飲食店ではすっかりおなじみのハイボール。酒類をソーダで割ってカジュアルに楽しむ飲み方です。すっきり飲みやすく、さまざまな料理に合わせやすいからでしょうか、最近は家庭でも飲まれるようになりました。なかでも今、注目されているのが焼酎ハイボールです。その魅力を2200人に聞いたアンケートから探ってみましょう。
文/(株)酒文化研究所 山田聡昭
どんなお酒のソーダ割りを飲んだことがある?
まずは、どんな酒類がソーダ割りで楽しまれているのかを見てみます。さまざまな酒類を例示して、ソーダ割りで飲んだことのあるものをすべて選んでもらいました(グラフ1)。
全体でもっとも多かったのは「リキュール(梅酒やカシスなど)」で29%。次いで「ウイスキー」23%、「焼酎」21%と続きます。
男女別でみると顕著な違いが見てとれます。トップの「リキュール」は、女性では31%と2位の「ウイスキー(22%)」を9ポイントも上回っています。一方、男性では「リキュール」は22%にとどまり、「ウイスキー(27%)」と「焼酎(23%)」の方が高くなっています。
ソーダ割りで広く飲まれているのは、女性では「リキュール」、男性では「ウイスキー」、そして「焼酎」は男女差があまりないことがわかります。
次に、ソーダ割りを自宅で手づくりしているかどうかを聞いたところ、「瓶・缶入りを購入することが多い」の34%に対して、「自分でつくる」(自分でつくることが多い+半々くらい)が57%にのぼりました(グラフ2)。
瓶や缶に入ったハイボールは手軽でおいしいくリーズナブルですが、それでも約6割の方がソーダ割りを手づくりしています。そして、さらにその半数は自分でつくって飲むことのほうが多くなっています。
昨年よりもソーダ割りを飲む機会が増えた人が5割、女性と若年層で顕著
昨年と比べて、ソーダ割りで酒を飲む機会が増えたかどうかは、「増加」(増えた+少し増えた)が48%にのぼり、「減少」(減った+少し減った)の8%を大きく上回りました(グラフ3)。
ウイスキーハイボールがブーム化して全国の飲食店で提供され始めたのは2008年でした。2015年ごろからはレモンサワーが注目されるようになり、飲食店でのソーダ割りメニューが一段と充実しました。また、瓶・缶入りのハイボールやチューハイは、酒類消費量が微減するなかで13年連続プラス、さらに直近5年間は2桁増と絶好調です。昨年はコロナ禍で家飲みシフトが進みましたが、ソーダ割りの勢いは衰えず、生活に浸透しつつあることがわかります。
なお、増減差(「増えた」-「減った」)から性・年齢による差を見ると、男性よりも女性で増えた方が多くなっています(図表1)。
年齢別では若年層での増加が大きく、20代~40代が、50代と60代以上を大きく上回っています。
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焼酎ハイボールを週に1回以上飲む人が35%
ここからは焼酎ハイボール(焼酎のソーダ割り)について見ていきましょう。まずは焼酎ハイボールの飲用経験です。ハイボールで飲んだことのある焼酎の種類を聞きました。最多は「麦焼酎」の28%、2番目が「芋焼酎」の22%で、他の焼酎は10%以下です(グラフ4)。
消費量では麦焼酎と芋焼酎は拮抗していますから、芋焼酎よりも麦焼酎の方がソーダ割りで楽しまれている比率が高いことがうかがわれます。
では、焼酎ハイボールはどれくらいの頻度で飲まれているのでしょうか。「週に1回以上飲む人」(「ほぼ毎日」~「週に1回」の計)の割合は、全体では35%です(グラフ5)。
性別では女性よりも男性に多く41%と全体を6ポイント上回っています。年齢別では40代以上で高く40%前後あり、年齢が上がるにつれて上昇しています。
知りたいことは「おいしい焼酎ハイボールのつくり方」
次に、焼酎ハイボールがどんなシーンで飲みたいと思われているのかを見てみましょう。飲用シーンを例示して焼酎ハイボールを飲んでみたいと思うものをすべて選んでもらいました(グラフ6)。
一番多かったのは「夕食を食べながら(25%)」です。以下、「くつろぎながら(19%)」、「お風呂上がり(15%)」、「夕食の後(12%)」と続きました。上位にカジュアルでリラックスしたシーンがあがっています。
さて、これから広がりが期待される焼酎ハイボールですが、消費者は焼酎ハイボールをおいしく飲むためにどんな情報を求めているのでしょうか。
知りたいことを聞いたところ、トップは「基本のおいしい飲み方(29%)」でした。焼酎ハイボールは焼酎をソーダで割っただけのシンプルなものですが、どんな焼酎がハイボールに向くのか、焼酎とソーダの割合、焼酎はあらかじめ冷やしておいた方がいいのか、ステアの仕方(かき混ぜ方)などおいしい焼酎ハイボールのつくり方がわかると、いっそう楽しめるでしょう。
3番目に多かった「トッピングやフレーバーのアレンジ(19%)」は飲み方の応用編ともいえ、フルーツやスパイスをプラスしたり、リキュールやベルモットなど他の酒類を加えたりすることで、さらに本格的な仕上がりになります。今、消費者に求められているのは、魅力的な焼酎ハイボールのつくり方と言ってよいでしょう。
つくり方以外では「焼酎ハイボールに合うおつまみレシピ(25%)」があがりました。一般にハイボールのおつまみの定番といえば、唐揚げ、餃子、メンチカツなど居酒屋メニューを思い浮かべる方が多いことでしょう。もちろん焼酎ハイボールはこうしたおつまみによく合いますが、本格焼酎・泡盛はローカル色が豊かで産地の食文化をまとっています。大分の麦焼酎や鹿児島の芋焼酎、沖縄の泡盛など、各産地に自慢の食材や独特の調理方法があります。これは本格焼酎ハイボールならではの楽しみかもしれません。
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約9割が焼酎ハイボールにポジティブ
最後に焼酎ハイボールの今後の飲用意向を確認しましょう。
「今後、あなたは焼酎ハイボールを飲みたいと思いますか?」という質問に、ほぼ半数、46%の方が「飲み続けたい」と回答しています。そして、「機会があれば飲んでみたい」という回答は、男女とも、またどの年齢層でも4割前後あります。双方を合わせると9割近い方が焼酎ハイボールにポジティブであり、伸びしろの大きさがうかがわれます。
これから酒類をソーダ割りで楽しむスタイルの拡大とともに、焼酎ハイボールの飲用経験者が増え、おいしい飲み方やピッタリのおつまみレシピが開発されて、食卓への登場頻度が高まる可能性は小さくないでしょう。
【調査概要】
調査対象:BALMUDA The Toasterが当たるインターネットでの懸賞プログラムに応募した成人
調査方法:インターネットによる自記入式
アンケート調査時期:2021年10月5日~10月17日
有効回答数:2200人(性別、年齢別は別表参照)
サンプルの飲酒頻度:グラフ参照
※この記事のグラフや表は小数点第2位を四捨五入しているため、数字の合計が100%とならない場合があります。
※記事の情報は2021年11月30日時点のものです。
文/(株)酒文化研究所 山田聡昭
1991年創業、ハッピーなお酒のあり方を発信し続ける、独立の民間の酒専門の研究所「酒文化研究所」第一研究室室長。