「いいちこ」づくりの大ベテラン・丸尾剛さんが、全国各地の“酒場メシ”を食す! 今回訪れたのは地元の博多っ子たちも夜な夜な集う大衆酒場「祇園本陣」さん。秘伝の大根おろしだれにつけてさっぱり食べる名物の串焼きを「いいちこ25度」のハイボールといただきます!
“酒場メシ”ハンター
丸尾 剛(まるお つよし)
三和酒類株式会社 SCM本部所属
39年の焼酎づくりのキャリアを生かし、社内の若いつくり手たちのスキルアップをサポートする「焼酎づくりの先生」。普段家で飲むのは、もっぱら「いいちこ20度」か「いいちこ日田全麹」。最近、麹を使った調味料づくりにハマッている。
博多の文化が息づく祇園で48年! 串焼きの名店『祇園本陣』
今回丸尾さんが訪れたのは、随分昔にも訪れたことがあるという博多を代表する串焼きの名店『祇園本陣』さん。地元では“お櫛田(くしだ)さん”の愛称で親しまれている博多の総鎮守「櫛田神社」のお膝元にあり、夏の山笠シーズンになると店内は法被に締め込み姿の男衆で賑わいます。
暖簾をくぐると、ピシッとした立ち姿に小気味よい博多弁がよく似合う元女将の小林順江(こばやしよりえ)さんと、お客さんから“大ちゃん”のニックネームで呼ばれている現店主の中島大輔(なかしまだいすけ)さんが出迎えてくれました。
小林「丸尾さんいらっしゃい! よう来んしゃったね~」
丸尾「お久しぶりです。お店の雰囲気、全く変わりませんね。懐かしい」
祇園本陣は、小林さんが1975年にたった一人きりで始めた店です。
小林「当時この辺りは全然今みたいなにぎやかな雰囲気じゃなかったとよ。すぐ近くの川端通(かわばたどおり)商店街もシャッターだらけでね、本当になんもなかった。周りの人にも随分心配されてね。でもいずれは良くなるんじゃないかなって、そんな気がしたと」
先見の明は的中し、その後周辺エリアには「キャナルシティ博多」などの商業施設が次々に開業。橋を渡れば九州随一の歓楽街・中州ということもあって、夜の街に繰り出す人たちのスタート地点として店は繁盛してきました。そして小林さんは46年間営み続けた店を2年前に引退。現在は焼き場担当だった中島さんが店を引き継ぎ、切り盛りしています。
まずはこれ! 祇園本陣に来たら絶対外せない3品
大本命の串焼きに行く前に「まずはこれ食べてみて!」とおすすめしてくれたのが、「ごまさば」、「もつ鍋」、「牛のテール焼き」の3品です。
ごまさばとは、真サバの刺身を九州の甘めの醤油だれに漬けて、すりごまをたっぷりかけた福岡の郷土料理。年中提供する店もありますが、祇園本陣では玄界灘か五島灘で獲れたサバのみを使い、脂がのった冬場にしかメニューに載せないのだとか。
丸尾「これ絶対うまいやつですね」
小林「添えたわかめも薬味も、全部混ぜてから食べてごらん」
丸尾「やっぱりサバが新鮮。身がピチピチです。脂もかなりのってます」
そして「いいちこ25度」のロックをひとくち。
丸尾「サバの脂、ちょっと甘めの味付けが『いいちこ』の滑らかさとすごく合います」
お次はもつ鍋。今のように「福岡グルメ=モツ鍋」と知られるようになるずっと前から祇園本陣の定番メニューとしてある一品です。スープはカツオ出汁の効いたあっさり醤油ベース。
中島「ウチのこだわりは、鹿児島県産黒毛和牛の新鮮なモツとセンマイだけでシンプルに作ること。ホルモンミックスは一切使いません。そこにニラ、キャベツ、えのき、ごぼうが入ります」
丸尾「昔来た時にも食べたけど、やっぱりおいしい。モツがプリプリなんですよ。なのに全然くどくないのでいくらでも食べられるんです。ごぼうの香りもいいですね」
今度は「いいちこ」をぬるめのお湯割りで。
丸尾「ああ、いいですね。器によそったモツ鍋とお湯割りの温度帯が合っていて。『いいちこ25度』は冷めても香りや味わいに伸びが出るようなつくりをしているので、ぬるめで飲むのもおすすめなんです」
続いて運ばれてきたのが、“祇園本陣と言えば”とご常連の間でも人気の「牛のテール焼き」です。鹿児島産黒毛和牛のテールを丁寧に血抜きして、圧力鍋で柔らかくなるまで茹でて焼いたもの。ポン酢と柚子ごしょう、味噌を付けていただきます。
丸尾「箸で簡単に身が外れます。ホロホロ。特にこの骨の周りがうまいなぁ」
久しぶりに訪れた祇園本陣で、早くもノックアウト気味の丸尾さん。
丸尾「串焼きも楽しみです」
特製大根おろしだれが決め手! 祇園本陣のヘルシー串焼き
博多串焼きの最大の特徴は、種類がバラエティ豊かなこと。鶏肉だけでなく豚バラ串や牛サガリ串、レタスやトマトなどの野菜を豚バラで巻いた野菜巻き串なども山盛りの生キャベツとともに供されます。また祇園本陣では、旬の食材を使った季節限定の巻き串やここでしか食べられない創作串も人気です。
しかもその串焼きを、ポン酢と柚子ごしょうをほんのり効かせた特製大根おろしだれにたっぷり付けていただくのが祇園本陣流。
中島「お客さんに、ヘルシーに串焼きを食べてもらいたいって女将が考えたアイデアです。この大根おろしだれをつまみとして食べられるお客さんもいますよ」
そんな自慢の串焼きに合わせて丸尾さんが注文したのが「いいちこ25度」のハイボール。最近、祇園本陣でも「いいちこ」を炭酸で割って飲むお客さんが増えているそうです。
丸尾「まずは牛サガリを特製大根おろしにつけて…」
丸尾「いやー、これたまらんな。大根おろしと一緒に食べることで口の中がさっぱりして、また次が食べたくなるんです。中に入っているポン酢もまろやかで、確かにおろしだれだけで焼酎が2杯くらい飲めそう…」
そう言いつつ「いいちこ」ハイボールをごくり。
丸尾「うん。爽快なハイボールにとても合います。大根おろしも、焼酎づくりに欠かせない麹も、『アミラーゼ』や『リパーゼ』といった酵素を持っているという共通点があるんです。そういう点も相性が良い理由のひとつかもしれませんね」
次に手を伸ばしたのは、チーズをベーコンで巻いた串。とろけたチーズに、丸尾さんの顔もとろけます。
丸尾「うわぁ、チーズがとろっとろ…。ベーコンの塩気もちょうどいいですね」
そして「いいちこ」ハイボールで喉を潤します。
丸尾「やっぱり間違いないです。もともと『いいちこ25度』はクリーミーな料理やガツンとした味わいの料理を引き立てるんですよ。それは多彩な焼酎原酒を絶妙にブレンドすることで優しい香りやクリーミーなニュアンスを醸しているからで、そういう蔵人のブレンドの技も『いいちこ』づくりには欠かせないんです」
串焼きを頬張りながら、「いいちこ」づくりの大ベテランはそんな風に話してくれたのでした。
『祇園本陣』に時を越えて伝承される技とこころ
小林さんによると、祇園本陣と「いいちこ」のお付き合いは1979年の「いいちこ」誕生直後から。もう40年近くこの場所で、店の味とともにお客さんに親しまれてきたことになります。
年季の入った店に一歩足を踏み込むと、初めて訪れる人も再訪する人も一瞬で懐かしさを感じるはず。さらに店内をぐるりと見渡せば、長く使い込まれたカウンターや調理場が驚くほど清潔に保たれていることに気づきます。
中島「料理ももちろんですが、お客さんに対する気遣いとか掃除の仕方とかも女将から教え込まれてきました。一人でお見えになった方には『お味どうですか?』とか『どちらから来られたんですか?』と一声かけたり。女将がそうやっていたのをずっと見てきたので」
丸尾「そうした気遣いがあるから、また来たくなるんでしょうね」
そんな祇園本陣さんを再び訪れて、丸尾さん、いかがでしたか?
丸尾「なんだかほっとしました。串を焼く技も、女将さんの思いやりもしっかり中島さんに受け継がれていて素晴らしいです。お二人の姿を見て、『いいちこ』のつくり手として自分は若手に対してどうだろう?と省みました。それに、ただ女将さんのやり方をなぞるだけじゃなくて、中島さんも新しいメニューを考えたりして、創意工夫を楽しんでいる。それがメニューのバリエーションに現れていると思います」
丸尾「『いいちこ』もいろいろなアイテムがありますし、いろいろな飲み方ができるお酒です。祇園本陣さんの多彩な料理と『いいちこ』のマッチングを楽しめるお客さんに、ぜひ来ていただきたいですね」
①甘口醤油にみりん、練りごま、すりごまを合わせ、たれを作る。
②真サバの刺身を①のたれに和える。
③皿に盛り、上からもすりごまをたっぷりかけて海苔をのせ、わかめや大葉などの薬味、わさびを添える。
④食べるときに全体を和えていただく。
Point!
真サバの代わりにブリやカンパチの刺身でも作れます。甘口醤油がない場合は、一般的な濃口醤油を使い、みりんを多めに加えましょう。
今回お世話になったお店はこちら!
「祇園本陣」
福岡県福岡市博多区上川端町4-201(太田ビル1F)
TEL:092-271-4518
営業時間:18:00~翌1:00
定休日:日曜・祝日
※記事の情報は2023年3月28日時点のものです。