野菜や海産物をはじめ、「いいちこ」がつくられている大分県には、おいしい食材がたくさんあります。そんな大分の食にスポットを当て、食材の魅力をよく知る方にインタビュー。薬味など料理の脇役のイメージが強い小ねぎですが、「The おおいた」ブランドにも認定される大分味一ねぎは、 食卓の主役にもなれるおいしい食材です。味や香り、食感を兼ね備えた、大分自慢の大分味一ねぎの魅力を紹介します。

お話をしてくれたのはこの方

内田和寿さん
内田和寿(うちだかずとし)さん
大分味一ねぎ生産部会に所属。もともと茨城県で水産業に携わっていたが、体調を崩したことをきっかけに、家族で宇佐市に移住。大分味一ねぎトレーニングファームでの研修を経て就農した。「もっと生産量を増やして、全国にたくさん届けたい」という熱い思いを持っている。

“味も香りもピカイチ”な大分味一ねぎ!

-大分味一ねぎはどんな特徴があるのでしょうか?

内田 大分味一ねぎというのは、県北地域で生産されている小ねぎのブランドです。“味もピカイチ、香りもピカイチ”がキャッチフレーズで、ねぎ特有の香りが高いんです。初めて畑を訪れた人は、車から降りた瞬間からねぎの香りがするので、いつもビックリされます。全国的に有名な福岡の万能ねぎと比べると、少し太めで肉厚なので、加熱するととても甘くなるんです。

青々とした大分味一ねぎ

-栄養面の特徴はありますか?

内田 ねぎの香り成分でもあるアリシンが多く含まれます。アリシンは、血液をサラサラにする効果に加えて殺菌・抗菌効果があるので、夏には食中毒や夏バテ予防、冬には風邪予防にもいいと言われています。また、ビタミンCやカリウムなども豊富で、栄養たっぷりな食材なんです。

-ちなみに、このあたりでは以前から小ねぎの栽培が盛んなのでしょうか?

内田 大分県では、1980年代から一村一品運動という “各市町村がそれぞれ1つの特産品を育てて、地域の活性化を図ろう”というプロジェクトがあり、中津市が小ねぎの栽培を始めたのをきっかけに、県北地域で小ねぎの栽培が盛んになって行きました。2008年に、各地域でバラバラだったブランド名が「大分味一ねぎ」に統一。現在は、JAや行政、生産者が一体となって全国に売り出していこうとしています。

大分味一ねぎは、料理の主役になる!

-大分味一ねぎは、地元の家庭だとどのように食べることが多いのでしょうか?

内田 「ねぎのしゃぶしゃぶ」はよく食べますね。大分味一ねぎを1/2~1/3くらいに切って、お肉と一緒にしゃぶしゃぶにします。うちの子供たちは、刻んだねぎを「TKG(卵かけごはん)」に入れるのが好きですね。ねぎをごま油と塩で和えて、ご飯にのせると、とってもおいしいです。ほかにも炒め物に使ったり、地元ではいろいろな料理に使っています。

-おいしそうですね! 生産者だからこそ知っているおすすめの食べ方はありますか?

内田 個人的には 「チンねぎ」がおすすめです。大分味一ねぎを食べやすい大きさに切って、ラップで包みます。それをレンジでチンして醤油をかけるだけ。温める時間はお好みですが、せっかくの香りが飛ばないよう加熱しすぎないのがコツです。ねぎの水分だけで蒸すので、旨味が凝縮されて、簡単なのに濃厚なねぎのおいしさを味わえます。大分味一ねぎは、生のままだとやや辛みが強いのですが、加熱するととっても甘くなるんです。

チンねぎに卵黄
電子レンジでチンするだけの「チンねぎ」。卵黄を乗せて巣ごもり風にしてもおいしい!

それと、私がもともと水産関係の仕事をしていたということもあって、我が家では、魚と合わせることも多く、「ねぎのしゃぶしゃぶ」はお肉の代わりにブリを使ったりします。これがまたおいしい(笑)。大分でよくとれる太刀魚を大分味一ねぎで巻いて、焼いたり、揚げたりするメニューは、見た目もかわいいので子供たちにも好評です。

小ねぎというと、どうしても薬味のイメージが強いと思うのですが、大分味一ねぎはそれだけではもったいないと思っています。 “食べるねぎ”としても広めたいですし、主役の食材になれると思っています。

手間をかけ、安全安心な大分味一ねぎを全国に届ける

-内田さんが生産するうえで、こだわっていることはどのようなことですか?

内田 安全安心な大分味一ねぎを作るということです。使用が許可されているものとはいえ、農薬にはあまりいいイメージを持たない人もいると思います。なので、農薬を使うのも必要最低限になるよう、さまざまなことに気を使っています。たとえば、ビニールハウスのビニールにUVカット加工がされていて、紫外線を防げるようになっています。紫外線が少ないと害虫がわきにくくなるんです。

また、収穫が終わった後に、土を太陽光にあてて消毒し、病気のもとになる悪い菌を殺菌しており、肥料も有機肥料をメインに使っています。そして、土には絶対に除草剤はまかない。除草剤を使わないので、雑草がひんぱんに生えてくるのですが、そのたびに自分たちでひとつひとつ抜いています。安全安心な大分味一ねぎを全国に届けるためなら、これくらいのことは当然だと思っています。

丹精込めて大分味一ねぎを育てる内田さん

大分県やJA、生産者が一体となって、高品質な大分味一ねぎを届ける

-JAや行政、生産者が一体となって生産に取り組んでいるということですが、JAや行政からは、どのようなサポートがあるのでしょうか?

内田 大分県から「The おおいた」ブランドという県の推進ブランドに指定されているということもあり、大分味一ねぎでは、公営の広域集出荷施設があります。ここでは、個人で作業するには負担が大きかった出荷までの工程を共同で行うようになっているので、農家としては、高品質な大分味一ねぎを作ることに注力できます。

また、トレーニングファームも、大きなサポートのひとつです。大分味一ねぎ農家を目指す人のための研修施設なのですが、生産に必要なあらゆる機械、農具、ハウス施設があり、実際に大分味一ねぎを育てるのと同じ環境のなかで研修ができます。また、いま農業をしている人にとっては、いろいろな実験ができるんです。実際に農業を始めてしまうと、失敗することが損失に直結してしまうため、なかなかチャレンジができません。そこで、トレーニングファームを活用し、いろいろなことを試して、失敗や成功を繰り返し、農家同士で情報共有することで、より高品質な大分味一ねぎの生産につなげています。

大分味一ねぎのハウス

-最後に、この記事を読んでくださっている方々にメッセージを!

内田 “味もピカイチ、香りもピカイチ”のキャッチフレーズの通り、生産者は常に品質に自信を持って大分味一ねぎを生産しているので、ぜひ一度食べていただければ、そのおいしさを感じていただけると思います。

トレーニングファームのおかげで若手の生産者が増えており、彼らの柔軟な発想が、大分味一ねぎの品質アップのための大きな力になっています。そして、ベテランの人も若手の意見を取り入れているので、さらにおいしくなっていくと思います。今後は、全国に通用するよりよいブランドになるように育て、少しでも知名度が上がるよう全力を尽くしていきたいです。お店で見かけたらぜひ味わってみてください。

※記事の情報は2021年3月19日時点のものです。

▼大分味一ねぎの詳細はこちらにも!
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