「いいちこ」づくりの大ベテラン・丸尾剛さんが、全国各地の“酒場メシ”を食す! 今回訪れたのは、広島の歓楽街で「広島お好み焼き」の伝統を今に伝える『ちんちくりん薬研堀本店』さん。こだわりのパリパリ生麺&オリジナルソースで複雑な味と食感を実現した「ちんちくりん焼き」を、「いいちこ25度」のソーダ割りとともにいただきます!

“酒場メシ”ハンター

丸尾剛さん

丸尾 剛(まるお つよし)
三和酒類株式会社 SCM本部所属 40年の焼酎づくりのキャリアを生かし、社内の若いつくり手たちのスキルアップをサポートする「焼酎づくりの先生」。普段家で飲むのは、もっぱら「いいちこ20度」か「いいちこ日田全麹」。最近、麹を使った調味料づくりにハマッている。

広島県内6店舗、東京1店舗、海外に4店舗展開する大人気お好み焼き店『ちんちくりん』の総本店

広島歓楽街の4大通りのひとつとして知られている薬研堀(やげんぼり)通り。広島城の堀の形がV型であることから、薬剤を粉状にするV型の道具「薬研」にちなんでつけられました。そんな城下町の名残を感じさせる歴史ある名の歓楽街に、今回ご紹介する『ちんちくりん薬研堀本店』はあります。

ちんちくりん薬研堀本店の内観
ちんちくりん薬研堀本店のカウンター

正面には大きな鉄板が鎮座するカウンター席。早めの時間に確保するのがベストな特等席です。カジュアルな雰囲気のテーブル席の主役は、やはり丁寧に磨かれたピカピカの鉄板です。

出迎えてくれたのは、お店を運営する株式会社ケーツーエス 飲食事業部 西日本エリア チーフスーパーバイザーの北浦篤(きたうらあつし)さん。アルバイトからスタートしてこの道20年の大ベテランです。

株式会社ケーツーエス 飲食事業部 西日本エリア チーフスーパーバイザーの北浦篤さん

『ちんちくりん』は広島県内に6店舗、東京に1店舗、海外に4店舗を展開。戦後、街の復興を支えた広島県民のソウルフード「広島お好み焼き」の歴史を今に受け継ぎ、広島から全国、そして世界を目指す一大チェーン店です。

北浦「創業は1999年6月。広島市中区榎町(えのまち)の5坪カウンター7席という小さなお店から始まりました。店名は、最後に『ん』が付くと流行るというジンクスから、創業者である社長の背が低いので、小さいことを意味する『ちんちくりん』にちなんで自ら名付けたと聞いています。榎町の店は外に人があふれるほど盛況だったそうで、2005年3月に思い切って法人化。現在の薬研堀に本店を移しました」

法人化から20年で国内7店舗、さらには海外にも4店舗出店しているという急成長ぶりです。

北浦「僕がアルバイトで入ったのがちょうど法人化した年でした。当時は廿日市(はつかいち)市にあった『チチヤスダイヤモンドプール』(2007年に『ちゅーピープール』となり2024年閉鎖)のプールサイドに屋台を出したりしていたんですよ。それが、あっという間に店舗が増えて。当時のことは忙しすぎてあまり覚えていません(笑)。そしてハワイのフードドラックに出店したことから、社長はアメリカ進出の夢を抱くようになり、偶然とご縁が重なって2017年にはロサンゼルスに出店。『誰かがアメリカに行って指揮を取らないけん』と言われて、僕が2年間、アメリカに行くことになりました。現地でも食材にこだわり、アメリカ風にアレンジすることはせず、広島お好み焼きを忠実に再現。おかげさまで、大谷翔平選手の巨大壁画で有名なロサンゼルスの“リトル東京”にある店舗では、毎日行列ができる人気店になりました」

2018年、ニューヨークで開催された「粉もんフェスティバル」で見事優勝
2018年、ニューヨークで開催された「粉もんフェスティバル」で見事優勝
現地のメンバーと。後列右から2番目が北浦さん
現地のメンバーと。前列真ん中が創業者の川上社長

戦後、広島の復興を支えたお好み焼き

アメリカに名を馳せるまでになった広島お好み焼きですが、広島県民にとってはどういう存在なのでしょうか。

北浦「広島では小学校の授業で、平和学習と並んでお好み焼き学習があるんですよ。広島のお好み焼きは戦前に庶民に親しまれていた一銭洋食がルーツです。戦後の復興期に、広島県内に多数ある造船所近くに落ちていた鉄板を使って、一銭洋食をヒントに小麦粉を多めの水で溶いて、ネギやキャベツ、モヤシなどをのせて焼いて食べたのが始まりだと言われています。そんなお好み焼きの歴史を授業で習います。そして子どもたちがお店に行って、キャベツの切り方や調味料など、お店のこだわりなどをインタビューするんです」

丸尾「お好み焼き学習とは、初めてお聞きしました。広島の人にとっては本当にソウルフードなのですね」

北浦「はい。お好み焼きの店が多い町に住んでいる人なら、ショップカードを4枚ぐらい持っていて、『今日はどこに行こうかな』って感じですね。僕も学生の頃は週3~4回は学校帰りに食べていました。どういう存在かと聞かれたら、そうですねえ、お兄ちゃんのような弟のような『ずっとお前おるよな』的な存在です(笑)」

丸尾「なるほど、“兄弟のような存在”というのは面白いですね。お話を聞いているうちに、我慢できなくなってきました(笑)。さっそく注文していいでしょうか?」

北浦「もちろんです! お好きなメニューを選んでください!」

※ お好み焼きのルーツのひとつとされる、小麦粉と具材で作る鉄板焼き料理のこと

特製パリパリ麺&オリジナルソースに大葉の爽やかさをプラス! 広島お好み焼きの発展形「ちんちくりん焼き」

メニューから「ちんちくりん焼き」を選ぶ丸尾さん

丸尾「コレをいただかないことには始まりませんよね! 『ちんちくりん焼き』(1,300円)をお願いします!」

北浦「はい、喜んで!」

ちんちくりん焼きの調理工程1 千切りキャベツに豚肉をのせて鉄板で焼く
ちんちくりん焼きの調理工程2 鉄板で焼かれる生麺の上に青じそをトッピング
ちんちくりん焼きの調理工程3 こんがりと焼き色のついたパリパリ生麺
ちんちくりん焼きの調理工程4 仕上げに目玉焼きをトッピング

北浦「キャベツの葉は太め、芯は細めに切っています。こだわりの『パリパリ生麺』は、磯野製麺さんのお好み焼き専用麺を使用しています。しっかり湯がいて甘みを引き出した麺を鉄板で焼き、大豆白絞油を表面にかけることで、外はパリッと中はもっちりの食感を楽しんでいただけます。爽やかさを引き出す大葉トッピング、上に目玉焼きをのせるのもうちの特徴です」

丸尾「焼きたてをテーブルの鉄板まで運んでくれるのですね。ソースの香ばしい香りがたまりません!」

ちんちくりん焼き

北浦「うちのソースはオタフクソースさんで作ってもらったオリジナルソース。オニオンの甘みと香りが感じられると思います。ではさっそくどうぞ!」

丸尾「広島の流儀にのっとって、コテでいただきます!」

ちんちくりん焼きを食べる丸尾さん

丸尾「複雑な味わいの中に、しっかり小麦の味が感じられます。パリパリ生麺の食感もたまらない!」

「ちんちくりん焼き」に合わせるのは、「いいちこ25度」のソーダ割りです。

ちんちくりん焼きと「いいちこ25度」のソーダ割り

丸尾「うめー! ソース味にはやっぱりソーダ割りです。お好み焼きに大葉が入っているので、飲んだときの香りが違いますし、まろやかな味わいになります。ソーダ割りに大葉を入れて飲むこともあるので、相性抜群です!」

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プリップリの特大牡蠣。鉄板で焼いてうまみエキスを閉じ込めた「牡蠣のバター焼き」

そしてもう一品、セレクトしたのが「牡蠣のバター焼き」(1,280円)です。

丸尾「広島に来て、牡蠣を食べないわけにはいきません!」

アツアツの鉄板で調理される牡蠣のバター焼き

北浦「広島県産牡蠣の2Lサイズを使用しています。鉄板で焼くとうまみエキスをもらさずに焼くことができるんです」

丸尾「鉄板だからこそ出せるおいしさがあるのですね」

北浦「そうなんです。うちの鉄板はオリジナルで作っているものですが、1.5㎝から2㎝ほどの厚みがあり、中心部の温度は250度。家庭のフライパンとは熱の伝わり方が違うので、100倍おいしいと思いますよ!」

丸尾「なるほど、楽しみです! ではさっそく…」

牡蠣のバター焼き

丸尾「うん、これはおいしいわ! 間違いない!」

「牡蠣のバター焼き」に合わせるのは「いいちこ25度」のロックです。

牡蠣のバター焼きと「いいちこ25度」のロック

丸尾「『いいちこ25度』のロックが牡蠣とバターのクリーミーな味わいを引き立てて、めちゃくちゃおいしいです。それにしてもロック一杯の量が多い! うれしいですねー」

牡蠣のバター焼きとともに「いいちこ25度」のロックを味わう丸尾さん

北浦「ありがとうございます。僕が『いいちこ25度』大好きなんで、これぐらい入ってないと満足できないんですよ(笑)」

常連さんとの語らいに欠かせない「いいちこ25度」

『ちんちくりん』が「いいちこ25度」を導入したのは、北浦さんの“いいちこ好き”によるところが大きいそう。

北浦「両親がいつも『いいちこ』を飲んでいたので、最初に知ったお酒はもちろん『いいちこ』でした。それ以来ずっと飲み続けています。お客さまも『いいちこ』好きが多くて、常連さんとの語らいに『いいちこ』は欠かせません。僕はお酒が強いので『いいちこ25度』なのですが、アメリカの店舗ではリカーライセンスの関係で『いいちこ20度』を導入しています。アメリカではシュワッとしたソーダ割りが一番人気ですね」

丸尾「なるほど、リカーライセンスの兼ね合いがあるのですね。それにしてもアメリカでも『いいちこ』を導入してくださっているとはうれしい限りです!」

これも外せない! お店おすすめの3品

北浦さんが「これもぜひ」とおすすめしてくれた3品のうち、まずは「牛コーネの塩焼き」(1,180円)を。

北浦「コーネは牛肉の肩バラ肉のことで、広島ではよく食べられています。県外ではブリスケとも言われているみたいですね。コラーゲンがたっぷりなので女性にも人気です。コリコリの食感と脂のうまみを味わってください」

牛コーネの塩焼き

丸尾「これは脂があまい! うん、『いいちこ25度』のソーダ割りだな。口の中の脂をさっと流してくれて、いくらでも食べて飲めますね!」

2品目は「ホルモン焼き」(1,300円)をタレと塩の2つの味で。

北浦「ホルモンも広島ではよく食べます。自家製のパンチの効いた甘辛ダレ、さっぱり塩味、どちらもぷりぷりのホルモンに絡んで、おいしいですよ!」

ホルモン焼き・タレ
ホルモン焼き・タレ
ホルモン焼き・塩
ホルモン焼き・塩

丸尾「脂が全然くどくない! ホルモンには冷たい飲み方で合わせたいですね。タレも塩も、ホルモンの味に負けない『いいちこ25度』のロックが合います」

3品目は「牛しょぶり焼」(1,400円)。

北浦「しょぶり肉というのは、あばらの中落ち部分を細かく切った肉のことで、広島県福島町の食肉市』近くでしか出せない幻の肉と言われた部位です。『ちんちくりん』ではその肉質や食感を独自ブレンドで再現しました。ぜいたくな肉のうまみがキャベツにうつり、やみつきですよ」

牛しょぶり焼き

丸尾「これは初めて食べる食感。オムレツ感がありますね。お酒はもちろん白いご飯にも合う、これぞユーティリティプレイヤー! ロックにもソーダ割りにもなんでも合いますね」

広島のお好み焼きも「いいちこ」も世界を目指す心意気!

こだわりのお好み焼き&鉄板焼きメニューで、地元客はもちろん、観光客、外国人客にも人気の『ちんちくりん薬研堀本店』。

北浦「味にこだわるのは当たり前で、広島のお好み焼きは、どこで食べてもおいしいんですよ。数あるお好み焼き店の中でも僕らの店に来てもらったからには、元気になって帰ってもらいたい。これが『ちんちくりん』の接客のモットーです。笑顔で元気よく接客するのはもちろん、お子さまからご年配の方まで、その方に合った味をソースの濃さなどで調整し、お出しするように心がけています」

「いらっしゃいませっ」の貼り紙
店内のあちこちに飾られた、元気をくれるメッセージ
店内のあちこちに飾られた、元気をくれるメッセージ

丸尾「お店には活気があって、笑顔の北浦さんとお話していると本当に元気をもらえます。おひとりでいらしていた外国人のお客さまにも英語で気さくで話かけられていて、かっこいいなーと思って見ていました」

北浦「ありがとうございます。ちょっと恥ずかしいですね(笑)。広島は鉄板文化なので、鉄板で焼くからこそおいしいということを県外のお客さまにも知っていただき、広島のお好み焼き、鉄板文化を全国から世界へ。そして、アメリカでお好み焼きに出会った人が“本場の味を確かめたい”と広島を訪れてくれるようにするのが目標です。広島の食文化はもちろん、広島全体を盛り上げることに貢献するのが僕たちの使命だと思っています」

丸尾「共感することばかりです。私たちの焼酎づくりでは、もろみを蒸留機で蒸留するのですが、その際の熱のかけ方や保温の仕方によってうまみを閉じ込めるので、北浦さんがおっしゃる鉄板で焼くからこそおいしいという考え方におおいにうなずきました。

そして“『いいちこ』を世界の酒に”というのは我々、三和酒類の目標でもあるんです。広島のお好み焼きと『いいちこ』、共に世界を目指しましょう!」

丸尾さんと北浦さん

今回お世話になったお店はこちら!

ちんちくりん薬研堀本店の外観

『ちんちくりん薬研堀本店』
広島県広島市中区田中町6-3 音戸温泉ビル1F
TEL:082-240-8222
営業時間:17:00~24:00(料理L.O.23:30、ドリンクL.O.23:30)
定休日:毎週火曜日
【公式】ちんちくりん 薬研掘本店

※記事の情報は2025年3月21日時点のものです。