太古の昔に偶然生まれ、人類の歴史とともに進化してきたお酒づくり。それを分析し磨きあげ、再現性を持たせてきたのが科学の力です。そんなサイエンス面から「いいちこ」を支える三和研究所の研究員に聞いた、おいしさの秘密・秘訣とは? 今回は、“いつもの「いいちこ」”を届けるために欠かせない「品質管理」を解説していただきます。

この人が解説!
村上昌吾(むらかみしょうご)さん
三和研究所 クロスオーバーセンター 品質保証室
工程検査や出荷検査、瓶などの資材検査などを担当
Q1.サイエンスを活かした焼酎の品質管理とは?
「いいちこ」づくりは様々な技能を持った社員によるものづくりが基本ではありますが、ものづくりを健全に行うために、分析機器を使う検査と人の味覚・嗅覚・視覚などを用いた官能検査で、間違いのない「いいちこ」であることを常に確認できるようにしています。
「いいちこ」づくりのモットーである品質第一のものづくりを、機器による分析と官能検査がお互いに補完しあい、支えているのです。

Q2.どの工程でどんな品質管理をしている?
原料の入荷からはじまり、充填して「いいちこ」として出荷する直前までたくさんの工程で細かくチェックを行います。お酒の中身だけでなく、瓶や紙パックなどの資材の品質管理も行いますし、分析結果だけでなく、分析する機器自体の管理を行い、管理体制の土台を作る役割も担っています。
たとえば、原料の大麦を発酵させてもろみをつくる工程では、順調にアルコール発酵が進んでいるか(機器による分析)、香りの成分はしっかりと生成されているか(官能検査)、汚染菌の増殖が原因の香りはないか(機器による分析と官能検査)などを機器による分析、官能検査を併用しながら品質の確認を行います。

Q3.人が行う官能検査の重要性とは?
三和酒類では、「官能評価パネリスト審査会 」 を定期的に行い、官能能力の高い人たちを「官能評価パネリスト 」として認定し、品質管理において重要な、充填前の官能検査を行っています。常に10名以上のパネリストが、欠点となる香味はないか、前回合格した基準となるお酒と比較し差異はないかなどをチェックします。10名以上で官能検査を行うのは、統計的視点も加えて判断を行うためです。
機器による分析は、どんな成分をどのくらい含んでいるかといった数字を明確に測ることができますが、焼酎に含まれる数え切れないほどの香りの成分を感知し、バランスを見定め、検査をしたお酒が正しく「いいちこ」であるか否かを総合的に判断するためには、機器だけではなく、人間の五感による官能検査が不可欠です。

Q4.最後に品質管理担当の方からメッセージをお願いします
四季があり、気温も湿度も変化に富んだ日本の環境で、年間を通して発酵状態を一定に保つのは熟練の技能や技術 、そしてその積み重ねが重要です。伝統的にはつくり手の五感を頼りに行っていたものを、データを取って可視化し、ものづくりをサポートすること、“いつもの「いいちこ」”であることをさまざまな工程で確認していくこと。これらを行うことで、全国いつでもどこでもお客様に納得していただける「いいちこ」をお届けすることができます。お客様からは見えづらい部分ですが、我々の仕事で、皆さまのホッとする瞬間もサポートできたらうれしく思います。

※記事の情報は2025年5月20日時点のものです。