焼酎のお供としても人気の珍味「イカの塩辛」。市販品もありますが、手作りのおいしさは格別です。スルメイカの肝が大きくなるこれからのシーズンが仕込みのチャンス! ぜひ自家製塩辛作りに挑戦してみてください。

「イカの塩辛」は発酵食品。だから焼酎に合う!

イカの塩辛イメージ

「塩辛」とは、魚介類の身や内臓を塩漬けにして、素材自身のもつ酵素や微生物によって発酵・熟成させた食品です。腐敗しやすい魚介類を長く保存するために生まれた調理法で、今回作り方をご紹介する定番のイカ以外にも、カツオやウニ、アユの内臓などを使った塩辛もあります。

上述の通りイカの塩辛は発酵食品のため、同じく発酵の力を借りてつくられる焼酎と相性抜群! また、塩辛は熟成が進むほどにカドが取れてまろやかな味になり、旨味が増すので、豊かな風味と深い味わいをもつ本格焼酎と合わせると、お互いの旨さを引き立て合います。

塩辛に使うイカの種類は?

一口にイカと言っても、ヤリイカやアオリイカなどさまざまな種類がありますが、塩辛を作るときは「スルメイカ」を使うのが一般的です。その理由は、塩辛作りに欠かせない肝が大ぶりで、濃厚な旨味があるから。

日増しに寒くなるこれからの季節は、スルメイカの身はより厚く、肝もより大きくなるため、塩辛作りにもってこいです。

新鮮でおいしいイカの選び方とアニサキス対策

新鮮なイカの選び方

上の写真のように鮮度の良いイカを選ぶにはいくつかポイントがあります。

①全体的に赤褐色のスルメイカは水揚げされたばかりで新鮮な証拠。時間が経つと白く変色していきます
②身に透明感があり、全体にハリがあるもの
③目が飛び出し気味で、黒目が澄んでいるもの

ただし、どんなに新鮮なイカにも「アニサキス」と呼ばれる寄生虫がついている恐れがあります。アニサキスは冷凍下で死滅するため、食中毒を予防するには塩辛を作ったあとに冷凍庫に48時間以上入れることが有効です。また、水揚げしたイカを新鮮なうちに凍結させたものが売り場に並んでいることがありますので、そうしたイカを解凍して調理するのもよいでしょう。

イカの塩辛の材料

イカの塩辛 材料

【材料(作りやすい分量)】
スルメイカ・・・2杯
塩・・・150g程度
いいちこ25度・・・150ml程度
しょうゆ、みりん(お好みで)・・・適量

イカの塩辛作りに必要な材料はたったのこれだけ! 新鮮なスルメイカさえ手に入れば、意外と気軽に作れます。

イカの塩辛の作り方①|イカの肝を塩漬けにする

イカの胴体の中に指を入れ、身と肝をつないでいる膜をはがします。

イカの胴体の中に指を入れ、身と肝をつないでいる膜をはがします。

左手で胴体を、右手で目の上あたりを握ってゆっくりと引っ張り、肝と足を取り外します。

左手で胴体を、右手で目の上あたりを握ってゆっくりと引っ張り
肝と足を取り外します。

目の上あたりで、肝と足を切り離します。

目の上あたりで、肝と足を切り離します

肝についている墨袋と、肝の先端についた内臓を指で取り除きます。

墨袋を取る
内臓を取る

バットに塩をたっぷり入れて、その上に肝を置き、さらにその上からも覆いかぶせるように塩をたっぷりのせ、ラップをして冷蔵庫で1日置いて塩漬けにします。

バットに塩をたっぷり入れて、その上に肝を置き、その上からも覆いかぶせるように塩をたっぷりのせ、ラップをして冷蔵庫で1日置いて塩漬けにします

イカの塩辛の作り方②|イカの胴体を乾燥させる

イカの胴体とエンペラ(耳、ヒレ)の間に指を入れて、エンペラを下に引っ張り外します。

イカの胴体とエンペラ(耳、ヒレ)の間に指を入れる
エンペラを下に引っ張り外す

(※今回の塩辛には、イカの足とエンペラは使いません。別の料理に活用してください)

胴体の側面に包丁で切り込みを入れて開きます。

胴体の側面に包丁で切り込みを入れて開く

胴体から透明の軟骨を外し、内臓や膜を包丁の刃先やキッチンペーパーできれいに取り除きます。

軟骨を外す
内臓や膜を包丁の刃先やキッチンペーパーできれいに取り除く

裏返して、皮をはぎます。指が滑りやすい場合は、キッチンペーパーで皮を掴むようにして行うとはぎやすいです。

裏返して、皮をはぐ

開いた胴体をバットに入れ、胴体の重量の2%の塩を両面にふり、ラップをしないで冷蔵庫で1時間置きます。

ラップをしないで冷蔵庫で1時間置く

冷蔵庫から取り出し、胴体をキッチンペーパーで両面挟むようにして、出てきた水分を押さえとります。

冷蔵庫から取り出し、胴体をキッチンペーパーで両面挟むようにして、出てきた水分を押さえとる

胴体をきれいなバットに入れてラップをし、冷蔵庫で保存しておきます。

胴体をきれいなバットに入れてラップをし、冷蔵庫で保存しておく

イカの塩辛の作り方③|イカの肝を乾燥させながら脂を落とす

1日塩漬けにした肝を冷蔵庫から取り出し、塩をある程度落としてから、ボウルに入れた「いいちこ25度」で洗います。「いいちこ」で肝を洗うことで、臭みが和らいで風味豊かになり、保存性も高まります。

ボウルに入れた「いいちこ25度」で肝を洗う

肝を、ボウルを下に重ねたザルに入れ、ラップをしないで冷蔵庫で半日置いて乾燥させます。

肝を、ボウルを下に重ねたザルに入れ、ラップをしないで冷蔵庫で半日置いて乾燥させる

イカの塩辛の作り方④|イカの切り身と肝を和える

きれいなボウルを下に重ねたザルに肝の中身を手で絞り出し、ヘラなどを使って濾します。

きれいなボウルを下に重ねたザルに肝の中身を手で絞り出す
ヘラなどを使って濾す

イカの胴体を下の写真のように三等分に切り、5mm幅くらいの斜め切りにします。繊維を断つようにして切ることで、より柔らかな食感になります。

イカの胴体を下の写真のように三等分に切る
5mm幅くらいの斜め切りにする

イカの切り身と肝を和えて、お好みでしょうゆ、みりんを少々加えます。

イカの切り身と肝を和えて、お好みでしょうゆ、みりんを少々加える

イカの塩辛の作り方⑤|冷凍庫に48時間以上置き、冷蔵庫で解凍

アニサキスによる食中毒を予防するために、できたイカの塩辛を保存容器に入れ、冷凍庫に48時間以上置いて凍結させます。

できたイカの塩辛を保存容器に入れる
冷凍庫に48時間以上置いて凍結させる

冷蔵庫に移して解凍してからいただきます。解凍後2日くらいからまろやかさが出て、旨味が増していきます。毎日清潔な箸でかき混ぜて、熟成による味の変化をお楽しみください。
(※解凍後1週間ほど冷蔵保存可能)

自家製イカの塩辛と味わいたい「いいちこスーパー」

自家製いかの塩辛と味わいたい「いいちこスーパー」

手間をかけて作った自家製イカの塩辛に合わせるなら、「いいちこスーパー」がおすすめです。まろやかな塩味と旨味が絡んだねっとりと甘いイカと、じっくり貯蔵熟成した原酒を使った香り高く複雑で奥深い味わいの「いいちこスーパー」は、まさに相思相愛の関係。思わずむふふと笑みがこぼれるおいしさです。

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イカの塩辛で作るアレンジおつまみ2品

濃厚な味わいの塩辛は、さまざまな料理のアクセントとして活かすこともできます。そんなイカの塩辛を使った絶品アレンジおつまみを2品ご紹介。ぜひ、こちらもお試しください。

塩辛のポテトサラダ

塩辛のポテトサラダ

ポテトサラダにイカの塩辛を加えて風味とコクをプラス! より居酒屋料理風の味わいになり、焼酎ハイボールがすすみます。玉ねぎは粗みじんに切って、シャキシャキとした食感を生かしましょう。

材料(2人分)

  • じゃがいも・・・2個(200g)

  • イカの塩辛・・・60g

  • 玉ねぎ・・・20g

  • 小ねぎ・・・5g

  • バター(有塩)・・・10g

  • 黒胡椒・・・ひとつまみ

  • マヨネーズ・・・小さじ2

作り方

  • 玉ねぎは粗めのみじん切りにし、水に5分さらして、キッチンペーパーで包んで水気をぎゅっと絞る。小ねぎは小口切りにする。イカの塩辛は2~3cm長さに切る。
  • じゃがいもは皮をむいて大きめ一口大に切り、鍋に入れてひたひたの水を注いで、火にかけ茹でる。じゃがいもが柔らかくなったら、鍋の湯だけ捨て、乾煎りし、粉ふきいもにする。
  • ボウルに粉ふきいもを入れてフォークで粗くつぶし、バター、黒胡椒を加えて混ぜる。
  • 粗熱がとれたら、マヨネーズ、1の玉ねぎ、小ねぎ、イカの塩辛を加えて混ぜて、器に盛る。

玉ねぎの塩辛カルボナーラ風

玉ねぎの塩辛カルボナーラ風

ベーコンの代わりにイカの塩辛を使って、まろやかカルボナーラ風おつまみに。発酵食品同士で塩辛と相性の良いチーズもたっぷり入れましょう。焼酎のロックと合わせると、口の中で旨味がふくらみます。

材料(2人分)

  • 玉ねぎ・・・150g

  • イカの塩辛・・・50g

  • サラダ油・・・小さじ2

  • パセリ・・・適量

  • パルメザンチーズ・・・大さじ2

  • 生クリーム・・・大さじ1

  • 卵黄・・・1個分

  • 黒胡椒・・・ひとつまみ

作り方

  • 玉ねぎは3cm幅のくし切りにする。パセリはみじん切りにする。
  • ボウルにパルメザンチーズ、生クリーム、卵黄、黒胡椒を入れて混ぜる。
  • フライパンにサラダ油を入れて熱し、1の玉ねぎを加えて中火で炒める。玉ねぎに火が通って透明になったら、熱いうちに2のボウルに加える。
  • ボウルにイカの塩辛も加えてざっくり混ぜたらラップをして、卵に火が通ってトロリとなるまで2分ほど放置する。
  • 器に盛り、パセリをちらす。

レシピ考案・監修

いのうえ陽子さま

いのうえ 陽子(いのうえ ようこ)さん
フードコーディネーター、栄養士、薬膳コンシェルジュ。大手料理教室で講師をした後、祐成陽子クッキングアートセミナーでアシスタントを努める。現在はフードコーディネーターとして、レシピ開発、スタイリングに携わる。

※記事の情報は2022年10月18日時点のものです。