バーや酒屋さんでよく耳にする「スピリッツ」。カクテルの材料にも用いられる、このお酒について、その定義からリキュールとの違い、世界4大スピリッツの特徴や定番カクテルまでご紹介します。
スピリッツの定義は?
「スピリッツ(Spirits)」とは、蒸留によってつくられるアルコール度数の高いお酒の総称です。日本語では「蒸留酒」とも呼ばれます。
ワインやビール、日本酒などの醸造酒が、原料を発酵させてつくられるのに対し、スピリッツ(蒸留酒)は醸造によってできた醪(もろみ)を蒸留することで、アルコールと香り成分を抽出してつくられるお酒です。
主な原料は、穀物(大麦、小麦、ライ麦、トウモロコシなど)、果物(ブドウ、リンゴなど)、植物(サトウキビ、リュウゼツランなど)、芋類など実にさまざまです。
お酒の色によって分類されることもあり、ジンやウオッカなど無色透明のものは「ホワイト・スピリッツ」、ウイスキーやブランデーなど琥珀色のものは「ブラウン・スピリッツ」と呼ばれます。
一般的にアルコール度数は35~50度と高く、ストレートやロックでシンプルに味わうほか、カクテルのベースとしても用いられます。
ただし、日本の酒税法における「スピリッツ」の定義はやや複雑で、蒸留酒のうち焼酎、ウイスキー、ブランデー、原料用アルコールを除いたもので、エキス分が2度未満のものとされています。
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スピリッツとリキュールの違いは?

スピリッツは前述のとおり、広い意味では蒸留酒を指しますが、リキュールは蒸留酒をベースに果実や香草、スパイスなどを浸漬したり蒸留したりして風味を加え、さらに糖類や着色料を加えてつくるお酒です。カクテルのほか、お菓子の風味づけにも使われます。
ビターオレンジの皮を使ったコアントロー、コーヒー風味のカルーア、ハーブ系のシャルトリューズなどがよく知られています。
日本の酒税法では「酒類と糖類その他の物品を原料としてエキス分が2度以上のもの」と定義されており、たとえば市販の梅酒もリキュールに該当します。
スピリッツの歴史は?
スピリッツ(蒸留酒)の歴史は古く、蒸留技術は紀元前3000年頃のメソポタミアで生まれたとされています。その技術は中世の錬金術師によって確立、アクア・ヴィテ(生命の水)と呼ばれ、不老不死の妙薬として売り出されました。これが蒸留酒のはじまりとされています。
蒸留技術は世界各地に広がり、その土地で収穫される麦や米、ブドウ、トウモロコシを原料とした蒸留酒がつくられるようになりました。
日本の代表的なスピリッツ(蒸留酒)である焼酎の製造技術は、15世紀頃にシャム国(現在のタイ)から東南アジアや中国を経て、琉球王国(現在の沖縄)に伝来したのがはじまりと言われています。
世界にはどんなスピリッツ(蒸留酒)がある?
世界中で親しまれているスピリッツ(蒸留酒)の中でも、特に世界4大スピリッツと言われているのがウオッカ、ジン、ラム、テキーラです。
そのほかにも、おなじみのウイスキーやブランデーをはじめ、ジャガイモを原料に北欧諸国でつくられている「アクアビット」、サトウキビの搾汁からつくられるブラジルの国民酒「ピンガ」、コウリャンやモチ米などの穀物でつくられ、高いアルコール度数と強い香りが特徴の中国の蒸留酒「白酒」など、特色あるスピリッツ(蒸留酒)が世界各地でつくられています。
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世界4大スピリッツの特徴やおすすめの飲み方は?
数あるスピリッツ(蒸留酒)の中でも、王道とされる「世界4大スピリッツ」について、それぞれの特徴やおすすめの飲み方、定番カクテルなどを解説します。
ウオッカ

特徴
主に穀物を原料として糖化・発酵した後に、白樺(しらかば)の炭でろ過。大きく分けて、無色・無味・無臭のクセのないレギュラー・タイプと、ボタニカル(植物成分)やフルーツなどのさまざまな風味や色を加えたフレーバード・ウオッカの2つに分けられます。ロシアとポーランドが伝統的二大産地として有名です。
おすすめの飲み方
・ストレート(よく冷やして)
・ロック
定番カクテル
ソルティ・ドッグ
ウオッカ+グレープフルーツジュースのロング・カクテル。グラスのフチを塩で飾るソルト・スノー・スタイルが特徴的。

ジン

特徴
穀物を原料として糖化・発酵・蒸留をした蒸留酒に、ジュニパー・ベリー(ねずの実)をはじめさまざまなボタニカルを加え、再度蒸留。オランダのライデン大学医学部のフランシスクス・シルビウス教授によって1660年に処方・製造。利尿・解熱剤として薬局で売り出したのがはじまりです。
おすすめの飲み方
・ストレート
・ロック
・ソーダ割り
定番カクテル
マティーニ
ドライ・ジン+ドライベルモットのショート・カクテル。「カクテルの王様」とも言われています。

ラム

特徴
サトウキビが原料の蒸留酒です。製造方法の違いによる分類(ライト・ラム、ミディアム・ラム、ヘビー・ラム)のほか、淡色や無色のホワイト・ラム、濃褐色のダーク・ラム、その中間のゴールド・ラムと色合いでの分類もあります。
おすすめの飲み方
・ストレート
・ロック
定番カクテル
ダイキリ
ホワイト・ラム+ライムジュース+砂糖のショート・カクテル。キューバのダイキリ鉱山で働く坑夫たちが親しんでいた飲み物が起源とされています。

テキーラ

特徴
多肉植物のアガベを原料とし、これを糖化・発酵・蒸留してつくられるメキシコの蒸留酒です。熟成なしのホワイトから、熟成期間が長くなる順にシルバー、ゴールド、レポサド、アネホと分類されます。一般的に、メキシコでリュウゼツランからつくられるスピリッツをメスカルと呼びます。そのうちハリスコ州、ナヤリト州、ミチョアカン州、グアナファト州、タマウリバス州、の5州で、ハリスコ州テキーラ町周辺原産のアガベ・テキラーナ・ウエーバー・アズールというリュウゼツランを原料としてつくられるものがテキーラと表示することができます。
おすすめの飲み方
・ストレート
・ロック
定番カクテル
マルガリータ
テキーラ+ホワイト・キュラソー+レモン・ジュースのショート・カクテル。アメリカのバーテンダーが亡き恋人に捧げたとされています。

カクテルベースとして最適な「iichiko彩天」

“和”をカクテルで表現できる、まったく新しい本格麦焼酎「iichiko彩天」。世界最大のバー市場である米国から販売をスタートし、約6年の時を経て、2025年6月からついに日本での販売が始まりました。
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参考:
・ゼロから始めるカクテル&バー入門(KADOKAWA)
・酒類総合研究所「お酒のはなし」
※記事の情報は2025年7月8日時点のものです。