日本でもっとも飲まれている清涼飲料は何でしょうか? ミネラルウォーター? 炭酸飲料? 缶コーヒー? 実はこれらを抑えて長年トップの座にあるのは緑茶やウーロン茶などの茶系飲料です(全国清涼飲料連合会調べ)。ヘルシーな上に食事やスイーツと一緒に楽しめるのが茶系飲料の魅力と言われますが、最近は焼酎を緑茶で割った緑茶ハイが人気とか。そこで緑茶ハイがどのように飲まれているのかアンケートで調査してみました。

文/(株)酒文化研究所 山田聡昭

緑茶ハイの飲用頻度はどのくらい?

最初にどれくらいの方が焼酎のお茶割り(緑茶、ウーロン茶などお茶全般でお酒を割ったもの)を飲んだことがあるのかを見てみましょう。

グラフ 焼酎のお茶割りの飲用経験

飲酒習慣のある人(月に1回以上お酒を飲む人/N=2226人)に聞いたところ、飲用経験「あり」が66%と過半数を大きく超えました。「焼酎は飲まない」が11%ありますから、焼酎ユーザーだけで見ると4分の3が飲んだことがあり、焼酎のメジャーな飲み方であることが分かります。

次に緑茶ハイ(焼酎を緑茶で割ったもの)の飲用頻度を見てみましょう。

グラフ 緑茶ハイの飲用頻度

緑茶ハイを「週に2回以上」飲む人は8%、「週に1回」が6%、「月に2~3回」が8%です。これらを合わせた2割強(22%)が普段から飲んでいると見てよいでしょう。性別での違いを見てみると、週に2回以上飲む人は女性より男性が3ポイント上回っていますが、それ以外はほとんど差がありません。

緑茶ハイはどんなシーンで飲まれている?

では、緑茶ハイはどんなシーンで飲まれているのでしょうか? さまざまな飲用シーンの選択肢を用意して、緑茶ハイを飲む人(607人)に選んでもらったところ、「自宅での食事中」がもっとも多く66%、2番目は「自宅での食後」(37%)でした。緑茶ハイが自宅でよく飲まれていることがうかがわれます。

以下、「外食したとき」(25%)、「友人たちと宅飲みをするとき」(21%)、「リラックスしたいとき」(21%)と続き、ここまでが20%を超えています。

グラフ 緑茶ハイの飲用シーン

自宅での食事中に飲まれることが多い緑茶ハイは、どんなおつまみが好まれているのでしょうか? 緑茶ハイと一緒に食べたいおつまみを聞きました。

グラフ 緑茶ハイと一緒に食べたいおつまみ

トップ3には「枝豆」「焼き鳥」「揚げ物」と居酒屋の定番メニューが並び、さらに「冷奴」「漬物」「炒め物」「餃子・焼売」などが上位にランクインしています。食事との相性の幅が広く、特定のジャンルに偏ることなく楽しまれているようです。また、自宅で食後に飲み続けるときのお供でしょうか、「するめ・さきいか」「ナッツ類」「スナック菓子」など乾きものも見られます。

続いて緑茶ハイの飲用温度を見てみましょう。緑茶は冷たくしても温めてもおいしく楽しめますが、緑茶ハイにするときに好まれるのはどちらでしょうか。

グラフ 緑茶ハイの飲用温度

「ホット」「常温」「アイス」の3つの中から最もよく飲む飲み方を1つ選んでもらったところ、「アイス」が最多で69%を占めました。緑茶ハイは氷を入れて冷やして飲むのがスタンダードのようです。季節によっても変わりそうですが、今回のアンケート(4月に実施)では「ホット」と「常温」はどちらも約15%でした。

既製品派と手作り派、どっちが多い?

緑茶ハイは、メーカーがパッケージした既製品(缶入りの緑茶ハイ等)を購入する、それとも自分でお茶をいれて作る、どちらが多いのでしょうか? 

緑茶ハイを飲む人に質問すると、もっとも多かったのは「市販の緑茶で割る」の42%で、2位が「自分でいれた緑茶で割る」の34%、「市販の緑茶ハイ」を購入する人は24%という結果となりました。茶系飲料は日本ではもっとも飲まれている清涼飲料です。好みの緑茶を買って、焼酎を割って楽しむのがもっとも手軽ということかもしれません。

グラフ 緑茶ハイの作り方

緑茶ハイは自宅で手作りする人(市販のお茶で割る&自分でお茶を淹れて割る)が約75%を占めています。では、ベースの焼酎は何を使っているのでしょうか? 

もっとも多いのは男女ともに「麦焼酎」(55%)で、次が「甲類焼酎(連続式蒸留焼酎)」(31%)です。甲類焼酎は男女差が大きく女性の26%に対して男性は38%と約1.5倍も高くなっています。僅差で「芋焼酎」(28%)が続き、これも女性よりも男性のほうが多くなっています。

グラフ 緑茶ハイに使う焼酎の種類

緑茶ハイが好まれる理由は「おいしい」「飲みやすい」「食事に合う」

さて、ここで緑茶ハイが好まれている理由を見てみましょう。緑茶ハイを「月に1回」以上に飲む人に、よく飲む理由を選択肢の中から選んでもらいました。

グラフ 緑茶ハイをよく飲む理由

男女ともに「おいしい」(60%)がトップで2位が「飲みやすい」(55%)、3位が「食事に合う」(49%)です。ただ、女性では「飲みやすい」は「おいしい」と同率(60%)でトップ、また、「食事に合う」は男性を10ポイント上回る53%と男女差が見られます。

4位は「体によさそう」(41%)ですが、女性では「緑茶が好き」が42%とこれを上回ります。続く「飲み飽きない」も女性では40%と男性の27%を大きく上回り、「緑茶が好き」「食事に合う」「飲み飽きない」の3つは、女性に顕著な緑茶ハイを好む理由と言えそうです。

最近1年間で緑茶ハイを飲む頻度が増えた理由を分かりやすく可視化したものです。文字が大きく中心にあるほど主要因と考えられます。「コロナ禍」「コロナ」というワードが目立つのは、「コロナ禍で家飲みが増え、緑茶ハイが増えた」や「コロナで健康に気をつけるようになり、緑茶ハイを飲むようになった」など、コロナ禍に伴う生活の変化が緑茶ハイの飲用につながったというコメントが多かったためです。

緑茶ハイ コメント分析
※ユーザーローカルAIテキストマイニングで調査 https://textmining.userlocal.jp/

緑茶ハイとの出会いは?

次に緑茶ハイを飲み始めたきっかけを見てみましょう。緑茶ハイとの出会いについて自由に記述してもらったところ、緑茶ハイとの出会いの場としては「居酒屋・寿司屋などの飲食店」「飲み会」が挙げられました。これらの場で一緒に飲む人や、店からすすめられて試したケースが多く見られます。また、静岡県などいくつかの地域では緑茶ハイが広く浸透しているようで、こうした地域への旅行や出張で緑茶ハイを知った、あるいはその地域出身者からすすめられたというコメントが多く寄せられました。

お店ですすめられた

40代/女性

お寿司屋さんですすめられて飲んでみたらお寿司によく合った

60代/男性

さっぱりしたドリンクにしたいと思っていたらメニューに緑茶ハイがあった

30代/女性

店で静岡県出身の彼にすすめられた

飲み会で試して好きになった

60代/男性

友達との飲み会で試してみたら飲みやすかった

20代/女性

BBQやキャンプのときに友達が飲んでいて試してみた

家族にすすめられて

30代/男性

両親が緑茶ハイを飲んでいて一緒に飲んだ

30代/女性

父からすすめられておいしかった

緑茶が好き

20代/男性

緑茶が好きでいつも飲んでいるので割ってみた

40代/女性

緑茶は普段から大好きで毎日飲んでいます。健康にもいいイメージなので、お酒と一緒に飲んでも罪悪感ないです。どんな食事とも合いますが、食後も飽きずに飲めるところがいいです

40代/女性

元々お茶が好きなのでいろんなお茶で割って飲んでいますが、緑茶も産地や種類でいろんな味が楽しめるのがよいです

今後、緑茶ハイを飲みたい人が6割

最後に最近1年間の緑茶ハイの飲用頻度の増減と、今後の飲用意向を見てみましょう(対象は月に一回以上お酒を飲む人/N=2226人)。

グラフ 最近1年での緑茶ハイの飲用頻度の増減

飲用頻度は「増えた」が12%で「減った」は8%です。差し引きした増減差は「増えた」が+4ポイントで、男女差もほとんどありません。この1年間でじわじわと人気が高まってきているようです。

今後の飲用意向は「飲みたい」が30%で、男性の27%を女性が32%と上回っており、女性のほうが飲用意向は強いことが窺われます。また、「まあ飲みたい」(29%)と合わせると全体で約6割を占め、飲酒習慣のある人の過半数が「飲みたい」と答えています。

グラフ 緑茶ハイの飲用意向

暮らしに浸透している緑茶で割った緑茶ハイは、焼酎の飲み方としてまだまだ広がりそうです。

【調査概要】
調査対象:月に1回以上お酒を飲む人
調査方法:懸賞応募型WEBアンケート調査
調査期間:2023年4月10日~4月23日
サンプル数:2226人(女性:1319人、男性:907人)

※記事の情報は2023年6月9日時点のものです。


文/(株)酒文化研究所 山田聡昭
1991年創業、ハッピーなお酒のあり方を発信し続ける、独立の民間の酒専門の研究所「酒文化研究所」第一研究室室長。