焼酎に入れてもおいしい梅干し。手作りするのは大変そうなイメージですが、実はとっても簡単に作れる方法があるんです! 少量の梅と100円ショップで手に入る道具で気軽に漬けられる梅干しの作り方を、料理家の山脇りこさんに教えていただきました。
梅干しを簡単に作るなら「白干し」という作り方がおすすめ!
料理家の山脇りこさんは、もう20年以上も毎年欠かさず梅干しを作り続けているベテラン。そんな山脇さんが「これなら初めての方でも簡単にできますよ!」と教えてくれたのが「白干し」という作り方です。
山脇「白干しは、いわば塩漬け梅干しのことです。梅の実に塩をして水分を出し切り、天日に干し、そして保存するという3ステップ。すべてのお漬物作りの原点ともいえる昔ながらの作り方です。
白干し梅には赤紫蘇を使わないので、紫蘇の香りや味が加わらない分、梅本来の風味や果肉感が味わえます。個人的には赤紫蘇で漬けた梅よりも、白干し梅のほうが好きなくらい。シンプルな味わいなので、お料理に使いやすいところも気に入っています」
白干し梅作りの大まかな流れ
[STEP1]梅を塩漬けし、梅から水分を出す
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[STEP2]梅を干す
↓
[STEP3]保存する
梅干し作りにはどんな梅が向いている?
それでは早速、主役の梅選びから。この時期、青果店やスーパーの野菜売り場には粒の大きさも色もさまざまな梅が並んでいますが、梅干しを作るにはどんな梅を選べば良いのでしょうか?
山脇「一番大切なのは、よく熟した黄色い梅を選ぶこと。なかには傷んで黒ずんでいる梅の実が紛れている場合があるので、全体をよく見て選びましょう。
梅のサイズもS~4Lまでありますが、梅干し作りには2L~3Lくらいが果肉も多く向いています。
品種としては南高梅が有名ですが、完熟してさえいれば身近で手に入る梅で十分です」
梅干し(白干し)作りに必要な材料と道具
「良い梅が手に入ったら、その他に特別なものは必要ありません」と山脇さん。道具はすべて100円ショップで揃うものでOK。専用容器も使わず、ポリ袋で漬けるというお手軽さです。
材料
・完熟梅・・・1kg
・塩・・・160g(不純物が取り除かれている白い塩)
・きび砂糖・・・100g(上白糖なら80g)
道具
・ボウル・・・1個
・竹串・・・1本
・ポリ袋(Lサイズ)・・・3枚
・竹ざる・・・1枚(ざるが小さければ2~3枚組み合わせて)
・保存容器・・・1個
梅干しの簡単な作り方①|梅の下処理をする
梅を水洗いし、30分ほど水にさらす(アク抜き、虫出しのため)。梅を水切りし、清潔なふきんで水気をしっかり拭き取った後、竹串でヘタを取る。
梅干しの簡単な作り方②|梅に塩と砂糖をまぶす
ポリ袋を3重にして塩ときび砂糖、梅を入れ、袋の中に少し余裕がある状態で結ぶ。塩ときび砂糖を梅にまぶすように、袋の外からゆすりながら軽くもむ。
砂糖を加えることでより早く梅から水分が出るうえ、塩辛さが抑えられ食べやすくなります。梅に塩、砂糖をまぶす際は手で直接触るとカビ発生の原因になるので、必ず袋の外側から優しくゆすりましょう。
梅干しの簡単な作り方③|室温におく
液もれ防止のためボウルを受け皿にして、そのまま室温で1週間~10日おく。ときどき様子をみて、塩や砂糖の溶け残りがあれば軽くゆする。
梅干しの簡単な作り方④|梅酢から梅の実を取り出す
10日ほどすると、梅がつかるほどの水分(梅酢)が出てくる。ポリ袋の上部を持ったときに、梅が梅酢に完全につかった状態になったら取り出す。残った梅酢はいろいろな用途があるので、煮沸して冷蔵庫に保存しておくとよい。
この時に出た梅酢は、調味料として塩やお酢代わりに使えます。梅酢に野菜を漬けておけば、ほんのり梅香るお漬物に。また焼酎のハイボールなどに少し梅酢を垂らしてもおいしいと思いますよ!
梅干しの簡単な作り方⑤|梅を干す
4の梅を竹ざるに並べ、日中に陽が当たるところにおく(室内でもよい)。1日に1回梅を裏返し、できれば丸3日(最低でも48時間以上)干しっぱなしにする。
干すときの注意点は、とにかく梅を雨に当てないこと。もしお天気の具合で干すタイミングが取れなければ、梅を梅酢につけたまま瓶などに保管しておいて、例えば秋とか気候の良いシーズンに干しても構いません。
梅干しの簡単な作り方⑥|保存する
梅を指で触ってみて、表面が乾いてシワっぽく、自分好みの柔らかさになっていたらOK。保存容器に入れて最低でも10日ほどおく。(*干し終わって1か月後くらいからが、味がなじんで美味)
教えてくれたのはこの方!
山脇 りこ(やまわき りこ)さん
料理家。代官山で料理教室「リコズキッチン」を主宰し、『きょうの料理』や『あさイチ』(NHK総合)をはじめ、テレビ、ラジオ、雑誌などでも活躍。忙しい人にも作りやすく、身体にも優しく、モダンなエッセンスも加えた家庭料理を伝えている。『明日から、料理上手』(小学館)、『いとしの自家製』(ぴあ)、など著書多数。最新刊は初の書き下ろしエッセイ『50歳からのごきげんひとり旅』(大和書房)。
Instagram @yamawakiriko
麦焼酎「いいちこ」×「梅干し」おいしい楽しみ方
「自分で手作りした梅干しはおいしさ5割増し!」と太鼓判を押してくれた山脇さん。ならば作った梅干しをそのまま食べるだけでなく、ぜひ「いいちこ」と一緒に楽しんでみましょう! 梅干しが良い仕事をしてくれる絶品「いいちこ」レシピを3つご紹介します。
■梅ちこ
いつものお湯割りに梅干しを一粒。優しい麦の香りと梅の風味が湯気とともにふんわり立ち上ります。梅干しをマドラーでつぶしながら風味の変化を楽しむのもオツ。
作り方
1.お湯(85度~90度)の入ったグラスにいいちこを注ぐ。
2.温度差による対流で自然に混ざるのを待つ。
3.梅干しを一粒入れて出来上がり。
■梅ちこソーダ
梅干しの酸味が「いいちこ」ソーダ割りの爽快感を引き立てる一杯。さっぱりした飲み口で、揚げ物などのガッツリ料理にも良く合います。
作り方
1.グラスに氷を満たし、いいちこを注ぎ、よく混ぜる。
2.炭酸水を注ぎ、ゆっくり混ぜる。
3.梅干しを一粒入れて出来上がり。
■いいちこの梅こぶ茶割り
こぶ茶の穏やかなしょっぱさと梅干しの風味が絶妙! 一口ごとにおいしさがじんわり染みわたります。和菓子などの甘味に合わせるのもおすすめ。
作り方
1.グラスにこぶ茶と梅干しを入れ、お湯を注ぐ。
2.②入れたお湯4に対し、いいちこ6の割合で加えて出来上がり。
*梅干しを少しずつくずしながらお楽しみください。
上記の「いいちこ×梅干し」レシピは「下町のナポレオンの辞書」でもご紹介しています。ぜひこちらもご覧ください!
※記事の情報は2021年6月11日時点のものです。(2023年8月4日更新)