナの香りがするもの、うまみが多いもの、すっきりとした口当たりのものなどさまざまです。これら多様な原酒をつくり分けできること、そしてそれらを巧みにブレンドする技術が三和酒類の強みでもあります。

―農作物である大麦をはじめ、麹、酵母といった生き物を相手に、狙った原酒をつくり分けるというのは、まさに技術の力ですね!

細かく工程を紹介するとたいへんな数になってしまいますので割愛しますが(笑)、当然そのすべてに担当者がおり、人の力によるところが大きいんです。各セクションで装置を使って数値を測定し、分析を行っていますが、選抜された「味覚パネリスト」による官能検査も重視しています。「いいちこ」は、全国に出荷できるシステムを持ちながら、一方でクラフトの部分をとても大事にしているお酒なんです。

味覚パネリスト

「いいちこ20度」のおいしい飲み方は?

―どんな飲み方がおすすめでしょうか?

「いいちこ20度」ならではのまろやかなうまみを味わうなら、ロックがいいですね。食事とともに楽しむならソーダ割りがおいしいと思います。レモンなどさっぱりしたフルーツを加えると爽快感が増して、これもおすすめです。「いいちこ20度」は味わいが濃いから、ソーダなどで割っても割り負けしないんです。

―アレンジするならどんな飲み方が?

最近特に気に入ってずっと飲んでいるのは緑茶ハイです。おいしいお茶と「いいちこ20度」を合わせると、まろやかさが増しておいしいんです。ミルキーと言ってもいいくらい。

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「いいちこ20度」に合うおつまみは?

―おつまみはどんなものが合いますか?

やはりうまみが多いので、同じくうまみの多い出汁を使った和食はよく合いますね。あとは刺身や寿司。ヒラメなどの淡白な白身魚に、「いいちこ20度」が繊細に寄り添ってくれます。

―変わり種の組み合わせはありますか?

これまでいろんな食べ物との相性を試してみましたが、チーズケーキはよく合いましたね。チーズケーキのやさしい味わいとまろやかな「いいちこ20度」のハーモニーは絶妙です。ぜひ試してみてください。

※記事の情報は2023年5月1日時点のものです。