お酒を飲むときに耳にするワード「チェイサー」。お酒と一緒に飲む水のことかな?となんとなく知ってはいても、本来の意味を知らない方も多いのでは? 今回はそんなチェイサーを解説します。
この方にお聞きしました
堀川賀正さん
東京銀座のリトルスミス、BAR東京を経て2004年にBAR保志に勤務。保志雄一氏に20年師事。2017年にBAR堀川として独立。
チェイサーの意味とは?
―そもそもチェイサーという言葉はどんな意味なのでしょうか?
直訳するとチェイス(chase)は追いかけるという意味です。車で追いかけ合うのをカーチェイスって言いますよね。このチェイスが変化して、「アルコールの強いお酒を追いかける飲み物」という意味のチェイサーという言葉が使われるようになったようです。
ただし、強いお酒に対して、弱い、あるいはアルコールが入っていない飲み物で追いかけるのはアメリカのスタイル。イギリスでは弱いお酒を強いお酒で追いかけます。たとえばビールのチェイサーにウイスキーを飲むというように、言葉の意味が逆なんです。今回は日本でも定着している、アメリカのスタイルでお話させていただきます。
―チェイサーというと水のことを指すことが多いと思うのですが、そうとも限らないんでしょうか?
日本では「チェイサーをください」というと水が出てくることが多いと思います。海外の場合は「何にしますか?」と聞かれてしまうかもしれませんね。
先ほどお話した通り、チェイサーとは「強いお酒と一緒に飲む飲み物」という意味ですので、本来は飲み物の種類を指定するものと考えていただいていいと思います。
チェイサーの効果は?
―チェイサーとしての水はどんな効果を得るために飲むものなのでしょうか?
お酒は利尿作用があるため脱水になりやすいそうです。脱水や悪酔いを防ぐためにもチェイサーとして水を飲まれるといいと思います。
健康面以外でも、アルコール度数が高めのお酒をストレートやロックでお飲みになると、だんだん味覚が鈍くなってしまうんですね。合間に水を飲んで、お口の中をリセットすると再び風味や味が分かりやすくなると思います。
―チェイサーは、お酒をよりおいしく飲むためのものでもあるんですね。
そうなんです。悪酔いや脱水防止、味覚のリセット以外にも、水以外のものを組み合わせておいしさの相乗効果を生むような飲み方もあるんですよ。
チェイサーはどんな飲み物がおすすめ?
―水以外をチェイサーとしたい場合、選ぶコツはありますか?
たとえばバーボンウイスキーのチェイサーには牛乳がよく合うことが知られています。混ぜたらカウボーイというカクテルになりますから当然といえば当然ですね。“混ぜたらカクテル”の例で言うと、テキーラにトマトジュース(=ストローハット)、ジンにトニックウォーター(=ジン・トニック)という組み合わせも相性抜群です。
―なるほど、そう考えると選びやすいです。
私はウイスキーには香ばしいほうじ茶、テキーラにはオレンジジュースなんかも、互いの風味を引き立て合って、よく合うと思います。
―ちなみに「いいちこ」のチェイサーはどんなものがおすすめですか?
麦焼酎の「いいちこ」にはアイスティーがおすすめです! お酒とお茶はどちらも製造工程に発酵がありますので、相性がいいことが多いんです。「いいちこ25度」のロックとお茶のチェイサーをいろいろ試してみたら、アイスティーが一番よく合いました。
―紅茶はどんなタイプがいいですか?
フレーバー付きでなく、甘みもない方がいいと思います。麦焼酎ならではの少し香ばしい感じが、茶葉の香りでより引き立って、より「いいちこ」が飲みやすくなる組み合わせではないかと思います。ぜひご自宅でお試しください。
バーでのチェイサーの注文方法は?
―バーなどお店でチェイサーを頼みたい場合、どんな風にオーダーしたらいいのでしょうか?
チェイサーに明確なルールはないので、いつ飲んでいただいても、何をお飲みいただいてもOKなんです。水を飲みたいなというときには普通に「水をください」と言っていただければ。
私自身もお酒はチェイサーとともに飲んでいただきたいと考えています。水なんて飲まない、とおっしゃるお客様も中にはいらっしゃいますが、そんな方にも「オブジェです」ってお酒の横に置いたりします(笑)。バーテンダーとして、お客様には体を壊さず、長くお酒を楽しんでいただきたいですから。
―水をお願いする場合、常温で、など少し細かめに言ったりしてもいいのでしょうか?
その方が分かりやすいです。常温、冷水、氷入り、炭酸水…水にもいろいろありますからお好みをおっしゃってください。有料か無料かはお店によって違いますので、そのあたりはバーテンダーに聞いてみてくださいね。
チェイサーを楽しもう!
―バーでも自宅でもチェイサーを工夫してみるのは楽しそうですね。
私自身も当たり前のように水をお出ししていましたが、もう少しお酒とチェイサーとの組み合わせに目を向けてみるのも面白いんじゃないかなと。組み合わせのバリエーションが広がれば、お酒の楽しみ方ももっと深まるんじゃないかなと感じています。
※記事の情報は2023年7月28日時点のものです。