お酒大好きアラフィフ文筆家のツレヅレハナコさんが、長く健康的にお酒を楽しむために始めた「ゆる晩酌」。著書「47歳、ゆる晩酌はじめました。」には、簡単おつまみレシピをはじめ体をいたわる飲み方のヒントが満載です。普段から「焼酎を飲むときは『いいちこ』」とおっしゃるハナコさんに「ゆる晩酌」のススメをうかがいました。

ツレヅレハナコさん

この方にお聞きしました

ツレヅレハナコさん
食と酒と旅を愛する文筆家。出版社勤務時代からブログやSNSが反響を呼び、文筆家に。雑誌やWebに多数寄稿。「まいにち酒ごはん日記」「女ひとりの夜つまみ」「ツレヅレハナコの揚げもの天国」など著書多数。猫の「あんきも」とともに、都内の一軒家に暮らす。

47歳で体をいたわる「ゆる晩酌」デビュー

―ハナコさんは、47歳で「ゆる晩酌」を始める以前、どんな風にお酒を楽しんでいたのですか?

お酒を飲みはじめて27年、365日、飲むのが普通で、生活の基本中の基本でした。家でも外でも飲むし、一人でも大勢でも飲む。それでも、体にはなんの不具合もなくて、二日酔いする程度だったんです。

でも、ここ数年、「これから先も80代とかになるまで、この生活をずっと続けられるのかな」と考えることが時々あって。実際、周りの同世代の人も病気をする人は増えたし、自分自身も病気ではないけど、少し疲れやすくなったというか。飲んだ次の日、体が全開ではないような気がすることもありました。「これって、やっぱり生活習慣も関係しているのかな?」と思いつつも、楽しいから毎日飲んでいるみたいな生活だった気がします。

―体をいたわる「ゆる晩酌」にすぐ切り替えられたのですか?

無意識でしたが、この10年くらい、自然と食事の傾向が少し変わってきていて。昔は、肉や脂が大好きで、毎日、外食でも平気だったのに、コロナの影響もありましたが外食の頻度が減り、家で食事をすることが増えていたんです。作るおつまみも、昔に比べたら食材や料理法がヘルシーなものになっていました。

そのことに気づいたとき、「これってやっぱり体が求めているのかな?」と思って。今の自分にとって何が必要なのかをすごく考えるようになりました。それ以前は、「ヘルシー」や「健康」という話題自体に興味がなかったんです(笑)。でも、少し気になりはじめたとき、自分の知らない世界がそこにあって好奇心が刺激されたというか。すごく楽しそうに思えて、体に良いものについて調べたり、自分の生活に取り入れたりすることが新しい趣味みたいになりました。

―「辛いけどストイックに頑張った」ということではなく、無理のない形で楽しみながら変化していったのですね。

はい。私は今、47歳なのですが、80歳になっても健康でおいしいお酒を飲みたいし、ちゃんと筋力があるおばあちゃんになりたいなと思っていて。今から生活を意識することで、将来が変わってくるんじゃないかなと思って。そう考えて、実践してきたことを書いたのが、この「47歳、ゆる晩酌はじめました。」です。

「47歳、ゆる晩酌はじめました。」
2023年10月に発売された「47歳、ゆる晩酌はじめました。」(KADOKAWA)

「ゆる晩酌」のポイントは休肝日とおつまみ

―「ゆる晩酌」とは、具体的にどんなお酒の飲み方なのですか?

一番大きいのは、休肝日を作るということです。私の場合、最初は週3を目標にしながらも、大抵、週2か週1だったのですが、元が0だったので、それだけでも大きな変化を実感しました。

あとは、おつまみも、外食を減らして、体に良いもの作って食べることを意識するようになりました。これが、「ゆる晩酌」の二大柱です。

―体に良いおつまみに関しては、どういったことを意識しているのですか?

体に良いものといっても、味も素っ気もないパサパサしたものばかり食べるのは、辛くて続かないですよね。大切なのはバランスだろうと思って、まずは、食べ過ぎないことを考えました。

さらに、野菜、大豆製品などをしっかり食べたり、内容のことも考えるようにしました。最近、タンパク質が話題ですけど、やっぱり本当に必要な栄養で、しっかりと考えないと必要な量は摂れなかったりするんです。気を抜くと、すぐに炭水化物だけでお腹がいっぱいになったりしがちですし。

「47歳、ゆる晩酌はじめました。」より(撮影/キッチンミノル スタイリング/佐々木カナコ)

―昼食は、短い時間で手軽に食べられる麺類や丼物になりがちですね。

そういうときは、夜、体に良いおつまみにする。そうやって、バランスを取りながら食べている感じです。やっぱり長い人生なので、全部が長期スパンで良いと思うんですよ。1週間とか、1ヶ月という単位でバランスを考えています。

例えば、年末年始なんて、やっぱり休肝日を作るのは無理なんですよ。この年末年始も休肝日は一切なくて、毎日、楽しくお酒を飲んでいました(笑)。その分、年が明けてからは、休肝日を多めに作るようにしました。去年までだと、そんなことは考えていなかったと思います。

―「ゆる晩酌」を始めてから、特に変化を感じたことを教えてください。

最初に驚いたのは、朝の空気がおいしいと感じたことです。世の中の人は、朝、こんなにおいしい空気を吸っていたのだと初めて知りました(笑)。

お酒が好きな方は、晩酌しないと眠れない癖がついている人も多いんじゃないかなと思うんですけど、その癖も治りました。「ゆる晩酌」を始めてから1年以上経っているのですが、毎日飲んでいたときよりも眠りが深くなったと感じます。

夜は自由に使える時間が増えたし、1日のリズムも変わってきましたね。最近は、朝の散歩もしています。朝に太陽の光を浴びると、セロトニンという物質の分泌が促進されて睡眠の質が良くなるんですよ。

―少しの意識の変化で、健康に良い習慣が次々と増えたのですね。その上で、おいしいお酒や食事を味わうことを完全にやめたわけではないのが素晴らしいですね。

それを絶対に諦めたくないから、健康のことを考えはじめたので、諦めるのは本末転倒な話。それに、「ゆる晩酌」を始めてから、お酒を飲む時間をより大事にするようになりました。お酒の良さを改めて知った感覚です。以前も楽しく飲んではいましたが、休肝日を作るようになってから、お酒を飲む日は、「今日は、何を飲もうかな」とワクワクしながら考えるようになりました。どのくらい飲むのかということも含めて、お酒との距離感が変わったと思います。

「ゆる晩酌」なおつまみレシピのポイント

―「47歳、ゆる晩酌はじめました。」には、「ゆる晩酌」にオススメの54品のおつまみが掲載されています。どんなことを意識したレシピなのでしょうか?

大事なのは、やっぱりバランス。あと、私は、お酒を飲むときは、炭水化物を取らず、おつまみを2、3品くらい作るのですが、なるべく少ない食材で簡単に作れることも意識しています。この本に載っているレシピは、基本100文字ぐらいで説明できて、工程も簡単。お酒を飲みながらでも作れるんですよ。

―どのおつまみもおいしそうなのですが、「豆腐にのっけるだけの変わり冷ややっこ」は、豆腐に載せる具材を変えるだけで、立派なおつまみになっていて驚きました。

変わり冷や奴
「47歳、ゆる晩酌はじめました。」より(撮影/キッチンミノル スタイリング/佐々木カナコ)

晩酌は楽しくて、大事な時間。私自身、食べることがすごく好きなことは変わらないので、その時間に全力投球したいという気持ちは常にあります。だから、簡単だけど、おいしくて楽しい気持ちになるものを作りたい。それに、家で作る料理だからこその良さもあって。

それこそ「豆腐にのっけるだけの変わり冷ややっこ」みたいなおつまみは、簡単過ぎて、逆にお店ではあまり出てこないですよね(笑)。簡単だけど、自分が食べたいものを食べられることが、自炊の一番良いところ。そういうアイデアをいろいろと考えること自体も楽しいんです。皆さんに、そういうヒントをご紹介できたら良いなと思って、書いた本でもあります。

―作り置きの便利さも、改めて実感しました。

すごくシンプルな作り置きをいくつか作っておくと、とても便利なんです。本の中では、味玉などを紹介していますが、例えば、ひじきを茹でて、ポン酢とすりごまで和えただけのものとか、野菜を茹でただけのものとか。それが、朝ごはん、昼ごはんにもなり、夜のおつまみにもなるんです。

作り置きをするときに大切なのは、調理法的に作り込みすぎないこと。例えば、鶏とレンコンの煮物とかではなく、鶏だけの煮物とか、レンコンだけの煮物とかを作っておくんです。味付けも最小限にしていて。塩もみしただけの野菜とか、茹でただけの青菜。ゴマ油で炒めた人参とかを作っています。作り置きというか、素材の仕込みくらいの感じですね。私の家の冷蔵庫には、常に3種類くらいの作り置きがあって。1個なくなったら新しい1個を足すみたいな形で、常に新しい要素を入れながら、ローテーションしています。

「いいちこ」にも合う「ゆる晩酌」なおつまみは?

―ハナコさんは、ご自宅で「いいちこ」も飲まれているそうですね。「いいちこ」の印象や魅力を教えていただけますか?

父が福岡の北九州市の出身で「いいちこ」が大好きなんです。だから、昔からすごく馴染みがあって。一時期、父の誕生日に少し高級だったり、手に入りにくかったりするお酒をプレゼントしていたのですが、一升瓶の「いいちこ」の方が喜ぶので、今は「いいちこ」を贈っています。

今は神奈川に住んでいる父が我が家に遊びに来るときは、いつも一緒にお酒を飲むんですね。だから、最初は父のために買っていましたが、私も好きになりました。「いいちこ」は、本当に飲みやすいお酒だし、何にでも合うからおつまみも選ばない。「今日は焼酎を飲みたいな」と思うときは、だいたい「いいちこ」のお湯割りを飲んでいます。「いいちこ」は、ゆっくり酔えるのも良いですよね。「ゆる晩酌」になってから、お酒を飲む時間はより貴重になったので、ゆっくり飲める「いいちこ」を飲む機会もさらに増えました。

いいちこ

―「47歳、ゆる晩酌はじめました。」に紹介されている54品のおつまみの中から、特に「いいちこ」に合うと思うメニューを教えてください。

「まるごとささ身の春巻き」をオススメします。「いいちこ」は、本当にどんな料理にも合うのですが、焼酎ですし、やっぱり肉がすごく合うと思います。牛でも豚でも良いのですが、「ゆる晩酌」だったら脂質が少なくて、タンパク質もしっかり摂れる鶏のささ身が良いのかなと。でも、ささ身だけでは少し寂しいから、春巻きにして少し脂っ気も補います。

「いいちこ」のお湯割りは、脂っ気をすっきりさせてくれるので、揚げ物との相性もすごく良いと思います。ささ身は、脂質が少ないのでパサつきがちなんですけど、豚肉でいうヒレ肉なので一番柔らかい部位だし、春巻きの皮で包んで揚げることで、蒸し料理みたいになって、よりふんわり、しっとりな仕上がりです。

アクセントに入れた青じそを含めて材料は3つだけだし、作るのはすごく簡単。春巻きの皮は火が通りやすいので、両面を揚げ焼きにするだけでも、おいしくできると思います。

まるごとささ身の春巻き
「47歳、ゆる晩酌はじめました。」より(撮影/キッチンミノル スタイリング/佐々木カナコ)

「まるごとささ身の春巻き」 材料(2人分)と作り方
鶏ささ身4本(約240g)に塩、こしょう各少々をふり、片栗粉適量をまぶす。春巻きの皮1枚で、青じそ2枚、ささ身1本を巻いて水で留める。計4本作る。フライパンに1cm深さの揚げ油を中温(約170℃)に熱し、両面を2分ずつ揚げる。からしマヨネーズ適量を添える。

―今日は、1月30日に発売された「いいちこ」初のホット専用商品、「ホッといいちこ」もお試しいただきたいと思います。

これは、レンジで何分くらい温めるんですか? あ、ちゃんと、「熱」と「温」の2つの温度の時間がパッケージに書いてあって、優しいですね。

「ホッといいちこ」のフタ

―「熱」が50度くらい、「温」が45度くらいの目安になっています。今日は、緑茶のティーバッグ、梅干し、レモンも用意したので、ぜひアレンジもお試しください。

ありがとうございます。このカップの形でコンビニとかに売っているんですか? 面白い。

(「ホッといいちこ」を飲んだ後)アルコール度数6%でも、しっかりと味があるし、本当に飲みやすい。焼酎を家で飲むときはお湯割りが多くて、店で飲むときには梅干しも入れたりするんですが、こうやって緑茶のティーバッグをカップの中に入れてもおいしく飲めるんですね。少し甘みのある緑茶が温かい「いいちこ」にすごく合っていました。

「ホッといいちこ」アレンジ

レモンを入れてもおいしかったし、何を入れても本当においしい。レンジでチンするだけという手軽さも「ゆる晩酌」との相性が良いですね。

―最後に、ハナコさんが「ゆる晩酌」を始めて一番良かったことを教えてください。

少し大げさな話になっちゃいますが、自分の生き方を見直すきっかけになったということが大きいです。お酒が大好きで一生飲み続けたいからこそ、付き合い方を考えるようになったし、それが自分の体の変化に向き合うきっかけにはなった気がします。以前は、ずっと若いような気持ちでいたけれども、そんなことはもちろんないので(笑)。

この本を出した後、「自分もこのままで良いのかなって考えたことがあるし、他人事じゃなかった」という感想をたくさんいただきました。お酒とどういう風に付き合うのかは、自分の問題なので自分にしか決められない。逆に言うと、自分が変えようと思えば変えられることなので、気になる方は、少し変えてみることをオススメします。体に良いことをするのは、気持ち的にもすごくプラス。お酒が好きな人であればあるほど、一度、考えてみてほしいなと思います。

※記事の情報は2024年2月20日時点のものです。