「いいちこ」づくりの大ベテラン・丸尾剛さんが全国各地の“酒場メシ”を食す! 今回は訪れたのは東京・有楽町のガード下で50年近く暖簾を掲げる『金陵本店』さん。歯ごたえ抜群の香川県産親鶏に黒胡椒のパンチを効かせた名物料理「親爺のげんこつ」を「いいちこ25度」の水割りとともにいただきます!
“酒場メシ”ハンター
丸尾 剛(まるお つよし)
三和酒類株式会社 SCM本部所属
39年の焼酎づくりのキャリアを生かし、社内の若いつくり手たちのスキルアップをサポートする「焼酎づくりの先生」。普段家で飲むのは、もっぱら「いいちこ20度」か「いいちこ日田全麹」。最近、麹を使った調味料づくりにハマッている。
金色の巨大看板にふらりと吸い寄せられる『金陵本店』
今回丸尾さんが訪れたのは、JR有楽町駅の高架下にある焼鳥の店『金陵本店』さん。夕暮れ時、店の巨大看板に金色の光が灯るとお客さんが次から次へと暖簾をくぐり、2フロアに分かれた広い店内は瞬く間に活気であふれます。
店頭には「どうぞ寄って行かれませんか?」と往来の人々に朗らかに声を掛ける人の姿。この店のオーナー、武田理沙(たけだりさ)さんです。
『金陵本店』のスタッフの一員として店に立つオーナーの武田理沙さん。元・東京大学教授秘書という異色の経歴の持ち主で、ご自身も大のお酒好き
『金陵本店』は昭和51年(1976年)創業。もともとこの場所で別の飲食店を営んでいた武田さんの祖父から営業権を譲り受けた父が、友人とともに始めた酒場です。その友人が香川県の日本酒蔵「西野金陵」と縁があったことから日本酒「金陵」を出す店となり、屋号の由来にもなっています。
武田「初代である父は、まだ50代でしたが30年ほど前に他界してしまって。母が『このまま潰すよりは私が継ぐ』って言って二代目を継ぎ、割烹着姿で頑張っていたんです。母が引退してからは弟が三代目となり、昨年から私も本格的に経営に加わって、スタッフの方々の力を借りながら店をまわしています」
チェーン店が軒を連ねる都心の一等地にあって、一歩店に入ればどこか懐かしい雰囲気。
お客さんのお目当ては、焼き場担当の三代目が炭火でふっくら焼き上げる粒の大きな焼鳥やもつ焼きです。
時折ガタゴトと頭上を通りすぎる電車音を心地よいBGMに、仕事帰りのご常連や買い物ついでのお客さんたちが串をつまみながら一杯。これが『金陵本店』で50年来続く風景です。
硬い!濃い!スパイシー! 金陵本店名物「親爺のげんこつ」
そんな『金陵本店』のメニューの中で、ぜひ「いいちこ」と一緒にどうぞと武田さんがおすすめしてくれたのが「親爺のげんこつ」。前の板長さんが香川のご当地グルメ「骨付鶏」をヒントに考案したもので、ユニークなネーミングも相まって、来店客のほとんどが注文するという名物料理です。
「げんこつ」というと焼鳥店では一般的に膝軟骨を指しますが、この店では香川県直送の親鶏のモモ肉を使用するのがこだわり。秘伝のにんにくだれでじっくり漬け込み、皮目一面に黒胡椒をまぶしかけて焼き上げます。
武田「親鶏を使ったパンチの効いた料理なので『親爺のげんこつ』。『いいちこ』の軽やかな麦の風味にも合うと思うんです。ただね、なにせ硬いので歯が丈夫じゃない方にはかなり危険ですけど。いつもお客様に『硬いおせんべい食べられますか?』と確認しているんですよ」
丸尾「大丈夫、歯はまだ丈夫です(笑)」
丸尾さん、早速いただきます。
丸尾「確かにすんごい噛み応えです。でも、それがうまい! 鶏自体のうまみが濃くて、噛めば噛むほど味が出てくる。そこに黒胡椒のパンチがこれでもかと効いていて、まさに“げんこつ”ですね」
そして「いいちこ25度」の水割りをひとすすり。
丸尾「ああ、合う。親鶏の濃いうまみに水割りにした『いいちこ』の優しい味わいが重なって、より舌に馴染むんですよね。この組み合わせはヤミツキになりそうだ」
いいちこ好きのために生まれた「ガリトマ」も必食の一品!
「親爺のげんこつ」のおいしさにすっかりハマって箸が止まらない丸尾さんに、武田さんが「よかったら、これもぜひ」とおすすめしてくれたのがこちら。
ガリとトマトをオリーブオイルとポン酢で和え、刻んだ青じそを散らした見た目も鮮やかな「ガリトマ」です。
武田「もともとは『いいちこ』を愛飲される方のためにご用意した裏メニューなんです。『いいちこ』をお飲みになるお客様は健康志向の方や野菜好きの方が多いので、何かヘルシーなものをと思って。お出ししてみたら『おいしい、おいしい』っておっしゃるので、今はレギュラーメニューになっています」
丸尾「それはぜひ食べてみないと」
これには「いいちこ25度」の炭酸割りをチョイス。この日はちょうど大分県産かぼすを無料サービス中だったので、かぼすも搾って。
丸尾「ガリとトマト、ポン酢の甘酸っぱさが一体となって、めちゃくちゃさっぱり。しかも『いいちこ』のフルーティな風味を引き立ててくれる料理ですね。かぼすの爽やかさも相まって、口のなかがリフレッシュされます。親爺のげんこつとセットで注文したい一品ですね」
「いいちこ」を愛飲する人のために生まれた料理ということもあり、嬉しそうに箸を進める丸尾さん。ご常連の中には「『いいちこ』があるから立ち寄るんだ」と言って何十年も通うコアなファンもいるそう。店の片隅には、そんなお客さんたちがキープしたサイン入りボトルが並んでいます。
武田「名前の入った『いいちこ』ボトルは、お客様と店をつないでくれるスタッフの一員みたいなものです。サイン入りのボトルたちがお客様のテーブルに出陣していく姿を見るのは、とても楽しく励みになるんですよ」
笑顔で帰宅の途についてもらうための“一呼吸”でありたい
金陵本店では、現在総勢10名のスタッフが立ち働いています。経歴もスキルもさまざまですが、皆さん特に決まったマニュアルやルールで動いているわけではないそうです。
武田「個人経営なのでね、最低限お客様を怒らせなければ、自分の采配でやってもらったほうが働く方も楽しいんじゃないかと思って。『いらっしゃいませ』も自分の言葉で好きなように言ってもらっていいし。スタッフそれぞれに馴染みのお客様がいて、その関係性の中で生まれる会話や応対もあると思うので」
スタッフの人柄や考えを尊重した接客。帰宅前にふらりと寄りたくなるのは、ここで働く人たちが醸しだす温かさも大きいのでしょう。
武田「一日の終わりにわざわざ足を運んでくださるお客様です。そんな方々が笑顔で帰宅の途についていただくための“一呼吸”でありたいと思っているんです。私自身もお酒や飲み屋さんが大好きなので、自分の通いたい店であればみなさんも喜んでくれるんじゃないかなと思って。
でも何より大切なのは、一緒に働いてくれるチームを信じることだと思っています。時々、店が劇場のように思えることがあるんですよ。毎日舞台入りして、みんながそれぞれの持ち場で自分の役割を全うしているような。そうやって一晩の劇をみんなで作り上げている感覚があるんです」
そんな「金陵本店」を訪れて、丸尾さんいかがでしたか?
丸尾「お店の飾らない雰囲気に、“下町のナポレオン”がすんなり溶け込んでいるのが印象的でした。武田さんからもらった『いいちこのボトルはスタッフの一員』という言葉も、つくり手としてとても嬉しかったです。
酒づくりの世界には『和醸良酒』という言葉があります。和をもって醸し、良い酒をつくるという意味なんですが、ここで働く方たちもそういうチームワークをすごく大切にされていて、それが居心地の良さにつながっていますよね。本当に友達に教えたくなるお店でした」
トマトとガリをポン酢+オリーブオイルで和えて、青じそやミョウガを刻んで散らせばできあがり。ミニトマトで作ってもおいしいです。薬味の代わりにオクラやツルムラサキなどのお野菜を追加すれば、さらにヘルシーな一品になりますよ。
今回お世話になったお店はこちら!
「金陵本店」
東京都千代田区有楽町2-1-20
TEL:03-3503-4994
営業時間:17:00~22:45(L.O.21:45、ドリンクL.O.22:05)
定休日:日曜日
※日・月連休の時は日曜日営業、月曜日休み。祝日の営業についてはお店にお問い合わせください
※記事の情報は2023年10月31日時点のものです。