三和酒類株式会社初の缶入り商品として、昨年9月に発売された「いいちこ下町のハイボール」。その新商品として、2021年2月9日(火)から「いいちこ下町のハイボール GOLDEN BLEND」を発売します。「いいちこ下町のハイボール」のすっきり感はそのままに、熟成樽貯蔵酒を使って味わいの幅を広げた「いいちこ下町のハイボール GOLDEN BLEND」。どのようにして商品化されたのかを開発担当者に聞きました。

お話をしてくれたのはこちらのお二人
三和酒類株式会社 研究所 商品開発課 課長 松本 真一郎さん(写真左)
三和酒類株式会社 CCRNチーム 課長 高岸 崇さん(写真右)

選べる愉しさ広がる「いいちこ下町のハイボール GOLDEN BLEND」

選べる愉しさ広がる「いいちこ下町のハイボール GOLDEN BLEND」

―「いいちこ下町のハイボール GOLDEN BLEND」を開発することになった理由や経緯は?

高岸:第1弾として発売した「いいちこ下町のハイボール」は、「いいちこ」のおいしさをハイボールで再現した商品で、多くのお客様にご好評いただいています。

そのなかで、味わいを選べる愉しさをプラスしたいと考えました。本格焼酎のハイボールをもっと手軽に、より多くの方に楽しんでもらえるように「いいちこ下町のハイボール GOLDEN BLEND」の開発に着手しました。

―いつ頃から開発がスタートしたのですか?

高岸:第1弾の「いいちこ下町のハイボール」の酒質(お酒の香りや味わい)が決まり、商品化の目途が立った頃に、味わいが選べると楽しいのではと企画案が出ました。「いいちこ下町のハイボール GOLDEN BLEND」の開発には1年ほどかかっています。

なので、第1弾の「いいちこ下町のハイボール」の開発期間と同時進行している期間もあり、第1弾の開発で得た知識を活かせたことで、第2弾はより短い期間で完成させることができました。

高岸さん

培ってきた「熟成樽貯蔵酒」づくりの技を結集

―「いいちこ下町のハイボール GOLDEN BLEND」の開発で、もっともこだわった部分はどこですか?

高岸:今回の新商品は、第1弾の「いいちこ下町のハイボール」とは味の変化を持たせたい、という思いがありました。一方で、「いいちこ」らしい飲みやすいハイボール、という部分は踏襲したくて、麦焼酎の味わいと熟成樽貯蔵酒のほのかな甘い香りを合わせました。

第1弾がすっきりとキレのある味わいだったのに対して、第2弾の「いいちこ下町のハイボール GOLDEN BLEND」は柔らかい口当たりの優しい味わいになっているので、味わいの幅は出せたと思っています。

松本:今回の一番のキーポイントは、「熟成樽貯蔵酒」です。

「いいちこ」らしさを守りながらも、この熟成樽貯蔵酒らしい樽の香味をどれくらい表現するのか。「いいちこ」ブランドとして適しており、お届けするお客様にとっても最適な味わいを求めるのが開発のポイントになりました。

そのため、社外のいろいろな方々にも試していただき、味のバランスを取ることにもっともエネルギーを費やしました。

―「熟成樽貯蔵酒」とは、どんなお酒なのでしょうか?

松本:三和酒類の熟成樽貯蔵酒は、焼酎の原酒をホワイトオークの樽に詰めて、熟成させています。種類によっては、新しい樽を使うこともありますし、繰り返し使った樽を使用する場合もあります。

つくりたての麦焼酎は、華やかな香りや麦の味わいが感じられますが、樽で寝かせることで、甘やかな香り、樽由来のタンニンやポリフェノールなどによる着色や特徴的な味わいが感じられるようになります。熟成期間は短いものだと半年くらい、長いものだと年単位のものもあり、樽によってさまざまです。

熟成樽貯蔵酒

―今回、なぜ熟成樽貯蔵酒を使うことになったのですか?

高岸:三和酒類には、今まで培ってきた熟成樽貯蔵酒づくりの技術があります。その技術を発揮した商品をお客様に手軽に味わっていただきたいということで、熟成樽貯蔵酒を使うことになりました。

松本:いいちこスペシャル」をはじめとした樽で熟成させたタイプの商品を出しており、国内外のコンペティションでも高い評価をいただいているので、熟成樽貯蔵酒づくりについては自信があります。そんな熟成樽貯蔵酒を“ハイボール”という形で、より多くのお客様に早くお届けしたかったというのが大きな理由です。

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海外、国内での酒のコンペティションで焼酎の評価が急上昇

 決め手は“黄金比率”! 飲みやすく料理に合う焼酎ハイボール

―商品を開発していく上で、一番苦労した点は?

松本:樽で寝かせたお酒のハイボールという意味では、ウイスキーハイボールのイメージが強いと思います。そのなかで、「いいちこ」らしい、飲みやすくて料理にもあう“焼酎”のハイボールはユーザーにとってどんな味なのだろうかと考え、その味わいを決めるのに苦労しました。

―どうやって味を決めていったのですか?

松本:熟成樽貯蔵酒や、樽で寝かせていない麦焼酎原酒を複数ブレンドすることで、理想の味をつくり上げました。

これは、三和酒類が貯蔵年数や香味の特徴の異なるさまざまな原酒を持っていて、しかも安定供給可能な量を日々生産しているため実現したといえます。

その原酒を職人技ともいえるデリケートで繊細なブレンド技術で仕上げたからこそ、理想とする「いいちこ下町のハイボール GOLDEN BLEND」の味が出せたのだと思います。

松本さん

それから、「いいちこ下町のハイボール」の商品特長として、“プリン体ゼロ・糖質ゼロ・香料ゼロ・甘味料ゼロ”という4つのゼロがありますが、香料を使わずに樽の香りを盛り上げるにはどうすればいいだろうかと考えたときに、国産レモンの果皮から香りを抽出したレモンスピリッツに行き当たりました。

高岸:今回の新商品は、ベースとなる本格麦焼酎の味わいと、熟成樽貯蔵酒の味わいの調和が重要で、熟成樽貯蔵酒の味わいが強すぎても成立しません。熟成樽貯蔵酒をどこまで使うのか、麦焼酎の味わいをどこまで残すのか、その部分が非常にせめぎ合いました。そのバランスを整える、つなぎの隠し味としてレモンスピリッツが効果を発揮しています。

松本:第1弾の時は、比較的かぼすスピリッツを効かせて、かぼすの香りを立たせたのですが、今回の「いいちこ下町のハイボール GOLDEN BLEND」は、あくまでも樽の香りがメイン。樽の味と香りを前面に出したいので、レモンスピリッツは、第1弾のかぼすスピリッツよりも配合の比率を抑えるなどして工夫しました。

―最終的に味が決定するまで何回くらい試作したのですか?

 松本:開発の過程で生まれたサンプルにレシピ番号をつけていくのですが、「いいちこ下町のハイボール GOLDEN BLEND」は、多くの試作を重ねた結果“レシピ番号95”を採用しました。

先ほども話したように、今回の商品は、麦焼酎の味と熟成樽貯蔵酒の味のバランスを取るのに試行錯誤しました。その結果たどり着いたのが、この“黄金比”ともいえるブレンド比率です。商品名の“GOLDEN BLEND”も、この“黄金比”から来ています。

“歌舞伎”デザインに伝統と革新の焼酎づくりを重ねて

“歌舞伎”デザインに伝統と革新の焼酎づくりを重ねて

―パッケージデザインも、第1弾とはまた印象が違いますね。

高岸:今回は、歌舞伎をイメージしています。歌舞伎の語源となっていると言われているのが、“かぶく”という言葉。もともと最先端のファッションを好んだり、普通とは少し違う行動を取ることを意味する言葉で、それを体現した人たちのことを、かつては“かぶき者”と呼んでいたそうです。歌舞伎のもつ、そういった革新的でエッジの効いた要素を、今回の熟成樽貯蔵酒の味わいを効かせた「いいちこ下町のハイボール GOLDEN BLEND」の商品イメージとリンクさせています。

また、日本の伝統文化でありながら、新たなことにも挑戦している今の歌舞伎に、伝統的な焼酎づくりをしながらも、新たにRTDというジャンルにチャレンジしているという、三和酒類の思いを重ね合わせている部分もあります。

―デザインでこだわった部分はどこですか?

高岸:「いいちこ」だということを認識していただきたいので、第1弾と同様にひらがなの“い”のデザインは大事にしました。

柔らかさやふくらみのある酒質のイメージから、暖色系の色をベースにしています。第1弾が「下町のナポレオン いいちこ」のベースカラーである緑系の色を使っているので、一緒に並べてもらったときに両方とも目立つ色合いになっていると思います。

突き詰めて完成した自信作「いいちこ下町のハイボール GOLDEN BLEND」

―「いいちこ下町のハイボール GOLDEN BLEND」はどのような料理と相性がよいでしょうか?

高岸:「いいちこ」なのでどんな料理とも合わせやすいのですが、「いいちこ下町のハイボール GOLDEN BLEND」は、柔らかい口当たりと樽の甘やかさが特徴なので、チーズを使った料理や、豆乳鍋のようなまろやかでコクのある料理と合わせていただくとマッチすると思います。

今回、新たに味わいの選択肢ができたので、すでに第1弾の「いいちこ下町のハイボール」を愛飲していただいているお客様はもちろん、「いいちこ」自体を初めて飲むトライアルのお客様にも、いろいろな料理と合わせて気軽に飲んでもらえるような親和性の高い味わいにできたと思っています。

―どんなシーンで楽しんでいただきたいですか?

高岸:今の社会状況では、大勢で飲むことはできないので、家でお一人で、あるいはリモート飲み会でお酒を楽しまれることが多いと思います。そのようなシーンで、少しでも晴れやかな気分を感じたり、リラックスしていただける商品のひとつとして選んでもらえたらと思います。

―最後に、開発担当としてお客様へのメッセージをお願いします。

松本:「いいちこ下町のハイボール GOLDEN BLEND」は、熟成樽貯蔵酒を含めたさまざまな原酒を安定的に生産している三和酒類にしかできないものだと思っています。また、味わいについても、このブレンド比率しかないと言い切れるくらい突き詰めて完成した商品なので、ユーザーの皆様にも自信をもってお届けします!

高岸:今回の商品は、麦焼酎のよさと熟成樽貯蔵酒のよさがいいバランスで仕上がっています。口当たりがよく甘やかな香りが感じられるということで、私自身もとても気に入っています。

また、缶ビールなどと同じように、冷蔵庫を開けてすぐに飲めるという手軽さも「いいちこ下町のハイボール」シリーズの魅力です。ぜひ、いろんな方に試していただけるとうれしいです。

▼ご紹介した商品はこちら
・いいちこ下町のハイボール GOLDEN BLEND

※記事の情報は2021年2月9日時点のものです。